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マンガ家Mの日常
編集さんから話を聞かされて、
分かったような、分からんような理屈だった。

とにかく、出版物の売り上げが毎年10%ずつ落ちている。
10%で済んでいるのはマシな方かもしれないとの説もあるくらい。

で、ハーレクインとしては、対策として、雑誌の創刊を増やしている。
そう言えば、お仕事をいただき始めの頃はやっと月刊になったかどうか
って話だったのに、
コミックス新刊に入っているチラシを見ると、
同じような雑誌がズラズラと沢山並んでいる。

読者はどれを買うべきなのか、分からなくなっちゃうんではなかろうか。
どれも同じハーレクインの読み切りなので関係無いのかな。
自分だったら、その時、好きなマンガ家さんの作品が載ってるのを買うよね。

教えられた理屈がよく分からなかったんだけど、
まず、書店でぱっと見、売れてる様子を見せる為?
細かく沢山出版して、細かく沢山稼ぐ?

そう言うやり方もありなのかもしれないけど、
果たして、それで良いんだろうか?

仕事の場が増えるから、マンガ家にとっては助かる。
でも、これまで「印税」について書いて来た通り、
安い原稿料だけで仕事をさせられるのでは、プロとして続けられない。
そこは各自何とかしたとして、逆に編集者は?

雑誌の数が増えれば、編集者の仕事も増える。
増えた仕事の分だけ人員を増やしてもらえてるかと言えば、そうではない様子。
ハーレクインに限った事ではないのだけど、
出版大手3社を除いた、中小の出版社のマンガ部門では、
編集者が様々な仕事を沢山抱え込んでアップアップしてるそうな。

で、どうなるかと言えば、
必然的に、ひとつひとつの仕事が雑になる。

新人のマンガ家を育てる余裕は既に無い。
マンガ家との打ち合わせも省略。
まぁ、それでも、マンガ家は仕事を続けたいからきちんとした作品は仕上げるけど。

マンガの編集部が原作物を手掛けるのって、
企画を立てる手間を省く、当たり外れの責任回避ってのがまずあるんだけど、
ハーレクインのように、原作物オンリーの場合、
この原作がネックになる。

これだけ次々に大量に刊行されていたら、
ちょっとでもまともな原作は描き尽くされてしまっている。
編集者も、大勢の担当マンガ家に原作を配布しなければならなくなって、
手が回らなくなっている。
最初の頃は、まず2、3本渡されて、合わなかったらまたすぐ別の原作を
2、3本送ってもらえていたのだけど、
最近では、もう選ぶゆとりも無くなって来ていた。
B級C級の原作で何とか描くしかない。
となると、言われたように原作に従ってマンガにすれば、質が落ちる。
マンガ家さん達、皆頑張っているとは理解してるんだけど、
原作に対する不満は方々から聞かれる。
雑誌としては、質が落ちた作品を大量に刊行しているのが現状。

大量刊行で、出版社としての収益を確保出来たとしても、
全体の質が下がった状態をこのまま続ければ、
遠からず、読者は離れて行くのではないだろうか。

今を凌ぐだけのカンフル剤的な措置で済めば良いのだけど、
間違った薬の投与がどう言う結果をもたらすか、誰でも知っている。


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