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マンガ家Mの日常
久しぶりに、しっかりした映画を観た。

世界最大の英語辞典「オックスフォード英語大辞典」編纂に関わる、
実話を基にした作品。


スコットランド出身のマレー博士は、
オックスフォード大学から英語辞典編纂の依頼を受ける。
19世紀中盤、世界各国が時点の編纂にしのぎを削る中、
数百年に渡る膨大な言語の変遷をも体系付けようとする試みは、困難を極めた。
マレー博士は広告を出し、国中の一般人から、言語と用法についてのメモを集める。
その中でも、質、量共に、際立って高いレベルのメモを送って来た人物がいた。
マレー博士が改めて協力を要請に行くと、その人物は精神療養施設の収容者だった。

元軍医のマイナーは、戦場での悲惨な体験からPTSDを発症し、
過去の亡霊が自分を殺しに来るという妄想に囚われ、
亡霊を倒すつもりで追いかけ、誤って一般の男性を射殺してしまう。
殺人で有罪となり、精神疾患の為に、療養所に収容されていた。
未亡人となったメレット夫人に軍人年金を差し出すが、拒絶されてしまう。

罪の意識に悩み苦しみ続けるマイナーは、
辞典編纂の手伝いに集中する事で、少しずつ気持ちを落ち着けていく。
しかし、マイナーの謝罪を受け入れたメレット夫人と親しくなると、
再び殺人の記憶に苛まれ、自傷行為に走り、
院長の勧めに従って、ショック療法を受けて、意識朦朧となる。

大学内部での権力争いの為に辞典編纂を妨害されそうになりながらも、
マレー博士は仕事を続け、マイナーの境遇の改善にも尽力する。
マイナーは療養所を出て、故郷の実家に帰る。


タイトルだけ見ていた時は、もう少しポップな要素もある物語かと思っていたけど、
なかなかに重苦しい。
勿論、当時はPTSDなんていう概念にも乏しかっただろうから、
マイナーは救われない。
どこまでも罪の意識に悩み苦しみ、もがき続ける悲惨な姿を見ると、
ふと、最近報道されていた、
老人が運転ミスで女性と幼い子供を死なせてしまった事件が頭を過る。
この老人はなかなか反省の色を見せない。

ただ、実話が基であるという重みのせいもあってか、
マレー博士(メル・ギブソン)の側の、辞典編纂の苦労、家族や友人の支え、
マイナー(ショーン・ペン)側の、PTSD等々、
テーマが複数に散らばっているようで、焦点を当てづらい。
2大スターによる2つのドラマの融合のような感じ。
そして、その分、この2大スターの演技は素晴らしい。
ショーン・ペンはオーバーアクトにならない線を見極めた上で、
振幅豊かな演技を見せている。

2大スターだけでも十分重いのに、
エディ・マーサン、スティーヴ・クーガン、ヨアン・グリフィズ等、
贅沢な配役となっている。
原作の評価が高かったのかな。
重苦しい内容なので、残念ながらヒットはしなかったみたい。


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