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マンガ家Mの日常
敗退した選手がインタビューにプレッシャーを感じる理由について。
それは、勝ちたかったのに勝てなかった悔しさから。

では、何故勝ちたかったか。

トップアスリートであれば、その負けず嫌いは凄まじい。
幼い頃から他を圧倒し、勝ち続けて来たからこそ現在の位置にいる。

でも、トップが集結する大会になれば、負ける事も増える。
トップになればなる程、敗北に対処しなくてはならない。
フェデラー、ナダル、ジョコビッチのビッグ3は、
それぞれグランドスラムタイトル20個というとてつもない記録を保持している。
でも、20回優勝する背景で、グランドスラム決勝戦で敗退し、
タイトルを逃した悔しさも、他の多くの選手達よりも数多く経験している。


折しも、大坂なおみ選手が、開催中のシンシナチ大会初戦で勝利して、
試合後の記者会見で、敗北した選手に対する報道について触れていた。
敗北翌日の新聞で厳しい言葉を目にすると怖くなる。
徐々に鈍感になり、いつしか周囲への感謝を忘れていた、と。


ただ、スポーツに限らず、あらゆる仕事に常に評価や成果が付きまとう。
そこからは誰も逃げられない。
ベーカリーでは夜に売れ残りのパンを見て、店主は悲しい思いをしている。
でも、明日もパンを焼き続ける。


更に、トップアスリートになると、勝利が大金に繋がる。
金額に比例して、周囲の期待も膨れ上がる。

(続く。)
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まだ暫くの間、こういう話題が続くのだろうか。

大坂なおみ選手が、今週始まるシンシナチ大会に先駆けて、
オンラインで記者会見を行った。
(大坂のみではなく、通常、大会前に主要な選手に対して行われる会見で、
 コロナ禍を考慮してオンラインになったのかな。)

会見後半で、地元メディアの記者が
最近の大坂のメディア対応について質問したところ、
大坂は丁寧に回答しながらも、その後泣き出して、数分間退席してしまった。

記者は大坂のマネージメントその他から批判もされたが、
当の質問等を読んだところ、そう騒ぐ程の内容でもなく、
むしろ、多くの人達が質問したかった事だったと思う。
他の記者が遠慮して訊けなかった事を、あえて質問した。

正直、仕事の現場で泣き出すとか、勘弁して欲しいと思う。
周囲も今後、大坂に対して腫れ物を触るような対応になり、
それは大坂にとっても良い事ではない。
大坂とマネージメントは、記者会見拒否の騒動について、
正式なステートメントを出す必要がある。

他の多くの事柄で注目を集めるのはOKで、何故記者会見だけがダメなのか?
敗戦直後のストレスは理解できる。
ただ、負けた時にこそ人間性が試される。
テニスの大会でも、優勝セレモニーでは、必ず先に準優勝者からの挨拶がある。
また、全仏の記者会見拒否では、大坂の真意ではないにせよ、
「お金(罰金)払えばいいんでしょ。」的なイメージが発信された。
「これくらいの罰金、痛くも痒くもないわ。」的な。


大坂や、五輪でのバイルス選手の棄権等から、
アスリートのメンタルの問題について、様々な発信を見かけるようになった。
特に、今回の五輪のインタビュースポットの形式では、
敗戦直後に複数のメディアから何度も同じ質問をされるのは苦痛だろうと。

ただ、これも、少し疑問に感じる部分がある。
五輪では、競技によっては日頃のメディア露出が少ないものもあり、
敗戦直後ではあっても、多くのインタビューを受けるのは、
その選手や競技にとって有益な場合も多いように思える。
必死の努力をしたが、勝利に手が届かなかった、実直な受け答え。
そうした選手を応援したくなるファンやスポンサーも必ずいる。

敗戦直後は落ち込んでるから、インタビューは受けたくない、
という選手の言葉が出れば、同情意見は必ず出てくるが、
インタビューを受けたい選手も少なからずいる筈。

(続く。)


テニスの新世代女王、大坂なおみ選手が、
父親の祖国ハイチの地震災害支援の為に、次の大会の賞金の全額寄付を表明。

寄付は素晴らしい事だと思いつつ…、
このところの大坂には、どうしてもちょっと引っかかりを覚えてしまう。

賞金を全額寄付するって言っても、
まだ勝ったわけではないので、初戦で敗退したら、僅かな参加費だけになる。
スタッフとの契約によっては、賞金からスタッフへの支払いをする場合もあるので、
大坂の元にどれだけ残るか不明。
賞金とか言ってないで、個人の資産からサクッと1億円とか寄付すれば良いのに?

でも、敢えてこのような形を取ったのには別の意味があって、
こうして表明する事で、ハイチの災害に注目を集めて、支援を募る事に繋がる。

ただし、それだけではない。

記者会見拒否と大会棄権、Twitterでのメディアとの応酬、等々の騒動で、
擁護者も得ながら、アンチも増やしてしまった。
そこに、今回のような慈善活動は、イメージ回復の手助けとなる。
会場の観客も大坂なおみ選手の味方になるだろう。いや、ならざるを得ない。
大坂とマネージメントは、こうしたイメージ戦略、マスコミ操作に長けている。

対戦相手の選手はやり難いだろうな。
もし勝ったら、ハイチへの寄付金の額が下がるんだから。
周囲にどう思われるだろう。

全米オープン直前の大会で調子を上げていく為に、
大坂サイドは絶妙なタイミングでのメンタルの駆け引きを仕掛けた。
アメリカ式の慈善活動や寄付は、善意だけからではない。
注目を集め、それを力にし、人気にする。
メディアに対する、大坂のメンタルの強さ。


元のネットニュースと共に、
上記の文章(ブログ掲載に際して、少々補正)をFacebookで投稿したら、
「いいね!」が付けられていたけど、
実のところ、文章の真意はどちらかと言えば、
大坂に対して批判的な意味合いで結着するので、
「いいね!」を付けてくれた友達は、文章を最後までは読んでいないのだろう。

大坂、バイルズに続き、
(どの種目だったか忘れたけれど)他の選手からも、
敗退後のインタビューを無しにして欲しいと言う意見が出た。
この傾向は暫く続くだろう。

大事な試合に負けた後、落ち込んで、すぐには気持ちの整理がつかないし、
何と言っても、世間に負けた惨めな姿を晒したく無い。
それは容易に理解出来る。

ただ、一方で、
勝った時だけ、自慢げに姿を披露したいというのも、どうなんだろうか。
勝った直後は高揚して、失言を漏らすケースさえある。

いっそ、選手は、試合の結果だけ残して、一切口をつぐむか。


例えば、将棋や囲碁、チェスでは、対局後に感想戦というのがあって、
対局者同士で対局を再現し、勝負の内容を検討する。
(プロでも、任意で、辞退しても罰則は無い。)
サービスであると同時に、指し手を検討し、自らの向上にも役立てる。

勝って、有頂天になった姿だけ見せるのではなく、
負けた時の状況について語るのも、
特にプロの選手にとっては重要な事では無いだろうか。
技術面のみならず、敗北に対して精神的にどう向き合うかも重要。
試合は、たった一人の勝者と、無数の敗者で成る。
人生においても、人は幾多の敗北を経験する。
その時、どう対応、対処するかが、その後の人生を形作る。

スポーツ選手にそこまでの役目を求めるのはどうかという意見も出るだろうが、
スポーツは、身体を鍛えるだけではなく、礼儀や人間性を学ぶ場でもある。


2019年の全米オープンを思い出す。
前年覇者の大坂は、3回戦で新星ココ・ガウフを撃破。
注目されていたにも関わらず、大坂に全く歯が立たずに惨敗したガウフは、
試合直後にボロボロと泣き出してしまった。
大坂はガウフの今後を考え、普通なら勝者のみのオンコートインタビューに、
敢えてガウフを誘って、一緒にインタビューを受けた。
敗戦直後のインタビューの重要性を大坂も理解している。


テニスに限らず、記者会見では、意地悪な質問、失礼な質問も数多くあるだろう。
白人男性よりも、女子選手や非白人、或いは性的マイノリティの人達に対して、
酷い質問が投げかけられる事が多いのも事実だろう。

記者にもマナーが求められる。

ただ、それとは別に、選手には敗戦の弁を述べるメンタルも求められる。
敗戦をただの惨めな負けにするのではなく。

14歳中学生の玉井陸斗選手、7位入賞!
おめでとう!

親戚ではないと思うけど、
同じ名字のよしみで応援しました。

これから何回五輪に出場するんだろう。