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マンガ家Mの日常
ダルデンヌ兄弟の映画のタイトルは大体シンプル。
でも「少年」と「自転車」は泣かせに来てるなって思っちゃった。

映画の中でシリルは移動手段として自転車を使っている事が多い。
車の免許取れる年齢じゃないから当然そうなるんだけど。

「自転車」は「少年」を象徴している。

冒頭、シリルは自転車が盗まれたと思っているけど、実は、
父親が金に替える為に売っぱらってた。
それが、施設に捨て置かれたシリルの状況を象徴している。

シリルは街中に自転車を留め置いて、2、3度盗まれそうになる。
(チェーンか何か付けりゃ良いのに。)
人生を他者に気軽に翻弄されてしまう。

サマンサは、シリルが言っていた自転車の特徴を元に、
わざわざ探し出して、買い戻してくれた。
ウェス(後にシリルに強盗を強要するが)は
釘を踏んでパンクしたタイヤを修理に出してくれた。
いずれの時もシリルは代金の支払いを申し出るが、ふたりとも求めない。
シリルが誰かになつくきっかけは、
自転車を丁寧に扱ってもらった事と通じている。

サマンサと自転車に乗って、近所にピクニックに行く。
サマンサの大人用自転車はシリルの倍の8段変速で、
本気で走られたら追いつけない。
シリルはそれに乗ってみたくて、途中、少しの間交換してもらう。
自転車にも、大人と子供の違いが浮き彫りにされている。

自転車に乗る事で、ただ歩くよりは行動半径が広がる。
でも、それは自動車の比では無い。
外の社会に出かかりながらも、まだ制限が多く、弱い。
簡単に他の人に操られる。
保護者の範囲外に出る自由はあるが、出た先でトラブルに見舞われる。

それがシリルの年代なのである。

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