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マンガ家Mの日常
世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの若き日を描いた映画。


幼い頃にピアノに出会い、持って生まれた絶対音感と、
1度曲を聴いただけで完コピ出来るという天賦の才を発揮。
まごうかたなき神童として、王立音楽院の入学を認められる。

10代半ばに、エルヴィス・プレスリーに代表されるような音楽に影響を受け、
ポピュラーロックの道に進み始める。
マネージメントを通して作詞家バーニー・トーピンと出会い、
以後、50年間に渡って共作を続け、大ヒット曲を記録的に量産。

世界的な大スターとして成功の階段を上り詰めるも、
元軍人の父親はエルトンが15歳の頃に離婚して、後に再婚。
生涯を通してエルトンを顧みようとせず、
母親もまた、ゲイの息子に侮蔑的な言葉を投げかけた。

ゲイへの偏見が続く時代にあって、公表出来ず、
一時期は偽の女性の恋人を作ったりもした。
マネージャーのジョン・リードと恋人関係になるが、
私生活でも仕事面でも、ジョンの裏切りが発覚し、破局。

ツアーの疲労と孤独に苛まれ、アルコールやドラッグの中毒になる。
リハビリを重ね、見事復帰。
新しいパートナーと養子に恵まれ、幸せに暮らしている。


洋楽を聴き始めた頃、エルトン・ジョンの存在は知っていながら、
ポップスにはあまり関心が向かなかったので、耳馴染みのある楽曲が少ない。
当時の印象は、とにかく派手な眼鏡。

映画でエルトンの前半生を追いながら、楽曲を聴くと、胸に迫るものがある。
でも、作詞は相棒のバーニーによるもので、
バーニーがエルトンの心の内を描き切った、友情と共鳴関係が素晴らしい。

同性愛者への偏見については、痛みを共有する事は出来ないけれど、
両親の無理解や家庭不和に関しては、色々思い当たるフシがある。
とは言え、
20歳過ぎて成人して、自分自身の仕事も持ってるんなら、
いつまでも親の事でグジグジ悩まないでよ、とも思う。

母親は再婚後もエルトンからの援助をあてにし、
一方の父親は、エルトンの財産を軽蔑するかのような視線を投げかける。
お金の成功と家族の幸福は上手くリンクしない。


監督のデクスター・フレッチャーは、俳優としてのキャリアの方が長い。
「ボヘミアン・ラプソディ」の製作にも名前が入っていて、
その流れで今作の監督に結びついたのかな。
映画としては、今作の方が格上の出来。
脚本も良いし、映像のセンスも良い。
でも、大ヒットに至らなかったのは、メッセージ性の違いかもしれない。
QUEENは「We are the champions」「We will rock you」と、
「私達」を巻き込む力強い楽曲が良いポイントで出て来る。
それに対して、今作は、エルトンの個人的、内省的な歌詞が重要視されている。
そうなると、観客のノリも違って来る。

まぁ、QUEENが王子様バンドで、
フレディの死の悲劇で壮大なフィナーレに向かっていたのに対して、
エルトンはファニーなポッチャリおじさんで、
お買い物中毒を満喫しながら、現在の家族と幸せに暮らしてるからね。
めでたしめでたし。

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