続いてアキ・カウリスマキ監督作品。
1957年生まれで、高く評価された初監督作品「罪と罰」公開が1983年、
カウリスマキ25〜6歳の頃だから、早熟の天才。
マッチ工場の検品の仕事をして、淡々と日々を過ごすイリス。
給料は母親と継父に横取りされ、家事まで全部やらされている。
時々ダンスホールに行くが、地味な格好なので、誰からも誘われない。
次の給料日に、ショーウィンドーで見かけた華やかなドレスを衝動買いする。
金の使い道を咎められ、継父に殴られるも、返品せず、
足りない分は、独立している兄に借りて継父に渡す。
ドレスを着てダンスホールに行くと、リッチな男性アールネに声をかけられ、
誘われるがままに自宅に行き、一夜を過ごす。
翌朝アールネはまだ寝ているイリスの枕元にお札を置いて出勤する。
イリスは再度アールネに会おうと連絡するが、
ただの一夜の遊びのつもりだったアールネはなかなか応じない。
何とかデートにこぎつけるが、はっきりと別れを告げられてしまう。
その後、妊娠が発覚。
アールネに知らせると、「始末してくれ。」という短いメモと小切手が届く。
絶望したイリスはフラフラと外に出ると、車にはねられ流産してしまう。
イリスは薬局で殺鼠剤を購入し、水に溶かして毒薬を作る。
最後の別れを伝えると言ってアールネ宅を訪問すると、
彼のグラスに殺鼠剤入りの毒薬を入れて殺害する。
帰り際に立ち寄ったバーで、ナンパして来た男のグラスにも毒を注ぐ。
自宅に戻り、夕食を作り、母親と継父のグラスにも毒薬を入れて殺害する。
その後、工場勤務中に刑事が来て連行される。
カウリスマキにしては珍しく、最後まで救いがない話。
同様の実際の事件があったりしたのかなぁ。
イリス役のカティ・オウティネンはカウリスマキ監督作の常連で、
「浮き雲」でも主演している。
知的でシャープな雰囲気で、美人の一歩手前といった感じが良いのかな。
シンプルなストーリーだから展開はわかるけど、全編、台詞が極端に少ない。
台詞が少ない分、観客は登場人物の心情により深く寄り添える。
演出、上手いよね。
アールネにフラれて流産した後のイリスは、
それまでのあらゆる我慢が完全崩壊。
声をかけて来ただけのナンパ男さえ、殺すのに躊躇いがない。
犯行が発覚して刑事に連行される時も、不敵な表情。
真面目に働いて来た女性が殺人犯になってしまうのは
悲劇以外の何でもないのだけど、
人に恵まれなかったのか、どこか臆病で世間知らずのままだったのか。
母親の支配が強かったのかな。
でも、兄は継父に反抗して家を出ていて、イリスにも優しい。
そういう人との出会いはもっとあった筈なのに。
「枯れ葉」や「浮き雲」では、ヒロインには良い友達がいて、
お互い貧乏だから特に何か役に立つというわけでもなかったけど、
良い話し相手になっていた。
今作のイリスはひたすら孤独だった。
悲惨な体験をしたけど、ある意味では成長出来たって事かな。
英語のタイトルは「The Match Factory Girl」で、
直訳して「マッチ工場の少女」で間違いはないんだけど、
工場で働いているくらいだから、「少女」って言う程幼くはないし、
カティ自身はこの時28歳くらい。
「マッチ売りの少女」にイメージを被せたんだろうなぁと思う。
オートメーション化されたマッチ工場の映像が面白い。
検品するだけのイリスの仕事は、さぞ退屈でシンドイだろうな。
心が固まってしまいそう。
そして、マッチ自体も近い将来廃れる運命にあって、
労働者達の先行きも見えない。
「枯れ葉」ではロシアのウクライナ進行のニュースがラジオから流れ、
今作では中国の天安門事件の報道がTVで流されている。
社会不安がはびこる世界で、貧しい労働者達が懸命に日々を生き抜いている。
1957年生まれで、高く評価された初監督作品「罪と罰」公開が1983年、
カウリスマキ25〜6歳の頃だから、早熟の天才。
マッチ工場の検品の仕事をして、淡々と日々を過ごすイリス。
給料は母親と継父に横取りされ、家事まで全部やらされている。
時々ダンスホールに行くが、地味な格好なので、誰からも誘われない。
次の給料日に、ショーウィンドーで見かけた華やかなドレスを衝動買いする。
金の使い道を咎められ、継父に殴られるも、返品せず、
足りない分は、独立している兄に借りて継父に渡す。
ドレスを着てダンスホールに行くと、リッチな男性アールネに声をかけられ、
誘われるがままに自宅に行き、一夜を過ごす。
翌朝アールネはまだ寝ているイリスの枕元にお札を置いて出勤する。
イリスは再度アールネに会おうと連絡するが、
ただの一夜の遊びのつもりだったアールネはなかなか応じない。
何とかデートにこぎつけるが、はっきりと別れを告げられてしまう。
その後、妊娠が発覚。
アールネに知らせると、「始末してくれ。」という短いメモと小切手が届く。
絶望したイリスはフラフラと外に出ると、車にはねられ流産してしまう。
イリスは薬局で殺鼠剤を購入し、水に溶かして毒薬を作る。
最後の別れを伝えると言ってアールネ宅を訪問すると、
彼のグラスに殺鼠剤入りの毒薬を入れて殺害する。
帰り際に立ち寄ったバーで、ナンパして来た男のグラスにも毒を注ぐ。
自宅に戻り、夕食を作り、母親と継父のグラスにも毒薬を入れて殺害する。
その後、工場勤務中に刑事が来て連行される。
カウリスマキにしては珍しく、最後まで救いがない話。
同様の実際の事件があったりしたのかなぁ。
イリス役のカティ・オウティネンはカウリスマキ監督作の常連で、
「浮き雲」でも主演している。
知的でシャープな雰囲気で、美人の一歩手前といった感じが良いのかな。
シンプルなストーリーだから展開はわかるけど、全編、台詞が極端に少ない。
台詞が少ない分、観客は登場人物の心情により深く寄り添える。
演出、上手いよね。
アールネにフラれて流産した後のイリスは、
それまでのあらゆる我慢が完全崩壊。
声をかけて来ただけのナンパ男さえ、殺すのに躊躇いがない。
犯行が発覚して刑事に連行される時も、不敵な表情。
真面目に働いて来た女性が殺人犯になってしまうのは
悲劇以外の何でもないのだけど、
人に恵まれなかったのか、どこか臆病で世間知らずのままだったのか。
母親の支配が強かったのかな。
でも、兄は継父に反抗して家を出ていて、イリスにも優しい。
そういう人との出会いはもっとあった筈なのに。
「枯れ葉」や「浮き雲」では、ヒロインには良い友達がいて、
お互い貧乏だから特に何か役に立つというわけでもなかったけど、
良い話し相手になっていた。
今作のイリスはひたすら孤独だった。
悲惨な体験をしたけど、ある意味では成長出来たって事かな。
英語のタイトルは「The Match Factory Girl」で、
直訳して「マッチ工場の少女」で間違いはないんだけど、
工場で働いているくらいだから、「少女」って言う程幼くはないし、
カティ自身はこの時28歳くらい。
「マッチ売りの少女」にイメージを被せたんだろうなぁと思う。
オートメーション化されたマッチ工場の映像が面白い。
検品するだけのイリスの仕事は、さぞ退屈でシンドイだろうな。
心が固まってしまいそう。
そして、マッチ自体も近い将来廃れる運命にあって、
労働者達の先行きも見えない。
「枯れ葉」ではロシアのウクライナ進行のニュースがラジオから流れ、
今作では中国の天安門事件の報道がTVで流されている。
社会不安がはびこる世界で、貧しい労働者達が懸命に日々を生き抜いている。
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