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マンガ家Mの日常
トム・ロブ・スミスの話題作の映画化。

ミステリーなのかな、と思って見始めたんだけど、
どちらかと言うと歴史物の感じ。


1933年、スターリン政権下でウクライナが飢餓状態となり、多数の国民が死亡。
行き場の無い孤児の一人となった少年は劣悪な孤児院を抜け出し、
軍の関係者の保護され、レオという名前を与えられる。
自らも軍人となったレオは第2次世界大戦で武功を挙げ、昇格。
ベルリンから帰還した後、KGBの前身であるMGBの隊員となる。

1953年、ソビエト連邦では、スパイの摘発が日常茶飯事となり、
密告、拷問が繰り返されており、レオもそうした任務についていた。
ところが、妻のライーサが嫌疑をかけられ、庇ったレオは僻地に飛ばされる。

その頃、戦友アレクセイの息子が死体で発見され、殺害の痕跡が認められながらも、
「楽園に殺人は無い。」と嘯く体制の下、事件は列車事故として葬られた。
レオは赴任先でも同様の事件が頻発していた事から、
アレクセイの為にも事件の捜査に乗り出す。
被害者となった8〜14歳の少年達は44人もいた。

レオを逆恨みするワシーリイに命を狙われる。
ライーサはMGBという役職への恐怖からレオの求婚を受けたのだったが、
困難な旅の中でレオの愛情と人柄に触れ、愛情が深まり、レオを助けるようになる。

レオは殺人犯を突き止める。
犯人のマレヴィッチも孤児院育ちで、飢餓に苦しんだ経験があった。
殺人はそうした過去が精神に影響を及ぼした為だったが、
ソビエト連邦政権の失策を認められない政府、警察は、
ナチスドイツの陰謀論にすり替える。

ライーサのスパイの嫌疑も晴れ、レオは無事モスクワに戻り、要職に就く。
昔の捜査中に両親をワシーリイに殺されて孤児になった少女二人を引き取る。


話題になっていた作品だったので、楽しみにしていたのだけど、色々微妙だった。
ソビエト連邦の時代背景があっての物語なので、
その辺の説明が難しくて時間を取り、
歴史ドラマと犯罪捜査のバランスが
中途半端になってしまっているような感が拭えない。
原作がかなりな重量なのだろう。
その全てを説明しきろうと無理したのかもしれない。
スターリン政権下のソビエト連邦の暗闇と陰惨な連続殺人事件が
密接にリンクしている筈が、取って付けたようになってしまっている。

歴史名作にも、エンターテインメントミステリーのどちらにもなりきれていない。
二兎を追うものは一兎をも得ず。
こういう内容の場合、思い切って脚本を整理すべきだった。

主演のトム・ハーディは「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の主演や
「レヴェナント:蘇えりし者」で注目を浴びている。
でも、まだどっちも見ていなくて、認識不足。
端正な顔立ちで、軍人スタイルになると、ちょっと特徴に欠ける。
それがまた、時代を考慮してか、画面がやたら暗くて、顔が分かり難い。
この人がレオなんだと分かるまで、少し時間がかかった。
話し方に癖があるのは、ソビエト訛りを意識しての事なのかな。

ヴァンサン・カッセル、ゲイリー・オールドマンといった
通好みのスターも出演しているけれど、イマイチ生かされておらず、存在感が薄い。

ライーサ役のノオミ・ラパスは、役所も良かったのだろうけど、光っていた。

「ミレニアム」(本国版)のノオミ・ラパス、
「KILLING」のニコライ・リー・カースを起用したところを見ると、
やはり「ミレニアム」のような作品を目指しての製作だったんだろう。
勿体無い結果になってしまった。


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