忍者ブログ
マンガ家Mの日常
実話を基にしたスリラー映画。


19世紀、ニューイングランドの小さな孤島に2人の灯台守が派遣される。
ベテランの老人トーマスは灯台の灯りの作業に固執し、
若い新人のウィンズローに、力仕事やあらゆる雑用を押し付ける。
2人の仲は、険悪になると同時に、接近してもいる。
トーマスは様々な昔語りをするが、どれも真実かどうか定かでは無い。
疲労と孤独とで、ウィンズローは精神的に疲弊し、幻覚を見るようになる。

4週間後、交代で島を出られる筈が、突然の暴風雨で迎えの視察船が来ず、
暫くの間、食糧支援も無いまま、島に閉じ込められる。
2人は泥酔して、ウィンズローは素性について話し始める。
本名はトーマス・ハワードで、カナダで樵をしていた。
不仲の男ウィンズローを故意に事故死させ、身分を乗っ取り、灯台守に志願した。

嵐で住まいも破壊され、2人の狂気の度合いが深まり、殺し合いになる。
ウィンズローはトーマスを殺して鍵を奪い、最上階の灯室に上がり、
不思議な光におののき、階段から転落する。
カモメ達が倒れたウィンズローの腑を生きたまま喰い千切る。


スタンダード・サイズの白黒映画で、時代背景を意識した映像で、
ドラマ性よりも、表現主義的な意味合いが強いように見える。
2人の狂気が交錯して、真実は闇に溶け込む。
最終的に、灯台の灯りを目にした後、転落して、鳥に腑を食い千切られるのは、
ギリシャ神話で火を盗んで人間に与えて罰せられたプロメテウスを連想させる。

正直なところ、エグくて重苦しいばっかりで、説明がつかない。
ネットで他の方の論評を読むと、性的な描写に関する記述や、
特にウィンズローの精神錯乱について書かれているけど、
要は、監督は、諸々不明のままに、鑑賞者に委ねるのが狙いだったらしい。
まぁ、海外の作品を観る時にはよくある事だけど、
その国の歴史や文化を知らないと、メタファーはわからない事だらけ。

老人役のウィレム・デフォーはなかなかの怪演。
ウィンズロー役は「トワイライト」の美男子ロバート・パティンソンで、
もう随分と大人の俳優になったなぁ。
「バットマン」のようなメジャー作品の主演も務めているけど、
今作のような芸術性重視の作品は高く評価されるから、
演技のし甲斐があっただろう。

カンヌ国際映画祭では、受賞はしていないものの、絶賛されたらしい。
カンヌって、こういう難解なのが好まれる。
もし自分が制作者側だったら、興行収入を思うと、
こうした作品には取り組みづらい。
それでも、作家性を重視した作品作りを貫徹するのは、
自身の芸術性に、信念と信頼があるからだろう。
PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック