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マンガ家Mの日常
昨夜放送されたTVドラマ「家政夫のミタゾノ」に、
昨年末亡くなられた中山美穂がゲスト出演していたので、
チャンネルをそのままに、見入った。 

裕福な家庭に嫁いだ女性(中山美穂)が、夫の無関心と浮気に悩まされ、
中学時代の淡い初恋相手に気持ちが揺れるというストーリー。
切ない場面もあり、コメディ要素もあり。
少女時代から、現在の熟年夫婦、未来の老夫婦まで、イメージが繋がり、
走馬灯のように、中山美穂の人生を振り返るような感覚があった、

録画して視聴したので、TV画面を何枚か写真に納め、
Facebookの映画ファンのグループに投稿したところ、
予想を遥かに上回るリアクションがあった。

普段の投稿では、そこそこ人気の投稿でリアクション100件。
コメント無しに、数件でスルーされる事も少なくない。
ところが、今回は桁違いで、
一晩でリアクションは3000件を超え、シェアも40件を超えている。
コメントは50件程で、それぞれに返信するのもなかなか大変。

中山美穂の圧倒的人気ぶりが伺える。

何か映画が放送されたら、観てみよう。
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ヌーヴェルバーグ最後の巨匠エリック・ロメール、長編初監督作品。


38歳、自称音楽家ピエールは、裕福な友人達にたかりつつ、
気ままな暮らしをしていた。
伯母が亡くなり、莫大な遺産を相続するという電報を受け取る。
遺産をあてにして友人から金を借りてパーティーをするが、
間も無く、遺産は従兄が全部相続するという遺言書が見つかる。

家賃滞納でアパートを追い出され、手持ちの金もすぐに底をつく。
頼みの綱の友人達は、夏のバカンスや仕事の出張で海外に出掛けて不在。
一文無しでパリを彷徨う。
倒れかけたところを、浮浪者に助けられ、
一緒に通りで歌を歌うなどして小銭を稼いで凌いでいた。

出張から戻った友人ジャン=フランソワがピエールを心配して探し回ると、
宿泊費を滞納したホテルでピエール宛の郵便物を手渡される。
従兄が交通事故死して、遺産は全額ピエールのものになったという連絡だった。
街中でピエールを見つけて遺産相続の話を伝えると、
ピエールは浮浪者を置き去りにして、パーティーをしようとはしゃぐ。


ロメール監督の作品で最初に観たのは「緑の光線」で、
若い女性の繊細な心模様が丹念に描かれていて、
そこそこの年齢のオジサンが、どうしてこんなにも若い女性の心理を
的確に描けるのだろうと驚かされた。

今作の主人公は、腐りかけの中年男。
「アリとキリギリス」を彷彿とさせる「教訓話」シリーズの一環。

そりゃね、あっという間に落ちぶれて、酷い状態で路頭に迷い、
死ぬんじゃないかと思われる様子だったから、
何とか助かる道を見つけて、ハッピーエンドになって欲しいと思ったけど、
何だかね、このオッサン、全く反省していない。
莫大な遺産を相続しても、いずれ使い果たして元の木阿弥なんじゃなかろうか。
それが人間のサガなのかな。

でも、何のかんの言っても、
友人達はピエールの存在を面白がっていて、ボチボチ助けちゃうんだろうな。
それもまた人間のサガ?




昨年のWOWOW、フランスの料理映画特集から。
若き有名パティシエ、ヤジッド・イシュムランの半生を描いた伝記ドラマ映画。


モロッコからの移民2世ヤジッド。
父親不在、母親育児放棄で、愛情深い里親の元で育てられた。
里親宅で出される手作りケーキに喜びを見出し、パティシエを目指す。
車での泊まりする生活を続けながら、パリの高級レストランで修行を積み、
ステップアップして、パティスリー世界選手権出場のチャンスを得ると、
フランスチームの一員として若干22歳で優勝を掴み、世界に名を知られる。


不遇な少年のサクセスストーリーと言ってしまえば簡単なのだけど、
実話であるという重み。
ヤジッドは8歳で里親の元から養護施設に移され、
14歳からパティシエの見習いとして働き始める。
施設から列車で片道2時間かけてパリに通う毎日を送った後、
17歳でパリに出て、車上生活。
友人の助け、ヤジッドの努力と腕前を正しく評価してくれるシェフ等々、
周囲の人々にも恵まれた。
選手権が近くなると、住まいとしてホテルの1室も与えられた。
アルコール依存症で育児放棄の母親からは逃げるように暮らしていたが、
その母親が病気で入院し、余命僅かとなると、
里親は、ヤジッドが里親の為に作ったケーキを、母親の病室に届けた。

辛い境遇を言い訳にしないヤジッドと、
彼を支える周囲の人々の優しさ。
意地悪な先輩もちょこっと出てくるけど、大きな騒ぎにはならない。
実話なので、ストーリーの起伏に欠けるきらいはあるが、
丹念な努力が身を結ぶ様子は美しい。

タイトルの「パリ・ブレスト」は、リング状のパイ・シュー菓子。
子供時代や修行中のヤジッドが、完璧なお菓子をイメージしながらも、
出来上がった物がグチャグチャだったりするのが微笑ましい。

年末、景気の良い映画を観ようと、
人気が高かったという触れ込みのラブコメ映画に着手。


ボストン大学ロー・スクールに通うビーとエリート金融マンのベンは、
偶然の出会いから一目惚れして、その日のうちにベッドイン。
朝方、ビーがベンの部屋をそっと抜け出すと、
振られたと勘違いしたベンは、罰の悪さから友人にビーの悪口を言ってしまい、
それを聞いたビーはベンを恨むようになる。

暫くの後、ビーの姉とベンの友人(女性)がシドニーで挙式する為、
2人も参列者として同行する。

ビーの両親は元婚約者ジョナサンと復縁させようとするが、
面倒に思ったビーは、ベンに偽の恋人役を頼む。
ベンは、元カノのマーガレットを嫉妬させようと、ビーの企みに乗る。
周囲を巻き込んでドタバタと騒ぐうちに、ビーとベンの誤解も解け、
気持ちが接近していく。

両親のたっての希望だった法律家の道は、自分には合わないと思い、
ビーはロー・スクール退学の手続きをしていた。
それが両親にバレたのがベンのせいだと思って、再び険悪になりかけるが、
最後には互いの気持ちを伝え合い、
めでたしめでたし。


シェークスピアの戯曲「空騒ぎ」をベースにした作品らしい。
原作をうまく処理出来なくて、不自然な展開になっちゃったのかな。

前半、カフェでの出会いや、
シドニー行きの機内でクッキーを取るエピソードはそれなりに良くて、
期待したんだけど、
シドニーに着いてからは、美男美女のゴージャスな裸と下ネタがメインの、
ただのドタバタになってしまって、不自然さも目についた。
機内で、エコノミーのビーがトイレを探してビジネスの区域に入るのは、
まぁ、その後のエピソードの為に見逃すとしても、
ラストで、ベンがビーを追いかける為に、わざと海に飛び込んで、
海難救助ヘリを出動させて、それでビーの元に行くってのは、
大人の映画としては無茶が過ぎる。あり得ない。

とにかく、何をおいても嫌だったのは、
姉とそのパートナーの結婚式を祝う為に来ているのに、
ビーとベンの恋愛のゴタゴタに、両親を含めて、皆の気を遣わせている点。
自己中なカップル。
全然応援出来なかった。

ビー役のシドニー・スウィーニーはドラマで大ブレイクした注目の若手。
でも、今作では形の良い大きなおっぱいにしか魅力を感じなかった。
ベン役も、ブレイクが期待される若手グレン・パウエル。
今作ではとにかく、ただゴージャスな裸を見せまくっていた。
そりゃね、本人達の責任じゃないんだけど。




「ゴーン・ガール」で、知的で冷酷な女性を演じて話題になった
ロザムンド・パイクが、またもや知的で冷酷な女性を演じた。


高齢者の後見人を務めるマーラは、パートナーのフランや医師のカレンと共に、
金持ちで身寄りの少ない高齢者に認知症の診断書を出しては、
裁判所で保護命令を取り付けて、強引にケア施設に入所させ、軟禁し、
亡くなるまでの間、彼らの財産を搾取して儲けていた。

次に狙いをつけて入所させた老女ジェニファーは、
実はギャングの大物ローマンの母親で、密売等の仲介も行っていた。
ローマンは母親を取り戻すべく、弁護士を立てて裁判を行うが、
母子共々欧州からの不法移民で、裏社会の人間で、身分を偽装していた為、
裁判に出廷する事も出来ず、敗北。
手下を施設に送り込んで、力づくで奪還しようとするが、失敗。
元警官だったフランの調査で彼らの正体が判明する。

ローマンはマーラに大金の提供を申し出るが、拒否されると、
脅しに転じて、手下にカレンを殺させる。
身の危険を感じて、マーラとフランは別宅に逃げるが、
ローマンの手下に捕まり、フランは重傷を負う。
マーラは事故に見せかけて車ごと水没させられるが、必死に逃げ出すと、
ローマンへの復讐を計画。
薬物で意識不明にさせて、裸で道路に放り出す。
マーラは保護されたローマンの後見人になり、生殺与奪の力を見せつける。

ローマンはマーラの実行力や肝の座りように感服し、
後見人ビジネス拡大の出資を申し出る。
ローマンの資金とビジネス戦力を活かし、大規模なビジネスを展開し、
大成功を収める。
莫大な収入を得て、一躍トップに躍り出たが、
かつてマーラによって母親と引き離され、恨みを募らせた男性に射殺される。


クールビューティなロザムンド・パイクの個性が光る。
ただ、前半の後見人詐欺の闇が話の核としてサイコな展開を期待したけど、
後半のギャングとのやり合いは、スリリングではあるものの、既視感がある。

マーラがどこまでもタフ。
何故そうも冷酷で金に執着するようになったか、詳細は描かれていないけれど、
ローマンがマーラの母親を脅しの材料に使おうとした時、
「毒親は好きにして良い。」と切り捨てたのが、前半生を物語っている。
一方で、ローマンはマザコンの領域くらいに母親に愛情深い。
愛情の無い後見人と、愛情深いギャングとの対比。
後見人ビジネスが今後どうなるか、他人事では無い。

ローマン役はピーター・ディンクレイジ。
「Nip/Tuck」の出演で覚えていたが、
最近は小人症をキャラクターの強みとして有利に見せ、幅広い役柄を掴んでいる。

ローマンの母親役はダイアン・ウィースト。
暫く映画出演を見ておらず、最初はわからなくて、
ローマンが古い写真を出したところで、ダイアン・ウィーストだと気づいた。
これまで見た映画では善良でお人好しな役が多かったが、
今作ではギャングのボスの母親として、鋭い目線でマーラを威圧している。

後見人詐欺ビジネスで成功を掴みながらも、最後は悪人の宿命として射殺される。
映画としては納得の締めくくりかな。

射殺される直前のTVインタビューで、終わりがけに
「楽しかった。」と一言残したのが、
彼女の波瀾万丈な人生を生き切った様が、ある意味爽やかに訴えかけてくる。