命を狙われ、あわやと思った瞬間、何者かが助けに入る。
気を失い、目を覚ました時には、隣のジミーの理髪店にいた。
ジミーの正体は、ジミーに姿を変えた実の父親アブラハムだった。
アブラハムもまたミシンの力を得て社会貢献していた筈がトラブルに巻き込まれ、
家族の身に危険が及びかねない事を懸念して行方をくらます決断をしたのだった。
いつの頃からかジミーに成り代わって、妻と息子を見守っていた。

アブラハムはマックスにミシンの力の意義を継承する。
そして、行方知れずになっていた間に、アブラハムは富豪になっていた。


監督、脚本を手がけたトム・マッカーシーは俳優として活躍しながらも
「扉をたたく人」「ミリオンダラー・アーム」「カールじいさんの空飛ぶ家」等、
名作の監督や脚本、原案を手がけた才人で、
「スポットライト　世紀のスクープ」でアカデミー賞脚本賞に輝いた。

上記の作品にも見られるように、今作でも移民の家系と、
そこから醸し出されるエキゾチシズムを取り扱っている。

ただ、今作に関しては若干バランスの不具合が気になる。

魔法のミシンで修理された靴を履くと靴の持ち主に姿が変わる、という設定は
ファンタジーの度合いが強い。
それに対して作品全体は大人のややダークな世界として描かれている。
もう少し、ファンタジーに即したコメディタッチの方がはまったんではなかろうか。

と思ってしまうのも、これがアメリカの映画だからかも。
同じ流れの脚本で、フランス映画だったら、
ユーモアとペーソスを社会性と上手く融合した作品が出来たように思える。
こうしたバランス不良の作品を見る時、
アメリカの映画製作者、或いは観客の、完成の限界を感じざるを得ない。