忍者ブログ
マンガ家Mの日常
第一次世界大戦後のウィーンを舞台にした、
オーストリアとルクセンブルク製作のサスペンス映画。


第一次世界大戦が終結し、ロシアで抑留されていたペルク達も帰還する。
ウィーンは荒廃し、帰還兵達は大きな怪我やトラウマを抱えて、
頼るあてもなく途方にくれていた。

ペルクと共に帰還したクライナー中尉が、何者かに拷問、殺害された。
クライナーがペルクの住所のメモを持っていた事から、
ペルクは警察署に連行され、かつての同僚レンナーと再会する。
レンナーは警視に昇格しており、
戦時中は援助を餌にペルクの妻と関係を持っていた。
それを知ったペルクは妻と子供が待つ自宅に帰れずにいた。

元警部のペルクはクライナー殺害の捜査に参加。
若手刑事セヴェリンと組まされる。
続けざまに第2、第3の殺人事件も発生し、ペルク自身も何者かに襲われる。
監察医テレーザは、学生時代にペルクに命を救われた過去があり、
ペルクを敬愛している。
テレーザからの情報と合わせて、ペルクは、
殺人事件とロシアの捕虜収容所との関係性に気づく。

捕虜収容所では、脱走を企てた兵士は残酷な拷問で殺され、
連帯責任として、無関係の捕虜も射殺されていた。
大勢の捕虜の命を守るべく、脱走をやめさせるよう、監督委員会が設置され、
数名の委員が指名された中に、クライナーやペルクもいた。
ある時20名が脱走計画を実行し、捕まって、拷問死させられた。
今回の殺害事件の手法が、ロシアでの拷問と同じやり方だった。

20名死んだと思われていたが、1名だけ生き残っていた。
それは、戦死したと思われていた、セヴェリンの実の兄だった。

(続く。)

PR

続いてアキ・カウリスマキ監督作品。
1957年生まれで、高く評価された初監督作品「罪と罰」公開が1983年、
カウリスマキ25〜6歳の頃だから、早熟の天才。


マッチ工場の検品の仕事をして、淡々と日々を過ごすイリス。
給料は母親と継父に横取りされ、家事まで全部やらされている。
時々ダンスホールに行くが、地味な格好なので、誰からも誘われない。
次の給料日に、ショーウィンドーで見かけた華やかなドレスを衝動買いする。
金の使い道を咎められ、継父に殴られるも、返品せず、
足りない分は、独立している兄に借りて継父に渡す。

ドレスを着てダンスホールに行くと、リッチな男性アールネに声をかけられ、
誘われるがままに自宅に行き、一夜を過ごす。
翌朝アールネはまだ寝ているイリスの枕元にお札を置いて出勤する。

イリスは再度アールネに会おうと連絡するが、
ただの一夜の遊びのつもりだったアールネはなかなか応じない。
何とかデートにこぎつけるが、はっきりと別れを告げられてしまう。

その後、妊娠が発覚。
アールネに知らせると、「始末してくれ。」という短いメモと小切手が届く。
絶望したイリスはフラフラと外に出ると、車にはねられ流産してしまう。

イリスは薬局で殺鼠剤を購入し、水に溶かして毒薬を作る。
最後の別れを伝えると言ってアールネ宅を訪問すると、
彼のグラスに殺鼠剤入りの毒薬を入れて殺害する。
帰り際に立ち寄ったバーで、ナンパして来た男のグラスにも毒を注ぐ。
自宅に戻り、夕食を作り、母親と継父のグラスにも毒薬を入れて殺害する。

その後、工場勤務中に刑事が来て連行される。


カウリスマキにしては珍しく、最後まで救いがない話。
同様の実際の事件があったりしたのかなぁ。

イリス役のカティ・オウティネンはカウリスマキ監督作の常連で、
「浮き雲」でも主演している。
知的でシャープな雰囲気で、美人の一歩手前といった感じが良いのかな。

シンプルなストーリーだから展開はわかるけど、全編、台詞が極端に少ない。
台詞が少ない分、観客は登場人物の心情により深く寄り添える。
演出、上手いよね。

アールネにフラれて流産した後のイリスは、
それまでのあらゆる我慢が完全崩壊。
声をかけて来ただけのナンパ男さえ、殺すのに躊躇いがない。
犯行が発覚して刑事に連行される時も、不敵な表情。

真面目に働いて来た女性が殺人犯になってしまうのは
悲劇以外の何でもないのだけど、
人に恵まれなかったのか、どこか臆病で世間知らずのままだったのか。
母親の支配が強かったのかな。
でも、兄は継父に反抗して家を出ていて、イリスにも優しい。
そういう人との出会いはもっとあった筈なのに。
「枯れ葉」や「浮き雲」では、ヒロインには良い友達がいて、
お互い貧乏だから特に何か役に立つというわけでもなかったけど、
良い話し相手になっていた。
今作のイリスはひたすら孤独だった。

悲惨な体験をしたけど、ある意味では成長出来たって事かな。

英語のタイトルは「The Match Factory Girl」で、
直訳して「マッチ工場の少女」で間違いはないんだけど、
工場で働いているくらいだから、「少女」って言う程幼くはないし、
カティ自身はこの時28歳くらい。
「マッチ売りの少女」にイメージを被せたんだろうなぁと思う。

オートメーション化されたマッチ工場の映像が面白い。
検品するだけのイリスの仕事は、さぞ退屈でシンドイだろうな。
心が固まってしまいそう。
そして、マッチ自体も近い将来廃れる運命にあって、
労働者達の先行きも見えない。
「枯れ葉」ではロシアのウクライナ進行のニュースがラジオから流れ、
今作では中国の天安門事件の報道がTVで流されている。
社会不安がはびこる世界で、貧しい労働者達が懸命に日々を生き抜いている。


ドラマ「将軍〜SHOGUN 」がエミー賞18冠に輝く快挙達成。
製作と主演の真田広之は、主演男優賞受賞。
作品賞も獲った。 

暫く前から話題になっていた作品だけど、Disney +独占放送なので、観られない。
そのうちWOWOWで一気放送やってくれないかなぁ。

前日、クリエイティブ部門の発表と授賞式があり、過去最多の14部門で受賞。
日本時間の今日、主要部門の発表と授賞式があり、
主演男優賞、主演女優賞、監督賞、作品賞の4冠が追加された。

真田広之が主演男優賞を受賞したのをネットニュースで見て、
Facebookの映画ファンのグループサイトに投稿。
その後暫くしてから、監督賞と作品賞の発表が報道された。

グループサイトでは、他の人達も同様の投稿をしていたが、
私の投稿が一番早かったのと、
投稿へのコメントにちゃんと返信しているので、その都度サイトの上位に上がり、
一番多くの「いいね!」をもらっている。
ささやかな勝利。(笑)

続けて、アキ・カウリスマキ監督作品。
不況に苦しむ中年男女の設定が「枯れ葉」と少し被る。


レストランの給仕長イロナと市電運転手ラウリ夫婦は、時同じくして失職。
不況で再就職しても、二転三転。
イロナが働き始めた安食堂は税務調査が入って、給料未払いのまま終わる。
ラウリは運転手として再就職出来そうだったが、
寸前で耳の障害が見つかって、不採用となってしまう。
生活の支払いも滞るようになり、家財を差し押さえられる。

かつての同僚からレストラン開業を勧められるが、銀行から融資を断られ、
計画頓挫しそうになった時、偶然美容院でレストランの元オーナーと再会し、
融資してもらえる事になった。
イロナは元同僚達を呼び集め、開業。
無事、客が集まって来た。


「枯れ葉」同様、ささやかな人生の断章。
北欧の寒さで、人の表情は大きくはないけれど、感情は十分に伝わって来る。

夫婦の部屋に子供の写真が飾ってあり、病気か事故か分からないけど、
早くに亡くした様子が伺える。
この夫婦は、そういう悲劇も乗り越えて来た、信頼で結ばれている。
ラウリは、気休め程度かもしれないけど、
愛する妻の為に、時々花を買って来る。
家財が無くなって、床で仕事や食事をする羽目になってもめげない。

「枯れ葉」でホラッパがアルコール依存症から立ち直るエピソードがあって、
今作でも失業中の元同僚がアルコール依存症になり、
レストラン再開の為に更生施設に入所させられ、立ち直る。
依存症はそう簡単には治らないと思うし、
レストランの元オーナーが融資してくれたのも、まぁ、出来過ぎ。

でも、
人生、山あり谷ありで、
良い事も悪い事も、何度でも巡って来る。

でも、
この夫婦は、何度でも乗り越えるんだろう。

フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督作品。
労働者階級の中年カップルの恋愛を描いた。
2017年に一旦は監督業からの引退を発表したが、今作で復帰。
作中、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースがラジオから流れるシーンがあり、
反戦の訴えかけの意味合いもあったのだろうか。


スーパーマーケットの「ゼロ時間契約社員」として働くアンサ。
ホームレスの青年がスーパーのゴミ箱から期限切れ食品を漁っていたのを
見逃したところを、主任に咎められ、クビにされた。
不況の中、就職口を探し、工場での肉体労働も厭わず、真面目に働く。

工事現場で働くホラッパは、アルコール依存症で、
仕事中の飲酒が発覚して、度々クビになる。

それぞれ友達と行ったパブで出会い、お互い何となく気になる。

ホラッパが街の映画館の前に居たところに偶然アンサが通りかかり、
アンサはメモ用紙に電話番号を書いて渡すが、ホラッパは落としてしまう。
連絡がつかないまま時を過ごして居たが、
ホラッパはまたアンサが映画館前を通ると考え、待ち続け、再会を果たす。

穏やかにデートを重ね、関係が深まって来るが、
ホラッパのアルコール依存症に気付いたアンサは別れを切り出す。

繰り返し仕事をクビになって居たホラッパは、反省し、
依存症の会に通うなどして治療に努め、改めてアンサに会いに行く。
アンサはホラッパを受け入れる。


ネットで検索すると、「ゼロ時間契約」とは、最低労働時間の保証もなく、
雇用者側が一方的に希望のシフト時間を決め、解雇もいつでもOKという、
ブラックな雇用形態で、近年、欧州で問題となっているらしい。
でも、今作では、特に労働争議に発展するわけでもなく、
アンサは厳しい労働環境の中で黙々と働く。
声を荒げないのが、カウリスマキ監督の表現なのだろう。

一方のホラッパも、気の良い男なんだけど、
アルコール依存症で、工事現場を転々とするその日暮らし。
この2人がカップルになって、大丈夫なのかなぁと思ってしまうけど、
人生、山あり谷ありで、どうにかやって行くのがカウリスマキ流。
贅沢は出来なくても、2人でほっこり生活するのが幸せで良いじゃない。

まぁ、でもね、アルコール依存症って、そう簡単には治らないだろうなぁ。
寒い国だし。

WOWOWのカウリスマキ特集で、
やはり中年夫婦の生活を描いた「浮き雲」も観たら、
こちらも、しっかり者の女性と、バタバタする男性の組み合わせ。