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マンガ家Mの日常

公開中の映画「ゴーン・ガール」の原作読了。
面白そうだったので、映画を観る前に原作を読んでおこうと思い、昨年末購入。
映画は多分半年後くらいにWOWOWで放送されるのを見ます。

ミステリーなので、この先ネタバレ警告!


夫ニックの留守中、室内が荒らされ、妻エイミーが行方不明。
キッチンには血を拭き取った跡。
その他、ニックの犯行を示唆するような物証が次々発見される。
果たして、誘拐と見せかけた、ニックによる殺害なのか?

前半は、30代後半の夫婦のグダグダが続く。
そういうのってハーレクインで散々読まされてきたんで、完全に食傷してる。
ところが、上巻は設定の為の仕掛けで、
下巻に入ってゴロゴロと勢い良く覆されて行く。

上巻のグダグダを我慢して読みこなせば、面白いミステリー作品だった。
現在の夫の日記と妻の過去の日記、告白的内容が
それぞれが交互に並べられる構成になって進行して行く。
これを映画ではどう構成したんだろう。

前回読んだ「その女 アレックス」でも、女性の失踪事件が中心軸にあって、
構成で読ませる仕組みになっている。
推理小説のジャンルは、パソコンやネットの普及、科学捜査の発達で、
昔のホームズやポアロのような妙味では描けなくなってしまった。
トリックを作り上げるのも難しいし、コンピューター用語を駆使されても
読者としては分からないし、面白くも何とも無い。
推理小説も過渡期に入ってしまった。
なので、今後はトリックではなく、こうした心理劇で展開される作品の中から
名作が生まれる可能性が高くなった。

異常者のように思われたアレックスは、実は心身ともに傷つけられた被害者で、
悲劇のヒロインだったエイミーは、実はサイコパスと言える人格の持ち主。
さすがにどっちにも共感はしづらいけど、
数多くの復讐を遂げつつ自死を選んだアレックスに対して、
エイミーは周囲を散々貶めた挙句に、最後はまんまと上手く事を運ぶ。
悪人が生き残る結果になった訳なんだけど、ラストに何だかほっとしてしまった。
エイミーにばかり調子良く進み過ぎかも、と思えなくも無かったけど。

こういうラストになっていったのは、
「その女 アレックス」の作者が男性で、
「ゴーン・ガール」の作者が女性だっていう事と無縁では無いように思える。
男性の方が女性を美しく描き上げたがるのかも。

恋人時代にはお互いの良いところばかりを見せて、
結婚して1、2年はそのまま良い人になりきって楽しく暮らすのだけど、
次第にお互いボロが出て来て、嫌になってしまう。
そんなもんなんだろうね。
今作では、互いの化けの皮を剥がし合って、見えてきたドロドロの内幕で
駆け引きし、牽制し合う夫婦の姿がラストに描かれる。
ま、そういう夫婦生活も面白いのかな。
他人事だし。


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