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マンガ家Mの日常
今月発売の「芸術新潮」で、
萩尾望都先生のラフスケッチを紹介する特集が組まれたとの事。
買いに行かなけりゃ。

萩尾先生の鉛筆によるスケッチは美しい。
タブレットでお手軽に書かれた線とは違って、生の感触がある。 

でも、
ふと思う。

最近の「芸術新潮」って、なんか違う。

「柔道」が「JUDO」になったように、
「芸術」が「ART」になったような。

萩尾先生が「芸術」として取り上げられて嬉しい反面、
「マンガ」が「芸術」と言われる面映さがある。

自分にとってはカタカナの「マンガ」であって、漢字の「漫画」でもなく、
「サブカルチャー」と呼ばれるのにも抵抗があった。
「マンガ」は、たとえ何歳になっても、子供の心を詰め込んだ、
キラキラした紙の束であって欲しい。

一方で、
売れ行き不振の「芸術新潮」は、
「ART」や「サブカルチャー」にも手を広げて、販路をキープしようとしている。
それは、「芸術」との離別の始まりのように見えて仕方ない。
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意図的に脱税しようとしたわけではなく、事件発覚で判決の後、すぐに納めた。 

気持ちはわからんではないよね。

お金の管理とか、マジ面倒臭いもん。

それに、何より、お金の事考えてたら、創作なんて出来ない。

でも、ご自宅の改装に使ったとか、色々あるみたいなんで、
大きなお金を使うことは使っちゃってたんだから、言い訳はし辛い。

それにしても、前回書いた通り、
出版社はどうしてたんだろうと思う。

加えて、この大ヒットの前だって、確定申告してなかったわけじゃあないだろう?

もしかして、ずっとしてなかったから、今回の事件に繋がった?

マンガ家がこんなにおバカさんだと世間に思われたら嫌だなぁ。

近年のデジタルコミックのヒット作「薬屋のひとりごと」の作画担当のマンガ家さんが、
3年間の所得2億6000万円に対する所得税4,700万円を脱税したとして、
懲役10ヶ月、執行猶予3年、罰金1,400万円の判決を受けた。

急に収入が増えて対応が追いつかず、目先の仕事や遊びを優先して、確定申告をサボり、
後で何年かまとめて支払えば良いと思っていたとか。
判決では、社会性の低さが指摘されていたけど、
年齢を見ると36歳となっていて、もう十分な大人じゃん。
デビューしたての18歳とかならまだしも、
36歳で確定申告知りませんでしたで通る筈もない。

とはいえ、
よくわからないのだけど、

通常、出版社の方で、原稿料も印税も、源泉徴収してるものなんだけど。
マンガ家は確定申告で経費や控除の数字を出して、実際の所得の数字を算出して、
いくらかなりと減税出来るようにする。
なので、確定申告しなかったら、源泉徴収そのまんまで、多めに納税となる、
…筈なんだけど。

出版社はどうしてたんだろう?

年収が5〜600万円を超えた辺りで、税理士さんにお願いしたりするもんだけど、
そういう事も考えつかなかったのかな。
で、周辺に、そういうアドバイスをしてくれるマンガ家仲間もいなかったのかな。
出版社もそういう相談に乗ったりするもんだけど、
マンガ家との繋がりも希薄だったのかな。

色々疑問を感じる。

で、
出版社は作品の連載は継続するって。
ドル箱だから。

何年か前、芸人のチュートリアル徳井義実さんが同じような脱税をしてしまった時は、
暫く仕事を干された。
TVの仕事は解禁になったけど、本格復帰と言うには遠い。

出版社は甘いって思われかねないかも。

先日、ネットニュースでささやななえこ先生の訃報に接した。

ところが、その後、購読中の新聞を見ても、訃報欄に記事が無い。

新聞は紙面が限られているので、
その日に他に重要なニュースが多ければ、カットされる記事もあるのは仕方ない。 
でも、何となく寂しい。

訃報を載せる基準とかあるのかな。
ささや先生は日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しておられるけど、
それではインパクトが弱いのかな。

例えば、
萩尾望都先生や山岸涼子先生は、知識人からの評価がすこぶる高い。
里中満智子先生や池田理代子先生、竹宮惠子先生は、メディアと親和性が高い。

一方で、
大和和紀先生は、申し分ないキャリアに反して、世間一般の知名度がやや低い。
マスコミに出たがらない方だからなのかな。

ささや先生は、作品群を振り返れば、大作は少ないように見える。
でも、叙情に満ちた画面の独自性は萩尾先生に匹敵する。
もっと評価されて然るべきと思う。

でも、
本当の少女マンガファンの心の中だけに残っていれば良いのだとも思う。

早朝、ネットニュースに驚く。

旧名の「ささやななえ」が馴染み深い。

小細胞肺がん。74歳。


世に言う「花の24年組」の1人。

少女マンガの世界を彩った可憐な花から、花びらが1枚抜け落ちた。

萩尾望都先生、山岸涼子先生ら、親交深い先生方の失意が寂しさを増幅させる。


「ダートムーアの少年」
「若葉の頃」
「あほんだら」

「りぼん」時代の叙情性豊かな作品が懐かしい。


随分前に、秋田書店の会長さんの葬儀でお姿をお見かけした。
社交に図々しくなれた今の自分なら、一言話かけられたかもしれないけど、
残念ながら機会を逸した。


ご冥福をお祈りします。