ベルギーの至宝、ダルデンヌ兄弟の作品。
少ない言葉で多くを語る、そんな映画。
こういう名作について言葉であれこれ語るのは無粋なようだ。
でも、映画好きとしては感想を述べずにいられない。
12、3歳くらいの少年シリルは施設で暮らしている。
つい最近、シングルファーザーの父親は他所の街で仕事に就いて、
世話が面倒だからって、半ば捨てるように施設に預けた。
元のアパートはもぬけの殻。シリルの自転車も無くなっている。
シリルは父親の連絡先すら知らされておらず、消息をあちこち尋ねて廻る。
施設のスタッフに連れ戻される際、偶然その場に居合わせた女性サマンサが
後日シリルの自転車を探し出して、施設まで届けてくれた。
シリルは不意に、サマンサに週末だけの里親になってくれるよう頼む。
サマンサの助けで、なんとか父親に再会するが、無下に追い返される。
ますます荒んで行くシリル。
サマンサの恋人は根をあげて「その子と自分とどっちを取るんだ?」
と迫るが、サマンサは躊躇わずシリルを選ぶ。
サマンサは30代半ばくらいで、小さいながら美容室を経営し、自立している。
シリルとはそれまで何の縁もゆかりも無かった訳で、
そんな彼女がどうして里親を引き受け、手こずるシリルを見捨てなかったのか。
理由は何も伝えられない。
自立している女性だからこその強い保護本能だろうか。
シリルは街の不良に利用されて、雑誌店の親子をバットで殴り倒し、金を盗む。
その不良に裏切られ、父親にも見捨てられ、
途方に暮れて戻って来たシリルをサマンサは冷静に受けとめる。
警察に行き、謝罪の手続きをし、治療費と店の休業補償金も支払う。
サマンサの冷静さと忍耐が、シリルの心に落ち着きを取り戻させる。
後日、雑誌店の息子が怒りを押さえきれずにシリルに乱暴を働く。
樹に上って逃げたシリルは石をぶつけられて落下。動かない。
殺してしまったか、と思った雑誌店親子は状況を誤摩化そうと相談し合う。
その時、サマンサからかかって来たケータイの着信音で
シリルは脳しんとうから目を覚まし、起き上がって、サマンサの待つ家へ帰る。
恨み言も言わない、反撃もしない。
人生の中で、習得すべき大事なものがある。
それを授けてくれる相手、タイミング、受け入れる気持ち、
全てが上手く噛み合わさった。
シリルは幸運に恵まれた。これを大切にしていかねば。
ダルデンヌ兄弟の作品では「ロゼッタ」が記憶に深い。
多分もう1作は見た筈なんだけど、タイトルが定かでない。
ドキュメンタリーにも近いタッチで淡々と話を紡ぐ。
人生は不公平で、不条理で、やるせない事ばかり。
でも、頑張った人にはホッとする小さなご褒美が待っている。
一番のご褒美は、信じ合える人との出会いだろうか。
私事ではあるが...、
シリルが父親を追い求める姿に、甥っ子が重なって、泣けた。
彼もまた、不条理な子供時代を味わった。
小さくても、今、彼なりのご褒美を手に出来ていれば、と願う。
少ない言葉で多くを語る、そんな映画。
こういう名作について言葉であれこれ語るのは無粋なようだ。
でも、映画好きとしては感想を述べずにいられない。
12、3歳くらいの少年シリルは施設で暮らしている。
つい最近、シングルファーザーの父親は他所の街で仕事に就いて、
世話が面倒だからって、半ば捨てるように施設に預けた。
元のアパートはもぬけの殻。シリルの自転車も無くなっている。
シリルは父親の連絡先すら知らされておらず、消息をあちこち尋ねて廻る。
施設のスタッフに連れ戻される際、偶然その場に居合わせた女性サマンサが
後日シリルの自転車を探し出して、施設まで届けてくれた。
シリルは不意に、サマンサに週末だけの里親になってくれるよう頼む。
サマンサの助けで、なんとか父親に再会するが、無下に追い返される。
ますます荒んで行くシリル。
サマンサの恋人は根をあげて「その子と自分とどっちを取るんだ?」
と迫るが、サマンサは躊躇わずシリルを選ぶ。
サマンサは30代半ばくらいで、小さいながら美容室を経営し、自立している。
シリルとはそれまで何の縁もゆかりも無かった訳で、
そんな彼女がどうして里親を引き受け、手こずるシリルを見捨てなかったのか。
理由は何も伝えられない。
自立している女性だからこその強い保護本能だろうか。
シリルは街の不良に利用されて、雑誌店の親子をバットで殴り倒し、金を盗む。
その不良に裏切られ、父親にも見捨てられ、
途方に暮れて戻って来たシリルをサマンサは冷静に受けとめる。
警察に行き、謝罪の手続きをし、治療費と店の休業補償金も支払う。
サマンサの冷静さと忍耐が、シリルの心に落ち着きを取り戻させる。
後日、雑誌店の息子が怒りを押さえきれずにシリルに乱暴を働く。
樹に上って逃げたシリルは石をぶつけられて落下。動かない。
殺してしまったか、と思った雑誌店親子は状況を誤摩化そうと相談し合う。
その時、サマンサからかかって来たケータイの着信音で
シリルは脳しんとうから目を覚まし、起き上がって、サマンサの待つ家へ帰る。
恨み言も言わない、反撃もしない。
人生の中で、習得すべき大事なものがある。
それを授けてくれる相手、タイミング、受け入れる気持ち、
全てが上手く噛み合わさった。
シリルは幸運に恵まれた。これを大切にしていかねば。
ダルデンヌ兄弟の作品では「ロゼッタ」が記憶に深い。
多分もう1作は見た筈なんだけど、タイトルが定かでない。
ドキュメンタリーにも近いタッチで淡々と話を紡ぐ。
人生は不公平で、不条理で、やるせない事ばかり。
でも、頑張った人にはホッとする小さなご褒美が待っている。
一番のご褒美は、信じ合える人との出会いだろうか。
私事ではあるが...、
シリルが父親を追い求める姿に、甥っ子が重なって、泣けた。
彼もまた、不条理な子供時代を味わった。
小さくても、今、彼なりのご褒美を手に出来ていれば、と願う。
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