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マンガ家Mの日常
フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督作品。
労働者階級の中年カップルの恋愛を描いた。
2017年に一旦は監督業からの引退を発表したが、今作で復帰。
作中、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースがラジオから流れるシーンがあり、
反戦の訴えかけの意味合いもあったのだろうか。


スーパーマーケットの「ゼロ時間契約社員」として働くアンサ。
ホームレスの青年がスーパーのゴミ箱から期限切れ食品を漁っていたのを
見逃したところを、主任に咎められ、クビにされた。
不況の中、就職口を探し、工場での肉体労働も厭わず、真面目に働く。

工事現場で働くホラッパは、アルコール依存症で、
仕事中の飲酒が発覚して、度々クビになる。

それぞれ友達と行ったパブで出会い、お互い何となく気になる。

ホラッパが街の映画館の前に居たところに偶然アンサが通りかかり、
アンサはメモ用紙に電話番号を書いて渡すが、ホラッパは落としてしまう。
連絡がつかないまま時を過ごして居たが、
ホラッパはまたアンサが映画館前を通ると考え、待ち続け、再会を果たす。

穏やかにデートを重ね、関係が深まって来るが、
ホラッパのアルコール依存症に気付いたアンサは別れを切り出す。

繰り返し仕事をクビになって居たホラッパは、反省し、
依存症の会に通うなどして治療に努め、改めてアンサに会いに行く。
アンサはホラッパを受け入れる。


ネットで検索すると、「ゼロ時間契約」とは、最低労働時間の保証もなく、
雇用者側が一方的に希望のシフト時間を決め、解雇もいつでもOKという、
ブラックな雇用形態で、近年、欧州で問題となっているらしい。
でも、今作では、特に労働争議に発展するわけでもなく、
アンサは厳しい労働環境の中で黙々と働く。
声を荒げないのが、カウリスマキ監督の表現なのだろう。

一方のホラッパも、気の良い男なんだけど、
アルコール依存症で、工事現場を転々とするその日暮らし。
この2人がカップルになって、大丈夫なのかなぁと思ってしまうけど、
人生、山あり谷ありで、どうにかやって行くのがカウリスマキ流。
贅沢は出来なくても、2人でほっこり生活するのが幸せで良いじゃない。

まぁ、でもね、アルコール依存症って、そう簡単には治らないだろうなぁ。
寒い国だし。

WOWOWのカウリスマキ特集で、
やはり中年夫婦の生活を描いた「浮き雲」も観たら、
こちらも、しっかり者の女性と、バタバタする男性の組み合わせ。




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