忍者ブログ
マンガ家Mの日常
「魅入られた美女」再録にあたって、簡単な後書きコメントを提出。
編集長さんから早速受け取りの返信が届く。

再録料が下がっている事について伝えたら、
「売り上げ低下が少しあるのと、紙代、印刷代の高騰が原因」との回答。

紙媒体の売り上げ低下はあるものの、
出版業界全体としてはその分をデジタルの伸長で補っている筈なので、
ハーレクインの経営態勢に疑問を感じる。

そして、一番の問題は、
物価高で紙代や印刷代が値上がりしていながら、
外注であるマンガ家への支払いだけ下げられる、この大きな矛盾。
(新作を執筆している方々の原稿料がどうなっているかはわからない。)
何故、紙代や印刷代値上がり分を、再録料を削って支払いに当てるのか?
本来の売り上げで経費を賄えないのでは、ビジネスとして成立していない。

別の出版社、別の雑誌に移った場合、最初は不利な状況から始めざるを得ない。
結果を出してキャリアを積み、読者との関係を築く。
そうして、少しずつながらも原稿料が上がるのを期待する…筈が…。
振り返って、耐えていたあの期間は何だったんだろうと思う。

マンガ家だけが割を喰わせられる状況は深刻になるばかり。

出版社の社員さん達が、マンガ家と同様の待遇だったら、皆離職して、
出版社は崩壊するだろうな。
PR

ピューリッツァー賞を受賞した同名戯曲の映画化。


蒸し暑い8月のオクラホマ州。
ヴァイオレットは癌闘病中で、認知症の症状も現れつつあった。
そんな中、夫べバリーが入水自殺。
葬儀の為に家族が集まる。

ヴァイオレットもべバリーも、幼い頃に貧しい暮らしを強いられた経験があり、
特にヴァイオレットは子供達には厳しく接していた。
傲慢で辛辣な物言いは今も変わらず、
長女バーバラには後継として期待していた分、余計に当たりがキツイ。
バーバラは反発を強めるが、彼女自身ヴァイオレットの性質を受け継ぎ、
浮気夫ビルを責め立てている。

次女アイビーは地味めで男性関係も希薄で、
それもヴァイオレットの攻撃材料とされていたが、
実は、従兄弟のチャールズと親しく付き合っていた。
ところが、チャールズは、
べバリーがヴァイオレットの妹マティ=フェイと浮気して出来た子で、
アイビーとは異母兄妹に当たる。
ヴァイオレットは薄々勘付いていたが、黙認していた。
急に真実を知らされたアイビーは酷く傷ついて立ち去る。

三女カレンは自由奔放な性格で、ヴァイオレットにも可愛がられていた。
新恋人スティーヴを伴って来るが、
スティーヴはバーバラの14歳の娘ジーンに手出ししようとしたのを
家政婦に見咎められる。
カレンはスティーヴを庇って、一緒に立ち去る。
ビルはバーバラとの離婚を決意し、ジーンを連れて帰る。

ヴァイオレットは南部での過酷な生活に耐え抜いて来た事から、
お金の扱いにも強欲な面を見せる。
べバリーが自殺しようとしていたのを止めるでもなく、
夫婦の資産を自分のものにしていた。
憤ったバーバラは、いて欲しいとすがるヴァイオレットを置いて、去る。

認知症が進行しつつあるヴァイオレットは、意識混濁し、
家政婦のジョナにもたれかかる。


家族の映画というのは、いつ観てもシンドイ。
そんなにいがみ合わなくても良いのにと思うけど、
幸福そうであっても、不幸そうであっても、
自分の家族と比較して、辛くなる。

貧しく過酷な生活環境でありながら、何とか高校まで進学し、
そこそこの財を成した世代として、
大学に行かせてやったのに、何者にもならなかった娘達に不満を抱く。
こうした世代間闘争は如何ともし難い。
自分も、戦時下で育った両親とは、埋められない溝がある。
自分も、この娘達も、心の何処かで、ヴァイオレットを否定しきれない。
ヴァイオレットの不満をバーバラは受け継ぎ、ジーンに不満を覚える。

べバリーの自殺の原因は明らかにはされない。
義妹との浮気で息子が産まれながらも、隠し続けた辛さなのか、
気丈過ぎるヴァイオレットに疲れ果てたのか。

気丈な女性達に相反して、男性達が全員ナイーヴ。
それも南部の土地柄なのかな。

ヴァイオレットを演じたメリル・ストリープの演技が、やっぱり凄い。
後ろから刺したくなる。





日々の献立を考えるだけでも気忙しいが、
季節の物は、その年に一度は食べるのが、食への礼儀だと思う。
季節の果物、鰻、さんま、牡蠣、
そして、栗蒸し羊羹。

以前、近くの商店街にあった和菓子のお店に置いてあった栗蒸し羊羹が好きで、
毎年3本は自分用に買って食べていた。
ところが、そのお店が無くなり、仕方なく別の和菓子屋へ。 

その和菓子屋の栗蒸し羊羹の方が、やや上等で、羊羹がモチモチしている。
でも、全体的に量が少なく、栗も少ない。
良い栗を使っているのだろうけども。

自分用のおやつで食べるのだから、
前のお店のような、もう少し庶民的なのが良かったのだけどな。

朝、メールを開くと、送信者欄の知らない名前が目に入った。
詐欺メールか?

と思ったら、

ハーレクインの編集長さん。

ご無沙汰しているので、お名前がすっかり記憶から飛んでいた。
失礼しました。

「魅入られた美女」が来年1月15日発売の増刊号に再録されるそうです。

この紙媒体の低調な中、まだ増刊号を出せているのは立派。

でも、そのせいか何なのか、再録料がメチャ安い。
前回の別作品の再録から、更に下がった。

昔は、再録料って、元の原稿料の50%とされていたけど、
ハーレクインになってから、およそ15%。
そして今回の提示はおよそ10%。
物価高騰で、給与やバイトの最低賃金が僅かながらも上げられる中、
再録料だけは下がっていく。

悲しいかな、これが、少女誌女性誌の現実。


「魅入られた美女」のタイトルを久々に見て、
すぐにはどんな作品だったか思い浮かばず、本棚を確認。
コーヒーショップ経営のヒロインがブラジルに行く話でした。
何だかね、ぱっと見て作品内容が伝わらないタイトルって、やっぱりダメだね。

どうだろう。
作中、印象的だったのは、コーヒー豆栽培のエピソードで出て来るシェードツリー。
コーヒーの木を保護する役目の木。
例えば、精神的に苦悩する彼を、ヒロインが守るエピソードとか入れて、
タイトルもシェードツリーと繋げて、とか。
その方が、エピソードとしても、画像としても、イメージが膨らむ。

全部描き直したくなる。

鑑賞した映画の感想記事の整理がなかなか進まない。
たかがブログ程度でも、文章をまとめるのは時間がかかる。


第79回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞作品。
フランスの実話を基にした法廷ドラマ映画。
裁判の模様は、実際の裁判記録をそのまま取り入れている。


パリ在住のアフリカ系女性作家ラマ。
フランス北部サントメールで行われる裁判の取材に泊まり込みで出かける。
セネガル出身の若い女性ロランスが幼い娘リリを殺害した罪に問われている。
生後15ヶ月の娘を海岸に置き去りにして溺死させてしまった。
ロランスは法廷で、何故娘を殺害したか、裁判長からその理由を問われ、
自分自身、この裁判を通してそれを知りたいと語った。

ロランスはセネガルの裕福な家庭に育ち、両親から厳しい教育を受けて来た。
フランスの大学に進んだが、両親の意に反して鉄月を専攻した為、
仕送りを止められて生活苦に陥り、やむなく休学。
援助してくれた歳上の彫刻家デュモンテと同棲し、妊娠、出産。
しかし、デュモンテには妻子がいて、次第にロランスとは疎遠になった。
様々な問題を抱えたロランスは精神的に弱り、呪術等に影響され始めた。

ラマはセネガル独自の家族関係や妊娠等、ロランスに自分を投影し、苦悩する。

弁護士は、孤独がロランスを蝕んでいたと主張する。


判決は映画の中では知らされていない。
ネットでいくらか検索してみたけれど、わからない。


やはりヴェネツィア国際映画祭作品。難解。
フランスにおけるアフリカ出身の女性の境遇についての見識も必要だし、
アフリカにおける女性の境遇についての見識も必要。
フランスの白人知識層が、異なる文化圏のアフリカ出身の女性を裁く難しさ。
母である事、娘である事の複雑な位相。

経済的に追い詰められたロランスが足元を危うくするのはわかるとしても、
成功者であるラマが悩みを引きずっているのが重々しい。

裁判を傍聴するラマと目が合ったロランスが一瞬微笑む。
同胞として理解してもらえると感じたのだと思ったが、
ネットで他の方の感想を拝読すると、
もしかしたら被告席にいるのはあなた(ラマ)だったかもしれないのよ、
という、ロランスの見方かもしれないとあって、ちょっと怖くなった。