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マンガ家Mの日常
ネットニュースから。

「ドカベン」「野球狂の詩」等、
数々の野球マンガの金字塔を打ち立てて来た巨匠、水島新司先生が、
今月1日をもっての引退宣言をされた。
81歳。画業63年間。

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ネットニュースから。

「釣りキチ三平」「マタギ」等、雄大な大自然を舞台にした作品で知られる、
矢口高雄先生が、膵臓癌の闘病を経て、お亡くなりになられたそうです。
ご冥福をお祈りします。

デビュー前にアシスタントに行っていたマンガ家さんから、
矢口先生の人となりについて伺った事がある。

東北の裕福な農家の育ちだったけど、父親が火を出したか何かで、村八分に。
農家は村八分になったら生きていけないので、
祖父が私財を投げ打って村の人達に謝罪し、村八分だけは免れた。
でも、苦しい暮らしは続いた。
そうした、貧しく厳しい環境で育った為、
矢口先生はマンガ家として成功した後も、
アシスタントさん達への仕事のレベルの要求が特に高く、
質、量をこなせないアシスタントさんには、残業時間の電気代まで請求する。
安い給料を更に減らされ、生活が成り立たないアシスタントさんが殆どで、
有能なチーフアシスタントさんが必死で仕事場を支えていたとか。

豊かな自然は、天国と地獄の両方の顔を持つ。
魚は急流に抗い、鳥は寒風に身を晒し、
厳しい雪山の下から、美しい植物達が立ち上がる。

映画化もされた「響」という作品の柳本光晴先生が、
アイドルのバラエティ番組について、ブログでコメントしたら、
アイドルのファンの方々から批判が多数届いて、炎上し、記事を削除。

う〜ん、
マンガ家も有名になると、TV番組についても、気楽に語れなくなるのか。

先日の「ボクらの時代」で、
渡辺えり氏が主宰する劇団の状況について触れていた。
コロナの3密を避ける為、少ない人数の俳優で上演する。
お客を呼ぶには、必然的に、有名俳優の2人芝居とかになり、
その他大勢の出番がなくなる。
そうなると、若手が舞台経験を積む場が減って、成長の機会が失われる。


ふと思うと、マンガ雑誌も同じ状況。
コロナの遥か以前からだけど。


「鬼滅の刃」が空前の大ヒットを記録している。
それは、素晴らしい事なんだけど、
特定の作品だけに読者や観客が集中してしまうと、
他の多くの作品が顧みられない現象に繋がる。
「鬼滅の刃」を読んで、マンガの面白さに気づいて、
もっと他の作家の他の作品も読んでみよう、
...とは、何故かならない。
メジャーなマンガの消費者心理なんだろうか。

雑誌が次々廃刊になり、出版社もデジタル配信にシフトしている。
作品発表の場があるのはありがたい事なんだけど、
どうしても、雑誌とは違う。
雑誌では、様々な作品が多数掲載されていて、読み比べる中で、
読者も、マンガ家も、鍛えられていく。
単独になるデジタル配信では、それが無い。

どのような状況であれ、強者が生き残り、弱者は消える。

それはそれで真理なんだけど、
雑誌が消えて、デジタル配信化が進むと、
マンガ作品の性質みたいなものが変わっていくだろう。
カルト的、マニアックな作品で、突出した物だけに読者が集中する。
この数年でビッグヒットとなった作品群に、既にその傾向が見られる。


マンガ家全体の生き残りは、厳しさを増すだろう。
過渡期には大きな浮き沈みが伴う。


雑誌の活況を再び取り戻せるような企画が立てられれば良いのだけど、
マンガの編集部がこの先どこまで進化出来るのか?

10年程前のハーレクインコミックスのブームが既に下火になり、
海外に販路を求めた取り組み。
それはひとつのビジネスのスタイルではあるけれど、
日本で下火になったものが、果たして海外でそんなに需要があるだろうか。
ビジネスとしての弱点が見える。

何故下火になったかは明白。
早い段階で、良い原作が描き尽くされてしまったから。
ペーパーバックのビジネスモデルは、日本のマンガにおいては限界がある。

良い原作。
それに尽きる。

女性主体のラブロマンスに焦点を絞っても、
「アウトランダー」や、TVドラマでも、名作、大ヒット作は必ずある。
ラブロマンスの世界が飽きられたわけでは決して無い。
やはり、読者の目に耐え得る、質の高い企画、原作を提示する事。

残念ながら、ハーレクイン編集部には、その余力が無い。
「ハーレクイン」に限定せず、
もっと広い間口で、良い原作を求める事は出来なかったんだろうか。

本当に良い原作であれば、マンガ家としても、苦労は厭わない。
仮に、原稿料が安く抑えられ、初版の発行部数が少なかったとしても、
本当に良い作品は、後々まで高く評価され、それなりの収益をもたらす。
他社の例で、ハヤカワでは、そういうロングセラーを主軸としている。


本当に魅力的な原作であれば、
仕事が辛いとも思わなかっただろう。
ハーレクインに限らないけど。