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マンガ家Mの日常
サクッと見られそうな短めのコメディを見る。
...つもりが、何かちょっと違った。

タイトルからして、
オタク青年がジタバタとみっともない事をしつつも頑張って
好きな女の子と上手くいく、って言う感じを想像したんだけど、
ただただ現実的で救いが無かった。
一発逆転の幸せは決して来ない。

中年に差し掛かったエイブは未だ両親と同居、当然独身。
仕事はコネで、父親が経営する不動産会社に入ったものの、
やる気が無くてお荷物。
自室はフィギュアがそこら中に飾られていて、オタクどっぷり。

とある結婚式で出会ったミランダと言う、暗い顔の女性に恋をして積極アプローチ。
何とかO.K.をもらってみれば、
ミランダは彼氏と別れたばかりのやけくそ状態なだけだった。

ズルズルとしたぬるま湯生活。
エイブ本人も鬱屈としたものを抱えているようにも見える。
子供の頃から出来の良い弟と比べられて、コンプレックスを抱いていた。
でも、だからって何か努力をするでも無い。
父親も徐々にエイブを突き放しにかかった。

途中からエイブ自身の自省的な妄想が絡んで来る。
でも、ひたすら言い訳に終始してしまう。

ラストは、車の事故で両足を失って、2ヶ月の昏睡状態から目覚めたかと思うと、
ミランダからうつされたB型肝炎で敢え無く亡くなってしまう。
死後の魂となったエイブが自宅の廊下の柱に
かつて父親がエイブをダークホース、期待の息子だと記した文字を見つける。
父親は本当にエイブに期待をかけていたのに、応えようと努力しなかった。
ミランダはエイブの子供を授かっていた。
会社の年配の女性職員は密かにエイブに思いを寄せていて、そっと思い起こす。

無意味な人生を送ったようではあったけど、
ミランダに積極的にアプローチしたり、元カレと対決したり、
年配の女性職員にも別れのキスをしたり、
少しでも努力したところにはちゃんとそれなりの成果が出てるもんなのね。

とらえどころの無い作品だったので、考える手がかりに
ネットで検索して他のブログを見てみた。
このトッド・ソロンズと言う監督はやっぱりクセのある作品を作る人らしい。
「ウェルカム・ドールハウス」は昔見たっけか?
「苦い。」と言う表現がなされていて、理解に通じるものがあった。

いつも只楽しさを求めて、
ジャック・ブラックだとかのオタクコメディを見るんだけど、
見終わった時、ハッピーエンドで良かったと思いつつ、
まぁ、現実はこうはいかないよね、と振り返る。

エイブも何かのきっかけがあれば変われて、充実した人生を過ごせたかもしれない。
でも、努力するって、実は生易しく無い。
大方の人は現状に溺れて、何者になるでも無くほぼ無価値な人生を終える。
そんなもんです。
努力するのと、無価値な自分に妥協するのと、どっちがツライか。

まぁ、でも、微かながらも人との関わりを持てば、
何かの作用は見出せるのかな。


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