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マンガ家Mの日常
ソフィア・コッポラ監督、脚本の、実話を基にしたクライムドラマ映画。


LA中心地の高校に転校して来たばかりのマークは、
偶然、おしゃれ女子レベッカと仲良くなり、イケてる女子グループの仲間入り。

ハリウッドセレブのファッションライフに憧れるレベッカは、
ネットでセレブの豪邸を調べ、パーティー等で外出する日を狙って強盗に入る。
当時、警備が甘くて、やすやすと侵入に成功し、
多くのファッションアイテムを盗み出す。
最初はビビっていたマークも次第に慣れっこになり、
女子グループの皆を誘って、数人で頻繁に強盗を繰り返すようになる。
盗んだアイテムを身に付け、盗んだ金で派手に遊び回る。

やがて、セキュリティーカメラに姿を捉えられ、犯行がバレて全員逮捕される。
レベッカは身の危険を感じて引っ越していたが、警察は現住所まで訪れる。
被害総額はおよそ3億円と言われる。

素直に犯行を認めるマークとは対照的に、逃げを打とうとするレベッカ。
他の女子達も取引等を進めて刑期を軽減すると、
出所後には、同房だったリンジー・ローハンのネタをマスコミに売ったりする。


当時、実際の事件が結構な話題になっていた。
単純に、セレブは豪華なアイテムを有り余る程持ってるんだから、
少しくらい盗んだって良いでしょって事なのか、
スリルを味わうゲーム感覚なのか。
拝金主義に対しての教訓的な作品でもないけど、
罪の意識も皆無で、彼らが平然と強盗を繰り返したのは、
近くに住んでいながら、自分達庶民とセレブとの隔たりを強く感じて、
同じ人間と思えていなかったからかもしれない。
(犯行メンバーの中には、そこそこ裕福な家庭の子女もいた。)

何と言っても、今作の白眉は、パリス・ヒルトンの豪邸。
(ソフィアとのコネクションで撮影OKしたんだろうな。)
目も眩むような豪華絢爛なファッションアイテムが並ぶ部屋と、
怪しげなパーティー用のVIPルーム。
高級ブランドのドレスや靴、ジュエリーが桁違いに揃っていて、
もう、これら全部は使用し切れないだろうねぇ。
そりゃ、1回着たらそれまでってドレスも山程あるだろうから、
頂いちゃったって良くね?って思うよね。
室内にはパリス自身の写真を大きく引き伸ばして額装されたのが多数飾ってあり、
彼女自身の美貌へのこだわりと、ナルシシズムが表されている。
LAの(一部の)女の子達の、薄っぺらい欲望が投影されている。
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イタリアの大ヒットドラマ「DOC(ドック)あすへのカルテ」の、
アメリカ版リメイク、全10話。

ざっくりした設定は同じなのだけど、
一番の違いは、オリジナルの主人公が男性だったのを、
アメリカ版リメイクでは女性にしてある点。
それに伴って、年下恋人も女性から男性になっている。
キャリアウーマンが若い恋人を持つのは、
女性のキャリアが認められたようで、見ていて小気味が良い。

ただし、オリジナル版がミステリー要素が強く、上手く展開しているのに対して、
リメイク版は設定の規模が小さく、やや物足りない。
問題を起こして主人公を貶めようとする悪役リチャードがスコット・ウルフで、
童顔で、青春スターのイメージが強いので、悪役にはどうだろうか。
更に言えば、主人公エイミーの性格が、事故後もそこそこキツイ。
年下恋人の立場で、彼女をいつまで好きでいられるか。

本国アメリカでは高視聴率で、シーズン1終了前から
シーズン2への更新が発表されたとか。
医療ドラマの人気は、まだまだ高いのね。

現時点では、主人公の女性医師のキャリアが数年間分後退して、
離婚して、若い新恋人がいるってだけに落ち着いてしまっているので、
何か気になる要素を加えて欲しい。

実際の航空機爆破事件を基にしたドラマのミニシリーズ、全5話。
コリン・ファース主演。
大物映画俳優が次々ドラマに出演するようになって、見応えがある。


1988年12月、英国の医師ジム・スワイアは、
NYで休暇を過ごす娘フローラを見送った。
ところが、間も無く、航空機墜落の報道が流れ、絶望の淵に追いやられる。
爆破されて粉々になった機体の残骸が、地方都市ロッカビーに散乱している。
乗客乗員と、墜落機に巻き込まれた地元住民、合わせて270名死亡。

ジムは遺族の会の代表となり、事件究明に奔走する。
新聞記者マーレイも協力して、ジムと情報を共有。
1年5ヶ月後、2人のリビア人男性が容疑者として逮捕され、裁判が始まる。
2人のうち、フイマは無罪となり、メグラヒ1人だけが有罪を宣告される。
当初、犯人逮捕で事件の全容がわかると期待していたジムだったが、
裁判が進み、自らも様々な調査をする中で、逆にメグラヒの無実を確信。
収監されたメグラヒとも面会し、救済を誓う。

ジムはマーレイのつてで危険を承知で単身リビアまで赴き、
カダフィ大佐と面会するも、有効な情報がなかなか得られない。
事件究明にのめり込む夫ジムに対して、
妻ジェーンと家族は悲しみから距離を取り、日常を取り戻したいと願い、
次第に溝が生じる。

ジムとメグラヒの間には友情のようなものが生まれ、
互いに、最後まで戦うと約束していたが、
癌を患って余命幾ばくも無いとなったメグラヒは、
リビアとの取引を受け入れて、控訴を断念。
2009年、祖国の家族の元へ戻り、2年後に亡くなる。

ジムは、イランが爆破を企て、パレスチナ解放人民戦線に実行させたもので、
イランとシリアとの関係性から、アメリカと英国の諜報機関が証拠を捏造し、
リビアのせいにしたと考えている。
リビアは石油産業との関連から英国を脅して、メグラヒを帰国させた。

事件の真相は未だ解明されておらず、
ジムとメグラヒの遺族は戦い続けている。


1988年当時の自分自身の多忙な状況もあって、
このロッカビー事件は全く記憶に無かった。
ネットで検索すると、同時期の時系列を出している方もおられて、
1980年に勃発し、1988年、ロッカビー事件の直前に停戦終結した、
イラン・イラク戦争との関連が示唆されている。
イランによる報復だったのか。
だとしても、大勢の民間人が犠牲になったのには、恐怖しかない。
その前後、1986年にチェルノブイリ原発事故、
1989年にベルリンの壁崩壊と、世界的に激動の時期だったので、
日本のニュースでも殆ど取り上がられていなかったような...。

娘の命を奪った事件の真相究明に向かう、父親ジムの信念と執念が凄い。
真相に近づいたかと思ったら、また遠ざかる。
その繰り返しが彼の動機付けを一層強くしたんだろうか。
一般人が、命の危険も顧みず、単独でリビアまで出向いて、
カダフィ大佐に直接会うなんて、信じ難い行動力。

思えば、日本でも、北朝鮮諜報機関による拉致事件があって、
被害者家族は長年日本政府と交渉を続け、帰還を待ち望んでいる。
理不尽に奪われた家族を、どうして諦め切れようか。

とは言え、
自分だったら、どうするだろうか。




ソフィア・コッポラ監督の出世作。
アカデミー賞脚本賞受賞。


ハリウッドスターのボブは、200万ドルという契約金に釣られて、
サントリーウィスキーのCM出演を承諾し、撮影の為1人で東京に来る。
高級ホテルでの滞在に支障は無いが、撮影現場では通訳にムラがあり、
コミュニケーションが取れず、時折ウンザリさせられる。

同じホテルに、セレブ写真家の夫ジョンに付いて来たシャーロットが宿泊。
ジョンが別の仕事で一旦東京を離れると、
ほったらかしにされて、グダグダと過ごしている。
大学卒業後2年で、まだ将来の目標も定まっていない。

2人はホテルのバーで出会い、親子程も年が離れてはいるが、意気投合し、
自由時間を一緒に過ごすようになる。
ボブがホテルの専属歌手とワンナイトしたのを知り、一時気まずくなる。

和解した頃に、シャーロットの夫がホテルに戻り、
ボブは帰国の日が近づく。
別れの瞬間が近くなった時、街中でボブはシャーロットを呼び止め、
ハグして、耳元で何か囁く。


有名映画監督スパイク・ジョーンズと結婚し、日本を訪れた
ソフィア自身の体験を基にした作品だとか。
正直言えば、あまり面白いとは思えなかった。

ハリウッドで俳優として成功したものの、やや下り坂のボブが、
お金の為に日本の仕事を受け、終始憂鬱そうな顔をしている。
マネージャーや通訳を同行させず、俳優1人で来るのは珍しくないそうだけど、
明らかに仕事で齟齬が生じてるんだから、何だかなと思うよ。

シャーロットの方は、所詮、夫の稼ぎで贅沢三昧のセレブ若妻。
で、中高年スターと20代女性が接近するってのが、どうもね。
互いに既婚者で、ボブは妻と疎遠で、シャーロットも似たような状況。
一線は超えないものの、精神的恋愛関係にのめり込む。
どうなんだろうね、
不安な旅先で、言葉が通じる数少ない相手ってのもあるのかもね。
帰国したら目がさめるパターンかも。
この2人の恋愛感情こそ、翻訳ミス(ロスト・イン・トランスレーション)
なのかもしれない。

ラストシーンでボブが何と囁いたのか、それは映画の秘密。
観客の気を引いて、解釈を複雑化させる手段。
有名俳優と有名写真家の妻だから、帰国後、連絡手段はあるだろう。
このラストシーン、爽やかに歯切れよく、という感じではなく、
後を引き摺る雰囲気。
現実では、ソフィアは早々に離婚している。

英国のサスペンスドラマのミニシリーズ、全6話。
タイトルの通り、爆発物処理班の活躍を描いた作品。

(ネタバレあり)


ロンドン警視庁所属の爆発物処理班。
団地に爆発物があるという通報を受けて
元軍人でベテラン技術者のラナはチームと共に出動。
無事解除するが、主人のフィーランが別の場所で発見され、
身体に高性能の爆発物を括り付けられていた。
激しく動揺するフィーランを穏やかに説得して落ち着かせ、爆弾解除に成功。
しかし、チームリーダーのナットが付近に駐車されていたバンを調べようとすると、
バンが突然大爆発を起こし、ナットが犠牲になる。
信頼できる先輩で親友でもあったナットを失い、意気消沈するラナだったが、
新たにチームリーダーに任命され、犯人逮捕に意欲を燃やす。

ラナは、最初の爆弾が殺傷能力の無いものだったのと、
室内に刻まれたある数字に疑問を覚える。

その後も、同一犯と思われる犯人による爆弾テロが続き、犠牲者もでる。
極右グループとイスラム過激派との抗争であるような声明が出されたが、
ラナは、爆弾の仕掛けの特徴が軍人によるものだと気付き、
チームの1員でもあるジョンを調査して、爆弾テロに関連した証拠を発見する。
ラナの弟ビリーとの繋がりも見つかり、
ビリーが知人から預かった車を運転していると、自爆テロと見做される。
ラナがビリーに連絡して車内を調べさせると、爆弾が見つかる。
広い公園に誘導し、解除方法を検討するが、
耐えきれなくなったビリーは車から出ようとして、
爆発物を起動させてしまい、命を落とす。

悲嘆にくれるラナを支えようとする恋人のトム。
ラナは軍人時代の友人カールと関係を結びつつあったが、
事件に集中して、2人のどちらとも離れてしまう。

鑑識のソニアが、軍隊に関連する資料を調査していると、
ある数字が浮かび上がって来る。
ソニアは、「561142」という 数字が、元素記号の数字を表し、
繋げると「DyNaMo(ダイナモ)」という言葉になる事に気がつく。
「ダイナモ」は、かつてアフガニスタンで死傷者が出た軍事作戦に関連する。
さらにラナは、最初の団地の室内に刻まれていた数字「1912」が、
同じく元素記号で「KMg」となり、カールのイニシャルだと気づく。

カールは、当時の調査委員会が軍事作戦での事故を隠蔽しようとしたのに憤り、
命を落とした仲間の兵士達の為に復讐を実行していた。
最後の標的は、委員会の長で、今回の選挙で立候補した議員だった。
現場でカールは射殺され、事件は解決する。


構成や謎解き部分も面白く、スピーディーで緊張感もあって、良いドラマだった。
昔風に言えば「男勝り」となるのかな、
仕事に精力を注ぐラナのキャラクターも小気味が良い。
爆発物処理に向かう勇敢さと共に、
囚われの身の被害者を説得して落ち着かせようとする心遣いの深さも備えていて、
知性を感じさせる。

人間関係の造形も上手い。
最後の爆弾テロ現場で、ラナが任務にあたろうとしていると、
カール(まだ犯人とバレていない)が差し入れのコーヒーを持って、
ノコノコと現れ、ラナに2人の関係を進めたいと告げる。
こんな危険な状況の場で?と思うが、
それは、カールがラナと過ごす幸せさえ手に入れられれば、
最後の爆弾テロを思い留まろうとする、救いを求める姿でもあった。
切ない。
ラナはギリギリで気付いたのだろうけど、激しく感情を見せる事をせず、
カールを失った後でも、毅然としているのが、逆にジワる。

このところ、北欧ドラマでちょっと不満があったので、
こうして見ると、やっぱり英国も上手い。

ネットで検索すると、シーズン2もあるらしい。
トムとよりを戻すのかな?
出世コースだけど、見た目がイマイチ。(ゴメンね。)