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マンガ家Mの日常
「ブレイキング・バッド」で文字通り大ブレークした中高年の星、
ブライアン・クランストン主演映画。
屈折した嫌味な中高年男の役で光る。

ケヴィン・スペイシーがセクハラ問題で活動停止状態のハリウッドにあっては、
ブライアン・クランストンがケヴィン・スペイシーの役を
奪っていくんではなかろうか。
顔立ちがちょっとインパクトに欠けるけれど、
逆に、平凡な男が道を外れる怖さがあるかもね。


有能な弁護士ハワードは、かつて友人から略奪した美しい妻ダイアナと、
中年夫婦の危機に陥っていた。
ある日、列車が事故で遅延して、帰宅が大幅に遅れてしまった。
自宅に入ろうとした時、アライグマを追い払おうと納屋に入ると、
窓から見える自宅の様子に見入ってしまい、納屋で一夜を過ごしてしまった。

翌朝戻るつもりが、ダイアナが心配する様子を見続けたい衝動に駆られ、
そのまま様子を覗いているうちに、出るタイミングを逸してしまった。
深夜に近所のゴミ箱を漁る等してズルズルと納屋暮らしを続けた。

ダイアナと二人の娘達が父親の自分抜きで例年通りの夏季休暇に出かけるのを
目にした時には、一抹の寂しさを覚えたが、
ダイアナが言い寄ってくる男を退けた時には愛情を再確認した。

知的障害を持つ青年達とのふれ合いにも心を動かされ、
ほぼ1年が経った頃、意を決して、身なりを整えてから、
まるで何事もなかったように帰宅する。


中高年男の鼻につくプライドから生じる心の暗部。
少々サイコ的な嫌味ったらしさ。
ブライアン・クランストンの十八番とでもいうべき役どころが見もの。
映画自体はそんなに面白くはないけど。

1年間も人が自宅に隣接する納屋に住み着いてるのに、
家人は全く気づかないもんかなぁ、とか、
住宅地なら、ゴミ箱から十分な食料を調達出来るんだなぁ、とか、
そういうのはどうでもいい事なのかな。

家庭における自分の位置付けって、父親に限らず、気にはなるもんだろうね。

ハワードが帰宅して、めでたしめでたしで終わるのだろうけど、
その後の家族の様子については想像するしかない。
ひと通り不在を責めたりしてから、お互い愛情の再確認をして、
また暫く経ったら徐々に倦怠感に支配されてしまう。
でも、前のような、精神的に嫌な危機的状況には向かわないだろう。
めでたしめでたし。


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