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マンガ家Mの日常
聴覚障害者を家族に持つ健常者「コーダ」である女子高生を描いた
ヒューマンドラマ映画。

2014年公開のフランス映画「エール!」のリメイクで、
設定はあちこち違うものの、全体の流れは同じ。
「エール!」については以前に記事に書いたので、
ここでは主だったストーリー紹介は省く。

「コーダ」はアカデミー賞作品賞、脚色賞、助演男優賞の3冠に輝く名作とされるが、
「エール!」を先に観ていた身としては、やはり「エール!」に軍配を上げる。
「コーダ」を先に観ていたら、またちょっと違う感想になったかもしれないのだけど。
そこは何とも言えない。

「エール!」の方は、さすがフランスで、エスプリが効いていて、
コメディシーンも上手い。
冒頭の、両親の性病の診察に主人公が同行して手話通訳をするシーンなどは、
やはり「エール!」の方がおかしみを感じられる。
それは、ドラマ作り全体のイメージとも共通していて、
フランス版のあっけらかんとした印象に対して、
アメリカ版はやや優等生的で、観客に感動を与えようとしている。
お国柄の違い。

フランス版では、両親は積極的に地域社会の前面に出て行こうとするタイプだったが、
アメリカ版では微妙に引いている。
おそらく、その方がリアルなんだろうけれど、個人的には残念に感じた。
コーラスの教師のキャラクターも、フランス版の方が面白い。
また、主人公の「弟」がアメリカ版では兄になっていて、
兄の恋愛ドラマも挟まれるが、
全体のバランスを考えると、散漫になり、エピソードとして余分だったように思える。

正直なところ、フランス版の出来が良いので、
アメリカでのリメイクは余計なんじゃないかなと思う。
でも、フランス版のエスプリがアメリカでは理解されず、
批判の対象となるような可能性も感じられる。

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