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マンガ家Mの日常
実在した二重スパイ、キム・フィルビーを描いたドラマのミニシリーズ。
全6話。


1960年代の冷戦時代、
英国秘密情報部SIS(通称MI6)で働くエリオットは、
同僚で親友のフィルビーがソ連の二重スパイだと知らされる。
赴任先のベイルートに行ってフィルビーに真偽を正すが、
改めて、彼が二重スパイで、MI6内に他にも二重スパイが存在すると聞かされる。
フィルビーはその数日後にソ連に亡命。
エリオットは若い頃からのフィルビーとの付き合いを回想する。


いや、正直、よくわからなかった。
各話1時間程度で、話に入り込めず、全6話見終わるのに時間がかかった。
当時と回想シーンがどんどん入れ替わるし、登場人物も多い。
「クーリエ」のようにスパイとしての活動をする様子は描かれず、
テーマは、フィルビーの人間性についてなのかな。

フィルビー役はガイ・ピアース。
エリオット役のダミアン・ルイスは、以前にも書いたけど、スパイ顔なのね。

英国の上流社会の青年が情報部にスカウトされる背景があり、
フィルビーを含めた一部の人々は、若い頃から共産主義に傾倒していて、
二重スパイになる下地があった。
よく覚えていないのだけど、
フィルビーの場合は、恋人の問題もあって、共産主義に没入したみたい。

すっかり忘れていたのだけど、
腐女子を燃え上がらせた映画「アナザー・カントリー」の主人公が
ガイ・バージェスで、同様の二重スパイとして、
フィルビーらと共に「ケンブリッジ・ファイヴ」と称されたとか。
名門トリニティ・カレッジ(ケンブリッジ大学)出身の5人の大物スパイ達。
ガイ・バージェスは英国の特権階級の中で敗北した反動で共産主義に走った。
ある意味、名門校が二重スパイの温床だったんだね。


戦後生まれの日本人として、西側自由主義国に組み込まれて育って、
旧ソ連を筆頭とする東側共産圏の思想には疎い。
昨年から続くロシアによるウクライナ侵略戦争も、
複雑な思想背景を知らねば、理解するのは困難なのだろう。




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ベネディクト・カンバーバッチ主演、実話を基にしたスパイ映画。


1960年、ソ連高官ペンコフスキーは、
フルシチョフの核配備計画に重大な懸念を抱き、
核戦争の脅威を軽減させるべく、西側と連絡を取った。
CIAはMI6と連携して、ペンコフスキーからの情報を受け取る計画を立て、
「運び屋」として、東欧に頻繁に出張するセールスマンのウィンに依頼。
しぶしぶ引き受けたウィンだったが、無事任務を成功させ、
ペンコフスキーとも次第に友情関係を築いていく。

モスクワへの出張回数が増えると、妻はウィンの浮気を疑うが、
ペンコフスキー一家を亡命させるべく、最後の任務に向かう。
しかし、情報漏洩に気づいたソ連諜報部に2人とも捉えられてしまう。

収監されたウィンは、虐待とも言える扱いを受け、疲弊していく。
半年後、ようやく妻との面会を許され、核戦争の危機が回避された事を知る。

ウィンは、自分はただの運び屋で、情報の内容は知らなかったと主張し続ける。
諜報部は動揺を誘って自白させる為に、ペンコフスキーと会わせるが、
ペンコフスキーもまた、ウィンは情報内容を知らなかったと主張する。
ウィンはペンコフスキーに核戦争危機回避の成功を告げ、2人は引き離される。

1年後、ウィンは釈放され、ロンドンに戻り、無事余生を過ごす。
ペンコフスキーは国家反逆罪で処刑される。


スパイ映画といっても、難しい情報工作ではなく、2人の友情がメイン。
地味な作品だけど、俳優としては本望だったと思える。
人気と実力を得て、ベネディクト・カンバーバッチは
多岐にわたる役柄に挑戦し続けている。

浮気の前科もある、やや軽薄なセールスマンのウィンが、
緊張感の高い任務を背負わされて、徐々に目覚め、
ソ連での過酷な収監にも耐え抜く姿は、
固い信念を持ったペンコフスキー共々、美しい。

ラストで、実際のウィンの映像が流れる。
キューバ危機が回避された背景に、全くの素人の活躍があった事に驚かされる。


ビル・マーレイ主演のコメディ映画。
少し前に録画していて、偶然最近新聞のコラムで紹介されていたので、
ふらっと観てみた。
1998年公開だから、結構古い映画なのね。
邦題が示す通り、ヒッチコックの「知りすぎていた男」のパロディ。


アイオワ州のビデオ店勤務の中年男ウォレスは、自分の誕生日を祝うべく、
ロンドンの弟ジェイムズの家を訪れる。
兄弟仲は良いが、その晩は自宅に商談相手のドイツ人達を招待しての
ホームパーティを予定していて、呑気なウォレスを追い払う事に。
TVで紹介されていた演劇体験ゲームに行かせる。

公衆電話ボックスで指示を受け取り、ゲーム開始。
ところが、ウォレスが受けた電話は、本当の要人暗殺の指示だった。
ウェレスは何も気づかないまま、ゲームだと思い込んで続行する。
指定の場所に行くと、メイドコスプレの美女ローリーがいる。
ローリーは国防大臣の情婦で、要人暗殺計画を知ってしまった為、
国防大臣が差し向けた殺し屋に命を狙われている。
ローリーはウォレスを殺し屋だと思い込むが、
暗殺計画の証拠となる手紙を武器に、一緒に大金を得るよう促す。

未だにゲームだと信じ込んでいるウォレスは、諜報機関の追手と戦いつつ、
ローリーの指示に従って、英露首脳の平和協定調印式の会場へ向かう。
一度は諜報員達に拉致されるも、まんまと逃げ果せると、
出し物の出演者として会場に入る。
そうとは知らぬまま、爆弾が仕込まれたマトリョーシカを手に入れる。
会場から逃げようとする国防大臣と諜報機関から、
秘密保持の為の大金が入ったカバンを2個渡され、
片方に記念品として持ち帰ろうとしたマトリョーシカを入れる。
騒ぎの間に、金を惜しんだ国防大臣はカバンを一つ持ち去るが、
逃亡中のヘリコプターの中で、爆弾が爆発する。

最後までゲームだと思い込んだまま要人暗殺を防いだウォレスの元に、
別の諜報機関からスパイとしてのスカウトが来るが、
映画の撮影と思い込んで、承諾する。


1998年の映画にしては、色々古い感じで、
1956年の「知りすぎていた男」を踏襲した事によるのだろう。
レトロ感と、とぼけた雰囲気で気楽に楽しめた。
お茶の間で家族一緒に観られる映画。
思えば、最近はそういう映画があまり無いね。

ビル・マーレイ、ピーター・ギャラガー、アルフレッド・モリーナ、
当然ながら、皆、若い。
ウォレスの財布を取るチンピラのちょい役でエディ・マーサンが出演していた。
今作が映画初出演なのかな。

ニコラス・ケイジがニコラス・ケイジを演じるコメディ映画。


ニコラス・ケイジ(以下、ニック)は
かつてのハリウッドスターとしての輝きを失い、焦りを感じていた。
借金を抱え、妻子からも見放されていた。

そんな折、スペインの大富豪ハビからマヨルカ島での誕生会に招待される。
ハビはニックの大ファンで、来てくれるだけで大金を支払うと言う。
ハビの邸宅には、ニックの記念館とでも言うべき広間に
様々なコレクションが揃えられていて、かつての栄光の縁に浸る。

同時期、CIAが国際的犯罪組織としてハビを捜査中。
CIAはニックにハビを監視するよう強要する。
ハビが書いた脚本でニックに映画を撮るよう勧められたのをきっかけに、
ニックはハビとの関係を深めていく。
ハビは半ば強引にニックの元妻子を島に招待した。

ハビは既に犯罪から足を洗っていたが、
跡を継いだギャング達が地域を牛耳る為に選挙前に政治家の娘を拉致監禁。
ニックがCIAの手先になっていた事に気づいたギャング達は
攻撃を仕掛け、CIAの捜査官達を射殺。
ニックはメイクアーティストの元妻の助けを得て、変装して、
政治家の娘の救出に向かう。
ギャング達との銃撃戦やカーチェイスを乗り切り、無事勝利する。

奮闘の模様を映画化して再起を果たす。


実際に多額の借金で首が回らなくなり、お金の為だけにC級映画に出倒して、
覇気の無い演技で、堕落してしまっていたニック。
しかし、どうやら借金完済の目処が付いたらしく、
流石に少しずつ演技の力を取り戻しつつあるらしい。

もうね、
ずーーーーっと大ファンだったから、C級映画のダラけた演技は悲しかった。
今作も、まだ完全復活にはやや遠い感じだけど、
それなりにやる気を出しているらしい。
ハリウッドの映画人もファンも、ニックの復活を待ち侘びている。

作中、過去作の話題が出て、もうジワジワ来る。
「不機嫌な赤いバラ」良かったなぁ〜。
「コレリ大尉のマンドリン」綺麗な映画だった。
作中でニックが「過小評価されている作品」と語る。嬉しいな。

年表を改めて見ると、
2004年「ナショナル・トレジャー」
2005年「ロード・オブ・ウォー」
2006年「ワールド・トレード・センター」あたりまでは良かった。
2007年「ゴーストライダー」がどうかなって感じになって、
同年の「NEXT」はもう気が抜けていた。
その後、1年間に7本も8本も出演していた時期さえあり、
駄作の駄演技かと思うと、せっかくWOWOWで放送されても、
見る気を失っていた。

ニックも還暦。
これまでの生活をリセットして、
良い脚本を選んで、またジワる演技を見せて欲しい。









第二次大戦中、ナチス占領下のフランスの山村を描いたドラマ映画。


ピレネー山脈の小さな村にも、ナチスの部隊が駐留している。
羊飼いの少年ジョーはユダヤ人男性ベンジャミンと出会う。
ベンジャミンは村はずれに住むアリスの娘(故人)の夫で、
パリで生き別れになった娘アーニャが来るのを待っていた。
アーニャが来たら、一緒に山を越えてスペインに逃亡する予定。
ベンジャミンとアリスは他にも多くのユダヤ人を匿っている。
その事を偶然知ったジョーは、食料品の買い出し等、アリスの手助けをする。

戦場から帰還したジョーの父親も、アリスの手助けをする。
クラシック音楽愛好家のナチス中尉の為に教会でコンサートを開き、
部隊を教会に集めて、注意を逸らして、ユダヤ人達を山麓に移動させると、
翌日、羊の季節移動に合わせて、羊飼いに紛れさせて国境を越えさせる。
無事にスペイン側に入れたが、アーニャを待つベンジャミンと、
ベンジャミンを慕う幼お少女レアだけは村に残り、
その後ナチスに見つかり、収容所送りにされる。

戦況が変わり、部隊は村を離れる事となった。
ジョーの友達で知的障害のある少年は、
部隊の中でも心優しい伍長と仲良くなり、双眼鏡を譲り受けたりしていたが、
ベンジャミンとレアの事を知ると、双眼鏡を返し、
部隊が離れる時にはライフルを持ち出して、部隊に銃口を向けた。
冷酷な中尉はすぐさま彼を射殺。
「彼は撃つ気はなかったんだ。」と泣き叫ぶジョー。

ドイツは敗北し、村に平和が戻った。
1年後、アーニャが村に現れた。


おそらく、欧州各地で、心ある人々がユダヤ人の逃亡を手助けした、
その中のひとつの物語。
ピレネー山麓の風景が美しく、
フランスを脱出して自由を得たユダヤ人達の幸福な状況を表している。

アリス役のアンジェリカ・ヒューストンと、
ジョーの祖父役のジャン・レノの存在感が際立ち、ちょっと重いかな。

映画全体としてはやや起伏に乏しく、
それをカバーしようとしてか、BGMが過剰でちょっとうるさい。
ナチス支配からの脱出というテーマは定番ではあるが、
美しい物語なので、もう少しバランス良く制作出来ていればと思う。