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マンガ家Mの日常
「一度きりの大泉の話」(以下「大泉」)
「少年の名はジルベール」(以下「ジルベール」)


「盗作」の噂が流れ、竹宮先生から出入り禁止を申し渡され、
萩尾先生はショックを受けて体調を崩してしまった。
その件について周囲に直接語る事はせず(少なくとも今作出版までは)、
体調不良を光化学スモッグのせいとして、
空気が良い郊外の建売を購入して、引っ越しを決めた。
そして、竹宮先生と完全に袂を別つ。

ここで、少し分からないのは、増山さんの立ち位置。

萩尾先生は竹宮先生からの出禁文書によって、竹宮先生から離れるが、
むしろ、大元は増山さんではないかと思える。
増山さんが様々な映画や書籍を紹介して、少年愛を語り、2人に影響を与え、
増山さんの世界観をマンガとして成就させる竹宮先生と接近した。
そうであれば、萩尾先生が類似の作品を描いたのに危機感を抱いたのは、
竹宮先生よりも、増山さんの方がより強かったのではなかっただろうか。
言い方は悪いが、竹宮先生は増山さんの言いなりになる形で
出禁文書を書いたのではなかろうか。(私見です。)

3人の関係が崩れてから、萩尾先生は竹宮先生と連絡を断つが、
増山さんはまだ友人として自分に好意があると考え、
時々困った事があると、増山さんを頼る。
体調不良で一時入院すると、増山さんに手伝いを頼み、
大泉から短期間別のアパートに移って、そこがペット禁止だと知らされると、
飼い猫を増山さんの母親に引き取ってもらう。
結構重たい頼みを増山さんにしている。

この3人の関係性は、やはり不思議。

萩尾先生と竹宮先生は、同じマンガ家として、お互いにリスペクトが感じられる。
しかし、当時の萩尾先生は、直接作品を描かない増山さんを別物と見ていた。
まぁ、当然そうだろう。
描かない人にあれこれ偉そうな事を言われれば、気分良く無い。
最終的に竹宮先生も増山さんと離れるわけだけど、
竹宮先生にしても「ジルベール」の中で増山さんに触れる時、
否定的な見解も一部示している。
ところが、萩尾先生も竹宮先生も、頼りにするのは増山さん。
締め切りを抱えて徹夜作業をして青くなってるマンガ家達とは違って、
増山さんには色々ゆとりがあったからかもしれないが。

その後、萩尾先生が増山さんと再開し、
増山さんが泣きながら、大泉時代の事を謝罪するが、
萩尾先生は同調する事も受け入れる事もせず、ただ冷めた感情を抱く。

(続く。)
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