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マンガ家Mの日常
昨日、俳優ヴァル・キルマーの訃報に接し、
遺作となった「トップガン マーヴェリック」を鑑賞。
トム・クルーズにハリウッドのトップスターの座を確約させた大ヒット作
1986年「トップガン」の、36年ぶりの続編。
もはや説明不要。


マーヴェリックは米海軍最高峰のパイロットとして現場に拘り、
昇進を拒んで大佐の地位に留まっていた。
極超音速機「ダークスター」の試験飛行で成果を示すも、
結果として機体を破壊してしまう。
飛行禁止とされるところ、海軍大将の盟友アイスマンからの指令があり、
3週間後、某国が稼働させるウラン濃縮基地の破壊を使命として、
パイロットを訓練するよう、ノースアイランド海軍航空基地の教官職に就く。

かつての自分達を思い起こさせる「トップガン」達の指導に当たる。
選抜チームの中に、事故で亡くなった親友グースの息子ルースターもいた。
父親が亡くなった当時、幼かったルースターは事情を知らず、
また、息子の安全を願った母親が、マーヴェリックに
息子を海軍パイロットにしないよう密かに頼んでいて、その事情も知らず、
マーヴェリックがルースターの海軍兵学校志願書を破棄した事を恨んでいた。

反発するルースターと生意気なトップガン達を、
マーヴェリックは自らの遥か格上の実力を示しながら指導していく。
しかし、トップガン達でさえ、マーヴェリックが予想する
基地破壊の困難な状況に対応出来るまでの飛行技術への到達に至らず、
焦った上官達はマーヴェリックを外し、目標を下げてしまう。

一方、アイスマンは難病に侵され、余命いくばくもない状況だった。
邸宅を訪ね、アイスマンに励まされるが、間も無く他界し、
マーヴェリックは後ろ盾を失ってしまう。

マーヴェリックは自らFー18を操縦して、困難な任務の実効性を示し、
改めて上官達の信頼を得て、マーヴェリック自身が編隊長として任務に当たる。


(時間なくて、続きは次回。)




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アメリカのコメディ映画。
監督は「アバウト・シュミット」等のアレクサンダー・ペイン。


1970年12月、ニューイングランドの男子寄宿学校バートン校。
クリスマス休暇を前に、古代史教師ハナムは
厳しく採点したテストの答案用紙を生徒に渡し、休暇明けの追試を告げる。
大方の生徒達は自宅に帰って家族とクリスマスを過ごすが、
家庭の事情で居残りせざるを得ない生徒が数名いる。
優秀だが問題児のアンガスもその1人。
教育熱心で融通が利かないハナムを嫌う校長が、
ハナムに居残り生徒の監督を命じた。

ハナムは生徒達を監督しつつ、
一人息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの料理長メアリーを気遣う。
数日後、居残り組生徒の1人の親が、生徒達をスキー旅行に招待し、
ヘリコプターで迎えに来るが、
直前に親と連絡が取れず許可をもらえなかったアンガスだけは参加出来ず、
ハナムとメアリーと共にそのまま居残りが続く。
アンガスはハナムに逆らいながらも、次第に打ち解けていく。

クリスマスの翌日、ハナムとアンガスは社会授業としてボストンに行き、
美術館、ボウリング、映画等を楽しむ。
ところが、アンガスは映画上映中に抜け出し、
療養所にいる実父に会いに行こうとする。
数年前、父親は精神病を発症し、離婚、施設へ入所となった。
母親は再婚したが、新しい家庭を守る為、アンガスと疎遠になっていた。
久々の再会に感激するアンガスだったが、父親の症状は進行していた。
悲しむアンガスをハナムが元気付ける。

施設からの連絡で、アンガスが母親に無断で施設に行った事が学校にバレる。
ハナムは自分がアンガスに父親に合うよう促したとしてアンガスを庇う。
アンガスは退学を免れたが、ハナムは退職させられる。
ハナムの温情を深く受け止めたアンガス。
2人は新しい人生に踏み出す。


地味だけど心温まる作品で、133分の長尺を感じさせない良い流れだった。
(ここでは全部は書ききれないので、いくつかのエピソードは省きました。)
アレクサンダー・ペイン監督、上手い。
アカデミー賞等の常連なのがわかる。
登場人物達は、それぞれ不器用で不遇ながらも、
人の心の優しさが数珠のように少しずつ繋がって、お互いを支え合っている。
少しずつの思いやりと優しさが、人の人生を大きく変えていくのだろう。
皆を救ってくれるスーパーヒーローではなく、
人と人との小さな優しさの繋がり。

今作でも2人がボストン旅行を楽しむ場面があるけれど、
ペイン監督は自作で、そういう御当地紹介みたいな場面を盛り込むんだって。




実話を基にした社会派コメディ映画。
第72回ベルリン国際映画祭、主演俳優賞、脚本賞受賞。


2001年、9.11アメリカ同時多発テロの1ヶ月後、
ドイツで暮らすトルコからの移民一家クルナス家の長男ムラートが、
結婚相手の宗教について学ぼうと行ったパキスタン旅行中に、
タリバンとの疑いをかけられ、逮捕され、
悪名高きキューバのグアンタナモ米軍基地収容所に収監された。
知らせを受けた母親ラビエは、人権派弁護士ベルンハルトに救出を依頼する。

ドイツ在住のトルコ移民という立場の為、両国政府の支援を得られず、
キューバに置かれた米軍基地収容所という特殊性から、
現地とのやり取りも叶わず、救出手続きは難航する。

ベルンハルトが国際社会への訴えかけとして
母親であるラビエを記者会見等の表舞台に立たせると、次第に注目を集め、
遂にはブッシュ大統領を相手取った裁判となる。
(ブッシュ大統領は登場しませんが。)

度々失意の底に落とされながらも、諦める事なく戦い、
およそ4年後にようやくムラート救出となった。


テロ、グアンタナモ、等々、生々しい記憶が蘇る。
今作の主人公ラビエは、まさに肝っ玉かあさんという感じで、
何事も無ければ、3人の息子を育てる専業主婦として、家事に勤しみ、料理好き。
一転して、家族の危機に際して、パワフルで、めげず、押しの強さを発揮する。
ラビエの天然な明るさが元のテーマの暗さを吹き消している。
ベルンハルトも、最初はラビエの押しの強さに閉口しながらも、
次第に心惹かれて行っているように見える。

結果として、ベルンハルトの粘りと戦略が功を奏して救出に漕ぎ着けたわけだけど、
4年は長いなぁ...。
生きていて良かった。
長期の収監はトラウマを引き起こしただろうけど、
あの元気一杯のお母さんがそばに居れば大丈夫だって思える。
夫と下の幼い2人の息子達も、母親不在をよく我慢した。
母親がいない間、自分達で食事の工夫をしたりしてた姿も健気。
家族愛にジワる。

リチャード・リンクレイター監督、グレン・パウエル主演、
実話を基にしたクライムコメディ映画。


哲学の大学教授ゲイリーは、電子工学の才能を生かして、
警察の盗聴機器の設定等で捜査協力をしている。
殺人依頼事件の囮捜査官ジャスパーが不祥事を起こして捜査から外されると、
急遽ゲイリーが囮捜査官に任命される。
普段は地味で冴えない風貌のゲイリーが、囮捜査官として才能を発揮。
捜査対象に合わせて様々な役柄に扮する事で、自分自身を解放させていく。
(ここまでの展開が実話ベースで、後半は完全なフィクション。)

夫のDVに苦しむ若い美女マディソンが夫の殺害を依頼して来たが、
イケメン殺し屋「ロン」に扮しているゲイリーは殺害を止まるよう説得し、
2人は急接近。
後日、夫は殺害され、保険金目当てのマディソンの犯行だとわかる。
殺し屋ロンに扮したままゲイリーはマディソンを助けようとするが、
捜査から外されてゲイリーを妬むジャスパーが2人を恐喝。
ゲイリーはマディソンに自分の正体をバラした上で、
2人で手を組んでジャスパーを殺害し、夫殺しの罪を着せる。

2人は結婚して家庭を築き、めでたしめでたし。


ブラックコメディとして高く評価されたそうだけど、どうにもダメだった。
リンクレイター監督とも、グレン・パウエルとも、私は相性悪いみたい。
好みは別にして、イケメンでマッチョ体型のグレンが、
大学で少々冴えない服装をしていたとしても、カッコイイのは見て取れるし、
囮捜査で紛争に工夫を凝らす才覚があるんだから、
普段の格好だって、いくらでも見た目良くできるわけで。
それで学生達に冴えないとバカにされてたなんて、無理がある。
囮捜査官になったら急に堂々とした演技ができるようになるのも無理っぽい。

で、このマディソンって女が、どうも変。
夫のDVに苦しんでたなんて、殊勝な様子を見せながら、
次に会った時は大胆なコスプレでゲイリーを誘惑。
もう、怪しさ満点。
結局、マディソンの思い通りになるよう、ゲイリーも乗っかっちゃったって事?

ブラックコメディなんだとしても、スッキリしないし、楽しめない。
やっぱり結末は「なるほど」と思わせてくれなきゃ。



実話をモチーフにしたドラマ映画。


ジョージア州サバンナ。
23年前、当時36歳のグレイシーと13歳のジョーが恋愛関係になり、
「メイ・ディセンバー事件」として世間を騒がせた。
グレイシーは実刑となり、服役中に出産。
出所後、2人は結婚し、家庭を築いている。

事件が映画化される事になり、
主演女優エリザベスがグレイシーとその家族をリサーチしに訪れる。

現在59歳のグレイシーと36歳のジョーは、
一般的な、満足のいく生活をしていたが、
生活に入り込んで来るエリザベスに不安を募らせる。

年下の少年と恋愛関係に陥った事件性とは裏腹に、非常に保守的なグレイシー。
一方で、ジョーは早過ぎた結婚で、青春をやり残したと感じている様子。
エリザベスは当初、年の差婚に不信感を抱いていたが、
リサーチする中で、ジョーに不思議な魅力を感じ、成り行きでベッドインする。

エリザベスの登場に心をかき乱されながらも、人生は続く。


元の事件は有名で、今作はその事件に基づいたものかと思ったけど、
そうではなくて、あくまでもモチーフであって、全体はほぼ創作となる。
少し安心した。
まんま実話だったら、観るのが結構辛い。

事件の映画化の為に当事者達をリサーチする中で、葛藤を呼び起こすという
トリッキーな設定。

何故、極端に年の離れた2人が愛し合い、結婚生活を続けているのか。
(実際の事件では、結婚から10数年後に男性から離婚の申立てがなされた。)

保守的な家庭で育てられたグレイシーは、自らも保守的な価値観を強く示す。
娘が大学の卒業パーティー用に選んだドレスを、腕が太く見えると否定し、
膨らんだ袖の付いたドレスを選ばせる。
元夫との息子ジョージーは、エリザベスに、
グレイシーが子供時代に実の父兄から性的虐待を受けていたと話す。

グレイシーはこれを否定しているが、おそらく事実であり、
人格形成に大きく影響したと推察される。
もとより南部の保守的な家庭で育てられ、性的虐待が加えられた事で、
更に、男性への従属、畏怖、依存等々の傾向が強くなった。
最初の出会いの頃にも、グレイシーはジョーがリードしていたと言う。
それは、ジョーが年齢よりも大人びていると言うだけでなく、
「男性」に逆らえないグレイシーの性質にもよると思われる。
精神的な強さと弱さが複雑に入り組んでいる。

一方、ジョーは、妻のグレイシーと子供達を守ろうという常識を持ちながらも、
不完全だった青春時代に未練を感じているのか、
他の女性と浮気じみた付き合いをしたり、
飛び立つ事を夢想してか、希少種の蝶の飼育や孵化に熱心に取り組んでいる。

エリザベスは、女優としての野心を持ってやって来たが、
既成概念の強さからか、グレイシーの本質を理解出来たようには見られない。

未成年との性行為が違法とされるとしても、
何れにしても、
当事者の心の内までは裁けない。

グレイシー役のジュリアン・ムーアが素晴らしい。
数多くの栄誉に輝く名女優ながら、その容姿が個人的にあまり好きではなかった。
でも、出来る事ならば、今作でアカデミー賞主演女優賞を授けたい。