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マンガ家Mの日常
一昨晩、考え事をして眠れなくなって、夜更けにビデオを選択。
安直過ぎず、重過ぎず、気持ちを穏やかにしてくれる映画が望ましい。


フランスのヒューマンタッチの映画。


高名な作家を父に持ち、ブルジョア一家出身のフランソワは、
父親に対する劣等感を隠し持ちながら、名門高校でフランス語を教えている。

父の新刊本の出版記念パーティで美女アガットに声を書けられ、
郊外の底辺校にベテラン教師をもっと派遣すべきという教育論を自慢げにぶつと、
翌日ランチに誘われ、ウキウキして出かける。
しかし、それは期待していたデートではなく、
国民教育省の大臣達とのランチミーティングで、
フランソワは、底辺中学に1年間の出向を求められる。

しぶしぶ赴任した中学は、アフリカ系の貧困家庭の子供達が大半を占め、
学習意欲が低く、問題を抱えた子も多かった。
フランソワは、戸惑いながらも、自らの教育熱心さを発揮して、
工夫を重ねて生徒指導に取り組む。
子供達は徐々に学習意欲を取り戻し、フランソワに心を開く。

担任したクラスの問題児セドゥが、遠足先のヴェルサイユ宮殿内で、
想いを寄せるクラスメイトのマヤにいいとこを見せようとして、
2人で国王のベッドで自撮りする。
警備員に捕まり、これまでの非行と兼ね合わせで、セドゥは退学処分となる。
フランソワは、中学の処分の手続きの日々を見つけ出し、
無事、セドゥの復学に成功する。

フランソワは1年の任期を終え、元の高校に戻る事になり、
最終日にセドゥは感謝の言葉を述べる。


じんわりする、良いストーリーでした。
アメリカ映画にありがちな、大げさな事件は無くて、
フランソワの教職は割とスムーズに進む。
生徒達の成長もだけど、それよりも、冒頭の、父親との関係性も含め、
子供達の学習意欲を向上させる為に工夫を重ねる、
フランソワ自身の成長物語として見られる。

ほのかな恋愛模様もあるが、成就しない。
ただ、静かなエンディングの中に、発展的将来性を感じさせる。
フランソワにも、セドゥの人生にも。

フランス語教師という設定もあってか、
映画の中で、フランス文化に対する強い自負が感じられる。
フランソワは、子供達に読ませる教材として、
フランスが誇る文豪ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」を選ぶ。
ユーゴー自身のドラマチックな人生と、
キャラクターが豊かで波乱万丈な名作の魅力に、子供達も夢中になる。

また、学力向上のご褒美としての遠足で、ヴェルサイユ宮殿を選択。
アフリカ系にルーツを持つ子供達の中には、ヴェルサイユ宮殿を知らない子もいた。
そして、セドゥと警備員の追いかけっこで、宮殿内を縦横無尽に駆け回る。
宮殿内でここまでの撮影が許可された事にも驚かされる。

日本では岩波ホールで上映された。
フランス本国での興行成績もイマイチだったようだけど、
もっと長い期間見続けられて、評価されて欲しい。

それはともかく、
主人公のフランソワは、若ハゲメガネの冴えないオッサン。
フランス映画って、そこんところ忖度しないね。
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