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マンガ家Mの日常
リチャード・リンクレイター監督、グレン・パウエル主演、
実話を基にしたクライムコメディ映画。


哲学の大学教授ゲイリーは、電子工学の才能を生かして、
警察の盗聴機器の設定等で捜査協力をしている。
殺人依頼事件の囮捜査官ジャスパーが不祥事を起こして捜査から外されると、
急遽ゲイリーが囮捜査官に任命される。
普段は地味で冴えない風貌のゲイリーが、囮捜査官として才能を発揮。
捜査対象に合わせて様々な役柄に扮する事で、自分自身を解放させていく。
(ここまでの展開が実話ベースで、後半は完全なフィクション。)

夫のDVに苦しむ若い美女マディソンが夫の殺害を依頼して来たが、
イケメン殺し屋「ロン」に扮しているゲイリーは殺害を止まるよう説得し、
2人は急接近。
後日、夫は殺害され、保険金目当てのマディソンの犯行だとわかる。
殺し屋ロンに扮したままゲイリーはマディソンを助けようとするが、
捜査から外されてゲイリーを妬むジャスパーが2人を恐喝。
ゲイリーはマディソンに自分の正体をバラした上で、
2人で手を組んでジャスパーを殺害し、夫殺しの罪を着せる。

2人は結婚して家庭を築き、めでたしめでたし。


ブラックコメディとして高く評価されたそうだけど、どうにもダメだった。
リンクレイター監督とも、グレン・パウエルとも、私は相性悪いみたい。
好みは別にして、イケメンでマッチョ体型のグレンが、
大学で少々冴えない服装をしていたとしても、カッコイイのは見て取れるし、
囮捜査で紛争に工夫を凝らす才覚があるんだから、
普段の格好だって、いくらでも見た目良くできるわけで。
それで学生達に冴えないとバカにされてたなんて、無理がある。
囮捜査官になったら急に堂々とした演技ができるようになるのも無理っぽい。

で、このマディソンって女が、どうも変。
夫のDVに苦しんでたなんて、殊勝な様子を見せながら、
次に会った時は大胆なコスプレでゲイリーを誘惑。
もう、怪しさ満点。
結局、マディソンの思い通りになるよう、ゲイリーも乗っかっちゃったって事?

ブラックコメディなんだとしても、スッキリしないし、楽しめない。
やっぱり結末は「なるほど」と思わせてくれなきゃ。


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実話をモチーフにしたドラマ映画。


ジョージア州サバンナ。
23年前、当時36歳のグレイシーと13歳のジョーが恋愛関係になり、
「メイ・ディセンバー事件」として世間を騒がせた。
グレイシーは実刑となり、服役中に出産。
出所後、2人は結婚し、家庭を築いている。

事件が映画化される事になり、
主演女優エリザベスがグレイシーとその家族をリサーチしに訪れる。

現在59歳のグレイシーと36歳のジョーは、
一般的な、満足のいく生活をしていたが、
生活に入り込んで来るエリザベスに不安を募らせる。

年下の少年と恋愛関係に陥った事件性とは裏腹に、非常に保守的なグレイシー。
一方で、ジョーは早過ぎた結婚で、青春をやり残したと感じている様子。
エリザベスは当初、年の差婚に不信感を抱いていたが、
リサーチする中で、ジョーに不思議な魅力を感じ、成り行きでベッドインする。

エリザベスの登場に心をかき乱されながらも、人生は続く。


元の事件は有名で、今作はその事件に基づいたものかと思ったけど、
そうではなくて、あくまでもモチーフであって、全体はほぼ創作となる。
少し安心した。
まんま実話だったら、観るのが結構辛い。

事件の映画化の為に当事者達をリサーチする中で、葛藤を呼び起こすという
トリッキーな設定。

何故、極端に年の離れた2人が愛し合い、結婚生活を続けているのか。
(実際の事件では、結婚から10数年後に男性から離婚の申立てがなされた。)

保守的な家庭で育てられたグレイシーは、自らも保守的な価値観を強く示す。
娘が大学の卒業パーティー用に選んだドレスを、腕が太く見えると否定し、
膨らんだ袖の付いたドレスを選ばせる。
元夫との息子ジョージーは、エリザベスに、
グレイシーが子供時代に実の父兄から性的虐待を受けていたと話す。

グレイシーはこれを否定しているが、おそらく事実であり、
人格形成に大きく影響したと推察される。
もとより南部の保守的な家庭で育てられ、性的虐待が加えられた事で、
更に、男性への従属、畏怖、依存等々の傾向が強くなった。
最初の出会いの頃にも、グレイシーはジョーがリードしていたと言う。
それは、ジョーが年齢よりも大人びていると言うだけでなく、
「男性」に逆らえないグレイシーの性質にもよると思われる。
精神的な強さと弱さが複雑に入り組んでいる。

一方、ジョーは、妻のグレイシーと子供達を守ろうという常識を持ちながらも、
不完全だった青春時代に未練を感じているのか、
他の女性と浮気じみた付き合いをしたり、
飛び立つ事を夢想してか、希少種の蝶の飼育や孵化に熱心に取り組んでいる。

エリザベスは、女優としての野心を持ってやって来たが、
既成概念の強さからか、グレイシーの本質を理解出来たようには見られない。

未成年との性行為が違法とされるとしても、
何れにしても、
当事者の心の内までは裁けない。

グレイシー役のジュリアン・ムーアが素晴らしい。
数多くの栄誉に輝く名女優ながら、その容姿が個人的にあまり好きではなかった。
でも、出来る事ならば、今作でアカデミー賞主演女優賞を授けたい。


Facebookの映画ファンのグループに参加している。(前にも書いたかな。)
映画の仕事の関係者もいたりして、深い話が聞ける事もあるけれど、
大半はごく普通の一般の映画視聴者。
一部に、わざと趣味の悪い投稿をしたがる人や、クレーム小僧もいるけど、
まぁ、他のサイト同様、その手合いは無視するのが良い。

中身の薄い投稿も多くて、そういうのはいちいち見る必要も無い。
貼り付けられた画像を見て、ああ、そんな映画もあるんだなぁと思うだけ。

誰とは言わないけど、
時々、微妙な絡み方をしてくる人がいる。
まぁね、別に悪い人ではないようなんだけど、ちょっと面倒。
何が面倒って、
投稿やコメントを見る限り、どうにも、映画の読み込みが浅い。
今更中2病かと思う。

映画って、
様々な場面で、そのキャラクターがどういう考え方をして、どういう行動をしたか、
その考え方の背景には何があるのか。
自分と違う人々の人間味の奥を探る事に価値がある。
それなのに、
自分の考え方だけを通そうとしていたら、
映画を観る意味が無い。

あの人は、どうして浅いのかなぁ。
真面目過ぎるのか、社会経験が乏しいのか。

聴覚障害について描いた、アメリカのドラマ映画。


ドラマーのルーベンは恋人のルーとロックミュージックのユニットを組んで、
アルバム制作やライブツアー等、積極的に活動していたが、
ある日急に難聴を発症する。
専門医に診てもらうと、難聴は急速に進行しており、回復不能と診断された。
激しく動揺するルーベンを支えて、ルーは聴覚障害者支援施設に連れて行く。

最初は施設のルールに戸惑ったものの、ルーベンは徐々に馴染んで行く。
しかし、ルーが単独で活動している様子をネットで見ると、
元の2人の音楽活動に戻りたい気持ちが沸き起こり、
施設を抜け出して、聴力回復の手術を受けに行く。
脳内にインプラントを埋め込んで、装着式の器具を通じて
音が聞こえているように脳が錯覚するというシステムで、
感覚的に雑音は多いものの、一定の聴力を実感出来るようになる。

手術を受けたルーベンは、施設を退所するよう告げられる。
施設の信条は、聴覚障害の世界を受け入れる事にあった。

手術費用を捻出する為に、機材やトレーラー等全て売り払っており、
ルーとその裕福な父親を頼って、邸宅に行く。
父親は、幼い頃の複雑な家庭環境で荒れて、自傷行為に走ったルーを
立ち直らせてくれたルーベンに感謝して受け入れてくれたが、
自分探しを終えたルーは、ルーベンとの別れを決意していた。
ルーの気持ちを察して、ルーベンは邸宅を出て行く。

街中で佇んでいると、様々な音が感じられるが、
ルーベンは器具を外して、無音の世界に浸る。


印象としては、かなり地味な作品ながら、本国での批評家の評価は高く、
アカデミー賞作品賞にもノミネートされた。
ただ、何と言うか、何とも言い難い。
音楽を仕事として邁進して来たルーベンが音を失う辛さは、想像を超える。

聴覚障害者施設での穏やかな日々にも順応し、
施設長からは、そのまま施設に残って職員として働くよう勧められたけど、
元の人生を捨て難い。
施設長がルーベンに対して依存症の指摘をしていたのは、
ルーベンとルーが出会う前に、それぞれ、
ルーベンはドラッグ、ルーは自傷行為という依存症を抱えていた事と関連する。
2人が共に音楽活動をしている事自体が、ある種の依存関係だったのだろうか。
ルーは自宅に戻ってルーベンと距離を置いた事で、依存から脱却してしまった。

「音」に依存しない世界を求めて。
聴覚障害者の生き方を簡単に定義づけてしまう事は、自分には出来ない。

愛し合っているルーと別れ、1人になって、
街中で器具を外した時、
ルーベンは依存から脱却したと言えるのだろう。

今作は「聴覚障害」よりも、「依存」をテーマにした作品なのかな。

器具を外したのが、ただ雑音が不愉快だったというだけでなく、
何らかの縛りから自分を解放したのだと思いたい。




危うく見逃すところだった。

今までずっと、授賞式は字幕版による再放送で観ていた。
同時通訳の音声が原語と被って聴き苦しいので。
流石にまだ同時字幕ってとこまでは進化してないよね。
字幕版の方は、現地のCMをカットしてくれているから、その点でも観やすい。

ふと番組表を見ると、
NHKBSで生中継するとある。
え?
改めてWOWOWのプログラムガイドを確認すると、
字幕版をオンデマンドで配信するとなっている。
え?
TV枠での放送が無い!

NHKに横取りされたんだろうか。
酷い!

横取りするならするで、字幕版もスムーズに放送してくれなきゃ困る。
オンデマンドは観るのが面倒。