イザベル・ユペールの存在感によって成立した映画。
典型的グラマラス美女というタイプではなくて、クールな知性派。
単純な感情を表に出さず、重層構造の表情で表現する。
今作でも、被害者的立場にありながら、攻撃性を秘めている。
しかしながら、今作は他のキャラクターも皆が濃い。
理想的な若夫婦と見られたお隣さんは、
夫のパトリックは弁護士でありながら、レイプでしか興奮しない。
妻のレベッカはキリスト教原理主義で、DV夫と離婚しきれない。
「短い期間だけど、夫を引き受けてくれてありがとう。」って、
ミシェルのレイプ被害を見て見ぬ振り。
ミシェル自身、男性を威圧したいタイプで、妻帯者相手の遊びが止められない。
ロベールと別れられたのも、代わりにもっと魅力的なパトリックが現れたからか。
アンヌは一番まともそうだけど、夫がいながら、
ミシェルに対してレズビアン的な好意を抱いている。
夫ロベールは家から追い出したけど、ミシェルとはすぐに仲直り。
悪の元凶はミシェルの父親。
猟奇的犯罪者で、こればっかりは救いようがない。
事件当時10歳で、なす術も無く、ミシェル自身も被害者だったにも関わらず、
マスコミのスキャンダラスな報道で好奇の目に晒され、
街の住人達からは怪物の子としてあからさまに攻撃されるという、
理不尽さに耐えなければならなかった。
そんな父親に、母親は面会しに行けとミシェルに言い続ける。
子供を虐待する父親の妻は、共犯者として存在するのみ。
母親は反省の色も無く、ミシェルの援助で優雅な暮らしをして、
美容整形を繰り返し、若いツバメを囲う。
ツバメは彼女の死後、即座に若い女性を連れ込む。
母親のアパートの名義はミシェルのものなので、ツバメは出て行くしかない。
ミシェル、賢かった。さすが。
母親に対しても父親に対しても、その死に一抹の同情は寄せながらも、動じない。
納骨堂にお参りに行くと、父親のスペースの扉には落書きがされていた。
欠落した両親の愛情に悩みながらも、二人の死別によって解放された。
元夫リシャールは、若い恋人が別人の小説を彼の作品だと勘違いして褒めた事に
ウジウジと落ち込み、ミシェルに愚痴を垂れる情けなさ。
ミシェルはお情けで仕事を与え、元夫をオモチャにしている。
これ程、知性と社会性に開きがある二人が、何故一度は結婚したのだろう。
ミシェルは、セックス以外では、パートナーとしての役割を男性に求めていない。
息子ヴァンサンのことは流石に気にかかる。
ジョジーのアフリカ系の元カレが度々出入りしていて、
生まれて来た子は明らかに肌が浅黒いのに、自分の子だと言い張る。
「DNA検査しなさい。」と言うミシェルの言葉は強烈な皮肉として響く。
まぁ、頼りないながらも、家族を大事にしようとしているし、
仕事も何とかステップアップして来ているので、
ミシェルの母親としての頑張りが実ったと言う事かな。
ミシェルが社長を務めるゲーム製作会社の若い男性スタッフ達は、
横暴な女王様のミシェルに反抗して、
自社のゲームのエロティックなシーンを利用して、
ミシェルが怪物に犯されているシーンを作って共有するが、
それは、彼らがミシェルに性的な関心を抱いている表れでもある。
登場する人物ほぼ全員が曲者揃い。
上映時間は2時間10分と、短くはないけれど、
それでもこれだけ大量の要素を詰め込んで、バランスを保っているのは素晴らしい。
それもまた、語らずに多くを語る、イザベル・ユペールの存在感ならでは。
(完了。)
典型的グラマラス美女というタイプではなくて、クールな知性派。
単純な感情を表に出さず、重層構造の表情で表現する。
今作でも、被害者的立場にありながら、攻撃性を秘めている。
しかしながら、今作は他のキャラクターも皆が濃い。
理想的な若夫婦と見られたお隣さんは、
夫のパトリックは弁護士でありながら、レイプでしか興奮しない。
妻のレベッカはキリスト教原理主義で、DV夫と離婚しきれない。
「短い期間だけど、夫を引き受けてくれてありがとう。」って、
ミシェルのレイプ被害を見て見ぬ振り。
ミシェル自身、男性を威圧したいタイプで、妻帯者相手の遊びが止められない。
ロベールと別れられたのも、代わりにもっと魅力的なパトリックが現れたからか。
アンヌは一番まともそうだけど、夫がいながら、
ミシェルに対してレズビアン的な好意を抱いている。
夫ロベールは家から追い出したけど、ミシェルとはすぐに仲直り。
悪の元凶はミシェルの父親。
猟奇的犯罪者で、こればっかりは救いようがない。
事件当時10歳で、なす術も無く、ミシェル自身も被害者だったにも関わらず、
マスコミのスキャンダラスな報道で好奇の目に晒され、
街の住人達からは怪物の子としてあからさまに攻撃されるという、
理不尽さに耐えなければならなかった。
そんな父親に、母親は面会しに行けとミシェルに言い続ける。
子供を虐待する父親の妻は、共犯者として存在するのみ。
母親は反省の色も無く、ミシェルの援助で優雅な暮らしをして、
美容整形を繰り返し、若いツバメを囲う。
ツバメは彼女の死後、即座に若い女性を連れ込む。
母親のアパートの名義はミシェルのものなので、ツバメは出て行くしかない。
ミシェル、賢かった。さすが。
母親に対しても父親に対しても、その死に一抹の同情は寄せながらも、動じない。
納骨堂にお参りに行くと、父親のスペースの扉には落書きがされていた。
欠落した両親の愛情に悩みながらも、二人の死別によって解放された。
元夫リシャールは、若い恋人が別人の小説を彼の作品だと勘違いして褒めた事に
ウジウジと落ち込み、ミシェルに愚痴を垂れる情けなさ。
ミシェルはお情けで仕事を与え、元夫をオモチャにしている。
これ程、知性と社会性に開きがある二人が、何故一度は結婚したのだろう。
ミシェルは、セックス以外では、パートナーとしての役割を男性に求めていない。
息子ヴァンサンのことは流石に気にかかる。
ジョジーのアフリカ系の元カレが度々出入りしていて、
生まれて来た子は明らかに肌が浅黒いのに、自分の子だと言い張る。
「DNA検査しなさい。」と言うミシェルの言葉は強烈な皮肉として響く。
まぁ、頼りないながらも、家族を大事にしようとしているし、
仕事も何とかステップアップして来ているので、
ミシェルの母親としての頑張りが実ったと言う事かな。
ミシェルが社長を務めるゲーム製作会社の若い男性スタッフ達は、
横暴な女王様のミシェルに反抗して、
自社のゲームのエロティックなシーンを利用して、
ミシェルが怪物に犯されているシーンを作って共有するが、
それは、彼らがミシェルに性的な関心を抱いている表れでもある。
登場する人物ほぼ全員が曲者揃い。
上映時間は2時間10分と、短くはないけれど、
それでもこれだけ大量の要素を詰め込んで、バランスを保っているのは素晴らしい。
それもまた、語らずに多くを語る、イザベル・ユペールの存在感ならでは。
(完了。)
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