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マンガ家Mの日常
「魅入られた美女」再録にあたって、簡単な後書きコメントを提出。
編集長さんから早速受け取りの返信が届く。

再録料が下がっている事について伝えたら、
「売り上げ低下が少しあるのと、紙代、印刷代の高騰が原因」との回答。

紙媒体の売り上げ低下はあるものの、
出版業界全体としてはその分をデジタルの伸長で補っている筈なので、
ハーレクインの経営態勢に疑問を感じる。

そして、一番の問題は、
物価高で紙代や印刷代が値上がりしていながら、
外注であるマンガ家への支払いだけ下げられる、この大きな矛盾。
(新作を執筆している方々の原稿料がどうなっているかはわからない。)
何故、紙代や印刷代値上がり分を、再録料を削って支払いに当てるのか?
本来の売り上げで経費を賄えないのでは、ビジネスとして成立していない。

別の出版社、別の雑誌に移った場合、最初は不利な状況から始めざるを得ない。
結果を出してキャリアを積み、読者との関係を築く。
そうして、少しずつながらも原稿料が上がるのを期待する…筈が…。
振り返って、耐えていたあの期間は何だったんだろうと思う。

マンガ家だけが割を喰わせられる状況は深刻になるばかり。

出版社の社員さん達が、マンガ家と同様の待遇だったら、皆離職して、
出版社は崩壊するだろうな。
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朝、メールを開くと、送信者欄の知らない名前が目に入った。
詐欺メールか?

と思ったら、

ハーレクインの編集長さん。

ご無沙汰しているので、お名前がすっかり記憶から飛んでいた。
失礼しました。

「魅入られた美女」が来年1月15日発売の増刊号に再録されるそうです。

この紙媒体の低調な中、まだ増刊号を出せているのは立派。

でも、そのせいか何なのか、再録料がメチャ安い。
前回の別作品の再録から、更に下がった。

昔は、再録料って、元の原稿料の50%とされていたけど、
ハーレクインになってから、およそ15%。
そして今回の提示はおよそ10%。
物価高騰で、給与やバイトの最低賃金が僅かながらも上げられる中、
再録料だけは下がっていく。

悲しいかな、これが、少女誌女性誌の現実。


「魅入られた美女」のタイトルを久々に見て、
すぐにはどんな作品だったか思い浮かばず、本棚を確認。
コーヒーショップ経営のヒロインがブラジルに行く話でした。
何だかね、ぱっと見て作品内容が伝わらないタイトルって、やっぱりダメだね。

どうだろう。
作中、印象的だったのは、コーヒー豆栽培のエピソードで出て来るシェードツリー。
コーヒーの木を保護する役目の木。
例えば、精神的に苦悩する彼を、ヒロインが守るエピソードとか入れて、
タイトルもシェードツリーと繋げて、とか。
その方が、エピソードとしても、画像としても、イメージが膨らむ。

全部描き直したくなる。

「マンガの神様」手塚治虫先生に対して、
ちばてつや先生は、その人徳の高さから「仏様」と称されていた。

緻密構成力と豊かな人間味溢れる作品は、単なるヒーローものに終わらず、
読者の心に寄り添い続けた。

ちば先生は仕事場のアシスタントさん達にも温情深く、
早い段階から年金等の社会保障制度を整えておられたとか。

後年、反戦に向けた思いの強い作品を多く手がけられた印象。
「反戦」と「勲章」は相容れないようでもあるけれど、
ちば先生は、マンガ家や、マンガに携わる無数の人々を代表して受賞された。

偉大な業績に感謝。

唐沢なをき先生の兄で、コラムニストの唐沢俊一氏が亡くなられた。
多分、TVとかで以前見た事ある方。
その訃報をなをき先生が発表されたのだけど、文面が凄絶。

「彼は俺に対して嘘、暴言、罵倒を繰り返してきて20年以上絶縁状態でした。
晩年は金の無心も酷かったです」と告白。
続けて「冷たく聞こえるかもしれませんがこの話はもうしたくないので
お悔やみの言葉はご遠慮願います」
(ネットニュースからのコピー)

しんしんと身に沁みる。
形は違うけど、私も姉とは30年近く絶縁状態だから。

家族の形は色々。

今朝T2からメッセージが届いて、開けてみたら、
何と、
遥か遥か昔の拙著が、タイのオークションサイトで売りに出されていたとか。
もう売れてしまったらしい。
T2は、また探して、買えたら送ってくれるって。

横溝正史原作「悪霊島」。
思い出深い、最初のコミックス。

画像が貼り付けてあって、
表紙はやはり印刷が荒く、色味が違う。
本編のページを開いた画像は、やはり、紙がやや黄ばんでいる。
でも、それを、タイの誰かがずっと持っていたんだなぁ。
文字は全部タイ語に訳されている。

角川でお仕事させていただいていた頃、
韓国や台湾の翻訳版の出版の話はあって、契約書にも署名した。
でも、印税は雀の涙以下で、実際に支払われたのかどうかも不明なくらい。
当時は、海賊版を防ぐ為に、どんなに安価でも、早めに海外版の発行をしていた。

ただし、
タイでの発行については聞いた事が無いので、
これは海賊版。

いやはや。

でも、何となく嬉しいよね、
海賊版であっても、読んでくれてる人がいるというのは。

本編画像を見ると、
丁寧に描いているのは伝わるけど、
やはり、コマ割りや画面構成がイマイチな感じ。

それでも、当時は必死だった。