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マンガ家Mの日常
年末に観た映画2本目。

エドワード・ノートンが、監督、脚本、製作、主演の4役を務めた意欲作。
原作小説では時代設定が1999年だったのを敢えて1950年代に変更して、
往年のハードボイルドミステリーの芳香を漂わせている。


幼い頃に両親を亡くして孤児院で育てられたライオネルは、
トラウマからトゥレット障害を発症。
フリークショーと渾名されていた。
しかし、類稀な記憶力と洞察力を持ち合わせ、
私立探偵フランクに引き取られて、成人後は部下として働く。
フランクの探偵事務所には、ライオネルと同じ孤児院から引き取られた
トニー、ダニー、コニーの3人も働いている。

ある事件に関わったフランクが殺害される。
ライオネルはフランクが今際の際に残した僅かな言葉から手がかりを探り始める。

折しも、ニューヨークでは新市長が誕生。
地域の開発を手がける実力者モーゼスも役職を得る。
モーゼスは地域の発展の為に再開発を推し進めようとしていたが、
古いアパートが取り壊され、貧しい有色人種が住居を失う危機に直面していた。
モーゼスは明らかに有色人種に対して差別的な嫌悪感を抱いていた。

ライオネルはジャズバーでアフリカ系女性ローラと知り合う。
ローラは貧しい住民達の住居を守る運動に参加していた。

ライオネルは恩人であるフランクに信頼を寄せていたが、
フランクが土地再開発事業に関して何らかの強請りを働こうとしていたと分かる。
フランクが被っていた帽子の内側に隠されていたコインロッカーの鍵を発見。
駅のロッカーを開けると、中に書類が入っていた。
それはローラの出生証明書で、父親はモーゼスとなっていた。
傲慢なモーゼスは若い頃に自宅のメイドのアフリカ系女性をレイプし、妊娠させ、
ローラが生まれた。
その事実が明るみに出ると、政治家生命に響く。
モーゼスは、兄ポールをローラの父親として身代わりに立てていた。

ライオネルはローラの為を思って事件から手を引く。
モーゼスの悪事を暴く調査資料を知人の新聞記者に郵送し、後を託す。


ハードボイルドの世界にうまくハマっていたけど、
作品としては、可も無く不可も無くってところかな。
やっぱり、事件の概要を台詞でザァーッと説明されると、
字幕派としてはやや付いて行き辛い。
で、ラストがちょっと尻すぼみ。
モーゼスにはロバート・モーゼスという実在のモデルがいるそうで、
NYの都市開発に多大な貢献をしながら、人種差別主義者だったとか。
その人に配慮した結果、白黒つけるガッチリした結末を創作出来なかったのかな。

とにかく豪華キャストで、
フランク役ブルース・ウィリス、モーゼス役アレック・ボールドウィン、
ポール役ウィレム・デフォー、トニー役ボビー・カナヴェイル、
ダニー役ダラス・ロバーツ、ジャズ奏者役マイケル・ケネス・ウィリアムズ、等々。
結構画面が重たい。
ポールとモーゼスの兄弟の確執とか、フランクの妻とトニーの不倫とか、
エピソードが多めで、ややゴチャつく。

音楽をトム・ヨーク、ウィントン・マルサリス、
レッド・ホット・チリペッパーズのフリーらが担当していて、重厚感がある。
聞き応え十分。
ただそれだけに、ジャズバーでの演奏シーンが設定と関係無く、やや長いような。

監督2作目なので、迷うくらいなら何でも盛り込んでしまおう、という感じ?
今後に期待。
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