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マンガ家Mの日常
イアン・マッケラン、ヘレン・ミレン、
英国の重鎮俳優2人主演のサスペンス映画。


ロイは相棒ヴィンセントと金融詐欺で大金を稼いでいた。
資産家の未亡人ベティとサイトで知り合い、財産強奪の計画を立てる。
足が悪いふりをして、ベティの行為につけ込んで家に入り、親しくなっていく。
ベティの孫スティーヴンはロイに疑念の眼差しを向けるが、ベティは意に介さない。

2人でベルリンに旅行に出かけると、スティーヴンが街案内の為に出迎える。
しかし、スティーヴンが2人を連れて行ったのは古びたアパートで、
ロイの過去がバラされる。
1948年、ナチスの戦争犯罪者ガイガーを追って、
英国人将校はドイツ人通訳と共にアパートに来た。
しかし、もみ合いになり、将校はガイガーに撃ち殺されてしまう。
通訳の男は、将校と顔が似ているのを利用して、将校になりすまし、英国に渡る。
それがロイだった。
以来60年間、英国で身分を偽り、暮らし続けて来た。

ロイに同情したベティはスティーヴンを叱り、帰国すると、
ロイとヴィンセントの甘言に乗り、ロイと財産共有の契約を結んでしまう。
その後すぐにロイはベティの全財産を引き出して逃げようとするが、
送金用のタブレットが荷物の中に見つからず、ベティの家に引き返す。
すると、家は空き家のようにがらんどうになっており、
待ち構えていたベティが真相を語り始める。

ベティはかつてベルリンで裕福な家庭の令嬢として暮らしていた。
15歳の貧しい少年ロイ(本名ハンス)はベティ(本名リリー)に英語を教えていた。
リリーの2人の姉達や父親に冷遇され、ブチ切れたハンスは、
自分に好意を抱いていたリリーを強姦し、リリーの父親をナチスに密告する。
父親は逮捕され、3日後には絞首刑にされる。
その後、空爆で邸は崩れ、母親と姉達は命を落とす。
全てを失ったリリーは、決死の思い出生き抜いて来た。

初めから、何もかもベティの計画だった。
ベティは本当の孫の友人であるスティーヴンに調査を依頼。
ヴィンセントの弱みを握り、ロイを追い込む手伝いをさせると、
タブレットでロイの財産を引き出す。
直後、ロイは以前騙した男達にめちゃめちゃにボコられる。
半身不随状態となったロイは施設に送られ、ヴィンセントの見舞いを受ける。
復讐を遂げたベティは、大勢の家族の元に戻る。


詐欺の相手ベティがヘレン・ミレンというところから、
ベティが何らかの策略を隠し持っていると容易に推察される。
それが、第2次大戦時下の出来事と絡むとは。
原作小説があるそうで、作品の時代設定は2005年辺りという事になる。
映画公開は2020年だけど、
2020年には2人とも90歳くらいになってるから、
こうしたサスペンスはちょっと厳しい。
詐欺の方に比重を傾けるなら、
復讐の元になった過去の設定を変える事も可能だけど、やはり、
ベルリンという土地と、ナチスの戦争犯罪を描く事に意味があったのだろう。
その点で、映画は少しテーマがバラけて、
展開のバランスが悪くなっているようにも見える。

ハンスはサイコパス的な要素を持っているように見えるけど、
富豪宅で冷遇された貧しい少年の立場には同情する部分がある。
一方、過酷な人生を送らされたリリーについても考えねばならない。
何れにしても、やや後味の悪い結末。

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