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マンガ家Mの日常
この後は仕事のテンポを上げていかなきゃならなくて、
まとまった休みは取れないから、誕生日の夜にまとめて見た。

舞台となった山間部の大自然や、雨、雲、霧などの冷ややかさ、ウエット感、
そうした要素が良く伝わって来て、映像は美しかった。
ただ、話題作だったのでもう少し期待したんだけど、
ティーンエイジャー向けロマンホラーだからか、
物語の展開があちこちタルかった。
なんとなく雰囲気に流されてて、構成が弱い。
何が何してどうなったの?と聞かれた時に答えられない。
結局、元の設定のユルさに尽きる。

皆、はっきりした目的意識も無く、急遽解決すべき試練も無い。
あるのは、恋人を殺された肉食系吸血鬼のヴィクトリアが
本来の復習相手であるはずのエドワードに行かず、
彼を苦しめるべく、恋人であるヒロインのベラを殺そうとするってだけ。
で、その為に多くの罪の無い人達が吸血鬼にされ、終いに殺される。

ベラとエドワードの出会いと結びつきにしたって、
ベラの生まれ持った特有の香りが吸血鬼を引き寄せるって事だから、
それ以上のエピソードは生まれない。
なんしろ、何処を取っても、人としての葛藤が無い。
ただそれぞれの元の設定があるだけで、話が動いて行かない。

で、まぁ、ありがちなんだけど、
何もかも、誰もかもが、ヒロインのベラに都合良く動く。
ちょっといけ好かないところもあるし、
人の言う事を聞かずに好き勝手してトラブルに巻き込まれたりしてるのに、
皆、何があってもベラの味方。
それじゃあ話は薄くなる。作者は何を考えてたんだろう。

答えは、究極のお姫様ごっこ。

生まれ持ったもので 苦労せずに王子様達を引きつけ、
悪女に命を狙われ、王子様の軍隊に守られ、救われる。
象徴的なのは、エドワードとジェイコブのふたりがベラを取り合いするシーン。
ふたりして「命がけでベラを守るのは自分だ。」と言い張り、
ベラは「私の為に争わないで。」と。(そんな歌が昔あったよね。)
このシーンが実に4回も出て来るんだ。
イケメンふたりが目の前で自分を取り合ってる、
お姫様願望女子の究極の憧れのシチュエーションだよね。

ベラが 歳を取らない吸血鬼のエドワードと一緒にいる為に
自分も吸血鬼になりたいと申し出る。
エドワードはベラを愛してるからこそ、
ベラに普通の人間としての人生を送らせてあげたい。
人として歳を取って生きて行く事の大切さについて
ベラの母親や同級生、望まずに吸血鬼にされた女性、それぞれが
それぞれの立場で話をする。
でも!肝心のベラがそれについてどう思ったかが伝わって来ないし、
ベラ自身の葛藤が何も無いんだよ。
数年は誤摩化せても、すぐに親とも友人とも生き別れになる。
将来やりたい仕事があっても、いつまでも学生の繰り返しで、何者にもなれない。
そんな事も何も悩んじゃない。
せいぜい、吸血鬼に変わる前の感情でエドワードとセックスしたいってだけ。
それもエドワードの理性が働いて 未遂に終わるんだけど。

映画として、そんなんで良いんか?

人狼族のジェイコブは可愛かった。
顔立ちの雰囲気がラファエル・ナダルに似てる。
...それが、話の最後まで、ベラを愛してると言って譲らない。
映画なんだから、心境の変化とか人間関係の変化とかが無きゃなんだけど、
最初から最後まで、理由も無く永遠にヒロインを愛するってのが良いのかな、
お姫様ごっこだから。

人狼族の男性は何故か皆上半身裸で、膝辺りで切ったパンツ姿。
それと短髪。
アバクロのモデルか、かつてのマーク・ウォルバーグの
カルバンクラインの下着広告か。
アメリカの人達、いつまでもあの広告 好きだよね。

あちこち単純な突っ込みどころはあるから、
「30ROCK」のリズ・レモンのような友達と楽しむのも手かもしれない。

エドワードの肌がダイヤモンドのように光り出した時なんか、つい、
「おっ、叶姉妹か。」なんて言っちゃったよ。

カレン医師のピーター・ファシネリはああして見ると美形だけど、
「ナース ジャッキー」のお調子者の医師をずっと見てたので、
そっちの印象が強過ぎて、シリアス演技が なんか笑えてしまう。

ヴィクトリア役だけ俳優さんが変わってしまったのは 
何かの理由でやむを得ず、なんだろうね。
そこは突っ込んでも面白くない。
でも、もうちょっと元の人に似た顔の俳優さんを選べなかったのかなぁ。
それとも、敢えてキツめの顔立ちの人に変えたのかしら。

主人公ベラ役の女の子は それなりの雰囲気があって良いんだけど、
鼻の下が短いせいでいつも口が半開きになるのが どうにも気になった。
「HEROES」のアリ・ラーターもそんな感じ。
ちょっとそり気味の上唇が、見る人によっては色っぽく感じるのかもだけど、
中途半端に口が開いてると、何か言い出しそうで言わなそうで、
段々イラついてくる。
父親はベラが何をしようと甘やかし放題だしな。なんとも頼りない。
 
父親役のビリー・バークはこのところ「フリンジ」「リゾーリ&アイルズ」等で
続けて見かける。
こっちのドラマじゃ、もっとしっかりしたFBI捜査官なんだが。
そう言えば、映画の中では行方不明者や被害者の捜査はどうなったんだ、
ほったらかしで全部未解決のまんまだぞ!

ひとりでも、いつまでもツッコミを止められない。
次、パロディ版の「ほぼトワイライト」を早く見なきゃ!
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