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マンガ家Mの日常
ニコール・キッドマン主演、サスペンスドラマのミニシリーズ、全8話。


ロシア人女性マーシャが運営する高級スパリゾート「トランクイラム」に
選ばれた9人の客が訪れる。
それぞれ複雑な事情を抱えていて、癒しを求めて来た。

ナポレオンとヘザーのマルコーニ夫妻と娘ゾーイは、
3年前に不意に自殺したジェシカの双子の兄ザックの思い出に苦悩。
ロマンス作家フランシスはネットのロマンス詐欺にあい、大金を騙し取られた。
元アメフトのスター選手トニーは、試合中の大怪我で引退し、
痛み止め薬の依存症となり、家庭崩壊。
記者で同性愛者のラーズは幼い頃からいじめを受け、
パートナーとは子供を持つかどうかで喧嘩別れ。
メイクアップアーティストのカーメルは、夫の浮気で家庭を失った。
若い美女ジェシカは、容姿ばかり気にする自分に嫌気がさしていた。
ジェシカの夫ベンは、宝くじで大金をゲットし、仕事への意欲を失くし、
無為な日々を過ごしていた。

マーシャは幻覚剤入りのドリンクを客に与えて、心理療法を試みる。
各自半ばパニック状態となり、自らの悩みが幻覚として迫って来る。
ゾーイはザックの幻影と会話するようになる。
ナポレオンは違法ドラッグの使用に疑念を持つが、
マーシャの治療プログラムは効果を示しており、皆、続行を決意する。

ロシアで幼い娘と共に生活していたマーシャだったが、
自転車の事故で娘を亡くし、悲嘆にくれて渡米。
金融関係の仕事でキャリアを築きつつ、夜は奔放に遊ぶ生活となった。
ある日突然、何者かに銃で打たれ、死にかける。
その時の臨死体験をきっかけに、仕事も生活も変えてトランクイラムを設立。
トランクイラムでは昨年高齢の男性客が突然死し、
裁判等の費用で経営状況が悪化していた。
また、マーシャは何者かに日々脅迫を受けていた。

脅迫の主はカーメルだった。
カーメルの夫はマーシャとのワンナイトを経験した後、
若い女性との浮気を繰り返すようになり、
遂にはカーメルを捨てて再婚し、2人の娘達も連れ去った。
カーメルは家庭崩壊の原因を作ったマーシャを恨み、変装して銃で撃った。
犯行を告白するカーメルをマーシャは受け入れると、
水槽に入る治療に導く。

マルコーニ一家の3人は、ザックの幻影との会話を同時体験するようになる。
マーシャはドラッグの量を増やし、3人の体験を完成させようとする。
それは、自らが亡くなった娘との再会を願った実験でもあった。

治療の実態が見えて来た客達はトランクイラムを去ろうと試みるが、
逆にカーメルと共に、水槽のある部屋に監禁されてしまう。
マーシャはスタッフに火を点けるよう指示する。
しかしそれはギミックで、死を覚悟した状況で心を解放するという
治療の最終段階だった。

側近スタッフのデライラの告発によって、マーシャは逮捕されるが、
マーシャの治療によって、人生の変革を迎えた客達は複雑な面持ちで見送る。

フランシスはトニーと恋人関係になり、
自分を含め、客達やマーシャの幸福な将来を紙に認める。


もっとホラーサスペンス的な展開になるかと思っていたが、
それ程でもなく、割と淡々と話が進んだ印象。
テンポは悪くなく、スムーズに見進められた。

ドラッグを使用して幻覚を引き起こす治療法に、果たして効果があるのか?
フィクションの設定に過ぎないけど、
薬漬け社会のアメリカではやっていそうだなぁ。

ザックの自殺を受け入れられるようになったマルコーニ一家は良いとしても、
亡くなった人やいない人達の幻影に癒されるという感覚が、
自分自身には当てはまらないように思えて、ちょっと虚しい。

年齢を重ねて、お顔の修正疑惑も囁かれるニコールだけど、
キャラクターに沿った神秘的な美しさを存分にたたえている。
マーシャ役のニコールとフランシス役のメリッサ・マッカーシーは
製作総指揮にも参加しており、実力を発揮している。

元アメフト選手トニー役はボビー・カナヴェイル。
うらぶれた風情を演じつつ、まだまだイケる?

ゲイの記者ラーズ役のルーク・エヴァンズは実生活でもゲイである事を公言。
現在ハリウッドでは、ゲイの役はゲイの俳優を配役するようになりつつある。
キャラクターを演じるのが俳優の役割だから、
そこは気にする必要はないようにも思えるけど、
カミングアウトし易くなるのは良い事なんだろうな。


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北欧の至宝マッツ・ミケルセン主演のサスペンスアクション映画。


特殊部隊の軍人マークスはアフガニスタンで任務遂行中に
デンマークで重大な列車事故に妻子が巻き込まれたとの連絡を受ける。
娘のマチルダは軽症で済んだが、座席に座っていた妻は死亡。
直前に席を譲ったオットーは自責の念にかられ、事故原因を調べ始める。

すぐ近くの席に、地元ギャングのボス、タンデムの裁判で
重要証人となる男が座っていて、その男は死亡。
事故直前の駅で降りた不審な男の姿も見かけた。
オットーは重要証人を排除する為に仕組まれたと考え、
友人のパソコンオタク、エメンタールに、降りた男の顔認証を依頼。
99%の確率で出たのはエジプト人で、
95%の確率まで下げると、タンデムの弟で電気技師のパレが浮上。
帰国したマークスに事件について知らせに行く。

任務に一途なマークスはマチルデと溝が出来ていた。
カウンセリングが必要だと言うマチルデを尻目に、
数学者オットーとレナート、エメンタールら天才オタク達の力を借りて、
タンデムへの復讐を遂行する。
パレの自宅に行くと、勢いでパレを殺害。
パレに囲われていたウクライナ人男娼ボダシュカは、タンデムに脅されて、
その時耳にしたエメンタールの名前を教える。
タンデムの部下4人がエメンタール襲撃に向かうが、
来訪していたマークスにバキバキ射殺される。
生き残ったボダシュカから話を聞く為に自宅に連れ帰ると、
気の良いボダシュカは得意な家事をしつつそのまま住みついてしまう。

ウクライナの貧困家庭に生まれ、男娼として売られたボダシュカ。
飲酒運転の事故で娘を亡くしたオットー。
幼い頃、父親や兄弟に性的虐待を受けていたレナート。
肥満ゆえに望みが叶わない人生を送ってきたエメンタール。
それぞれ苦悩を抱えた人生を送っていたが、
マークスの復讐劇に付き合う事で、ある種の殻を打ち破りつつあった。

しかし、ボダシュカからパレとの帰国日を知らされると、
列車事故の現場にいた男がパレではなかったと判明。
全てはオットーの思い込みだった。
しかし、しかし、攻撃を受けたタンデム達は重装備で襲撃に来た。
多勢に無勢で、重傷を負いながらも必死の応戦。
いよいよマークスが射殺されようとした時に、
勇気を奮い起こしたオットー達がギャング達を射殺。
無事生き延びた。

マークスとマチルデも和解し、皆で暖かなクリスマスを迎える。
めでたしめでたし。


統計学を専門とするオットーが、自ら「偶然」の罠にハマってしまった。
タンデム一家、冤罪で壊滅させられる。
まぁね、それ以前に山程悪事を働いて来たんだろうけど。
マークス達、何のお咎めも無く?
1回ちょっとタンデム達に謝っとこうか。(笑)

とある少女が青い色の自転車を欲しがった為、
儲けようとした自転車屋が近所でマチルデの青い自転車を盗んだ。
翌朝、母親はマチルデを車で学校に送って行こうとしたが、エンスト。
いっそ今日は母娘で一緒に休みを取ろうと、列車に乗った。
2人は立っていたが、礼儀正しいオットーが席を譲った。
その席で被害を受けて母親は死亡。
マチルデは事象を遡って、自分なりの事故原因を突き止めようとしていた。
オットーはそれは意味が無いと指摘したが、
オットー自身が自分の専門職である数学、統計学に足を掬われた。

オープニングからのエピソードの見せ方が面白い。

それにしても、
クールでダンディ、知的な役が続いていたマッツ・ミケルセンが、
髭面、坊主頭で、粗暴な軍人の役。
ワイルド系のニコライ・リー・カースが、やはりぼうぼうの髭面で、
オタクな数学者オットー役。
人気俳優2人の組み合わせは嬉しいけど、大胆な配役だなぁ〜。

本国デンマークでは当然大ヒット。

実話を基にした英国のドラマ映画。
「ノッティングヒルの恋人」で知られるロジャー・ミッシェル監督の遺作。


1961年、ニューカッスルのタクシー運転手ケンプトンは、
貧しい高齢者の為の公共放送BBCの無料化を求める運動を展開し、
不払い行動で逮捕、収監された。
長女を自転車の事故で亡くした悲しみを引きずる妻ドロシーは、
夫ケンプトンの行動に賛同出来ない。
その頃、ロンドンのナショナル・ギャラリーが14万ポンドという大金で
ゴヤの名画「ウェリントン公爵」を購入したというニュースを見て、
更なる義憤にかられる。

同居する次男ジャッキーが報奨金目当てに「公爵」を盗み出す。
ケンプトンは「公爵」返還の見返りとして、
14万ポンドを慈善事業に寄付する要求書を新聞社に送付する。
長男ケニーが恋人パメラを連れて来ると、
パメラは「公爵」に気付いて分け前を要求。
ドロシーも気付くところとなり、ケンプトンは「公爵」返却を決意。
ナショナル・ギャラリーに出向いて、逮捕されると、
ジャッキーの行為を伏せて、自分が窃盗の罪を被る。

裁判ではケンプトンの軽妙な答弁が話題になり、
陪審員達はBBC視聴無料化を求める話にも注目し、
近場のホテルで取り外したまま置き去りとなった額縁の窃盗のみ有罪とし、
他の罪状は全て無罪とされた。
夫の言動に心を寄せるようになったドロシーは長女の悲劇を受け止め、
墓参りして、夫と仲良く暮らす。

4年後、ジャッキーは自責の念に耐えきれず自らの犯行を検察官に告白するが、
話題性を考慮した検察官はジャッキーの起訴を見送った。

2000年、ようやく高齢者のTV視聴が無料化された。


ほのぼのとした小品。
さりながら、ケンプトン役はジム・ブロードベンド、
ドロシー役はヘレン・ミレンという名優2人出演の贅沢さ。
ジム・ブロードベンドのおっとりした風情も素晴らしいが、
女王役が続いたヘレン・ミレンが家政婦として働く様はまさしく別人。
2人のキャラクター造形力の高さに圧倒される。

それにしても、あんなに簡単に盗めちゃうなんて、
当時のナショナル・ギャラリーの夜間警備の緩さは酷いね。
「公爵」の歴史的価値はそれなりだとしても、
あまり出来の良い絵とも思えないので、
これに大金使われたら、ちょっと怒るかな。

夫妻がTVで映画「007」を観ていると、画面に「公爵」の絵が映る。
どういう設定なのか、調べたら面白そう?




世界の歌姫セリーヌ・ディオンの半生を描いた伝記映画。
セリーヌをモデルとして「アリーヌ・デュー」というキャラクターで創作された。


カナダのフランス語圏ケベック州で、
音楽好きの一家の14人兄弟の末っ子として生まれたアリーヌは、
幼い頃から歌唱の天賦の才を発揮する。
12歳の時、母親がアリーヌの歌声をテープに録音して
音楽プロデューサーのギィ=クロードに送り、面接を受けると、
才能を認められ、カナダからフランスへと羽ばたく。
面長で尖った鼻の容姿をバカにされながらも、歌の実力で周囲を圧倒する。

アリーヌの将来性を見込んだギィ=クロードは、敢えて休みを取らせて、
歯列矯正、英語学習、ダンスレッスン等を受けさせ、
同年代の友人達との交流の為に学校への通学も推奨する。
ビジュアルやインタビューの受け答えも丁寧に指導する。

レコードは大ヒットを重ね、コンサートツアーも次々決まり、快進撃は続く。
ツアーにに同行する母親は、
アリーヌが年が離れたギィ=クロードに想いを寄せているのを心配する。
ギィ=クロードはプロデューサーとして節度を保っていたが、
2人は惹かれ合い、やがてめでたく結婚に至る。
長年の不妊治療の末、長男と、その数年後には双子の息子達を授かる。

ツアーの激務でアリーヌは喉を痛めて休養を余儀なくされる。
一方で、ギィ=クロードも度々体調不良を示すようになっていた。

父親に続いてギィ=クロードも亡くなり、
意気消沈したアリーヌはラスベガスのコンサートをキャンセルして、
誰にも気づかれないまま1人で街を彷徨する。


どこまでがセリーヌ本人の人生に忠実に作られているのかは分からないが、
スーパースターの伝記映画にありがちな、ドラッグや恋愛の泥沼は無く、
華々しい成功と、家族愛が穏やかに描かれている。
田舎町のごく普通の家に生まれ、賑やかで明るい家族に囲まれて、
健やかに育ったセリーヌの人柄なのだろう。
肝っ玉かあさん的な母親のキャラクターと豊かな表情が良い。

アリーヌ役にはもう少し美人の女優さんでも良かったように思うのだけど、
アリーヌを演じたヴァレリー・ルメルシェが監督と脚本も担当しており、
セリーヌへの並々ならぬ熱意が感じられる。
顔立ちは微妙だけど、ステージでの立ち姿等は素晴らしい。
映画制作時にはすでに50代半ばでありながら、
12歳のアリーヌから演じている。
Wikiでは身長177cmとあり、かなり高身長だけど、
映像では子供のサイズに写っているので、CGとかで調整したのかな。

最近観た音楽映画では、エルヴィス・プレスリーとそのマネージャーの
確執と悲惨な末路を描いたものがあったけど、
セリーヌとプロデューサー兼夫のルネ・アンジェリルとの関係性は
幸福そのもので、羨ましい。
1968年生まれのセリーヌに対して、
アンジェリルは1942年生まれなので、年の差26歳。
バツ2だし、そりゃ、親は心配するよね。
アンジェリルはセリーヌのファーストアルバム制作の為に、
自宅を抵当に入れて資金を調達したとか。
セリーヌの類い希なる才能が2人を強く結びつけた。

セリーヌは現在難病の治療中で、音楽活動を休止している。
ファンの人達にとって今作は涙ものの映画だったろうな。
映画としての詳細に関してはやや厳し目の批評をする向きもあるようだけど、
セリーヌへのリスペクトが重視されている事に尽きる。


ネタバレ注意。



横山秀夫のミステリー小説「64(ロクヨン)」を原案にBBCがドラマ化。
ミニシリーズ全4話。


警察官クリスの娘オリヴィアが失踪。
クリスの妻で元潜入捜査官ミシェルは単独で調査に向かう。

クリスは記者のサマンサと浮気した過去があった。
クリスを責めるミシェルは、オリヴィアは別の男性との間の子供だと告げる。
相手は潜入捜査中の対象者だった。
ミシェルはオリヴィアがその男に会いに行ったのではないかと思い、
男の屋敷に忍び込むが、オリヴィアの行方は分からずじまい。
その後、突然オリヴィアは一旦帰宅するが、
両親の不仲に嫌気がさしていて、家を出る。

クリスはサマンサから呼び出されて会いに行くと、
16年前の少女ジュリー失踪事件の再調査を持ちかけられる。
当時ジュリーは失踪したとされていたが、実は犯人からの電話があり、
その証拠テープが何故か無いものとされていた。
クリスはジュリーの父親ジムに会いに行くが、追い返される。
ジムは、自分が「64」について知っていた為に娘が犠牲になったと言う。

同じ頃、スコットランド法務大臣ウォレスの娘アナベルが失踪。
犯人からの電話があり、誘拐事件として捜査される。
捜査に加わったクリスは、過去のジュリー失踪事件との関連性に着目。
ジュリー殺害犯を見つけ出す。
事件の日、犯人はウォレスからの依頼でジムの家に忍び込み、
「64」に関する資料を盗み出そうとしていた。
ジムは不在だったが、娘のジュリーと鉢合わせして揉み合いになり、
転倒したジュリーは死亡。
犯人はウォレスからの指示でジュリーの遺体を隠した。
犯人からの電話の録音テープが存在したが、
ウォレスに繋がる懸念から、秘密裏に処分された。
証拠保管担当のガリーは精神的に疲弊し、命を失くす。

ミシェルと共にアナベルの居場所を突き止める。
誘拐犯はジムと、ガリーの元同性恋人警察官ゴードンの2人だった。
ジムは「64」はスパイの暗号コードだと語る。
ウォレスはスコットランド独立を支持する政党に属していたが、
実は、独立を阻止したい英国政府から派遣されたスパイだった。
ジムは犠牲になった娘の仇を討つべく、アナベルを誘拐して
ウォレスに思い知らせようとした。
ウォレスをおびき出し、スパイの告白を迫るが、狙撃手に撃ち殺される。

クリスはジムから、証拠となる電話テープのコピー等が入った
USBメモリーを託されていた。
「64」に関与していた兄フィリップにUSBの公開を申し出るが、
警察署長で先々の出世も約束されているフィリップは受け入れない。
危険を承知で「64」に逆らう事は出来ない。

クリスとミシェルは、自ら情報の公開を決意する。


全4話と、比較的短いので見易い。
横山秀夫の原作をWikiでチェックすると、かなり違うような印象。
「64」という数字が昭和64年から来てるから、英国版では意味をなさない。

どういう展開かと思いきや、
オリヴィアの失踪は「64」とは全くの無関係で、実の父親も話に絡んで来ない。
何の為のエピソードなのか、理解に苦しむ。
ミシェルが元潜入捜査官だったという設定も、ほぼ意味をなさない。
(もし私が担当編集者だったら、この辺のエピソードは全部作り変えさせる。)

クリスは正義感の強さ故に組織内で疎まれて出世出来なかったんだろうけど、
今作を見る限りでは、あまり優秀とも思えない。
だから平の巡査なんだよってか。

原作とか、日本版の映画とかの方が、
もうちょっと繊細に出来ていたりするのかなぁ。

ついでに一つ細かい事を言うなら、
アナベルが軟禁された山小屋は、壁は石造りなんだけどドアが木製なので、
ドアを壊して逃げ出せたんじゃないかなぁ。