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マンガ家Mの日常
寝苦しい深夜、感じの良い映画を見たくて。

名匠ケン・ローチ監督作品。
数々の映画祭で賞に輝いた作品。


年配の大工ダニエルは心臓を悪くして、仕事中に発作で足場から落ち、
医師から仕事を止められた。
妻は精神疾患を患った後、数年前に死去。
支援金を受け取るべく役所に出向くが、
様々な理由づけと煩雑な手続きで追い返される。
同じ時、二人の子供を連れた若いシングルマザーのケイティが、
やはり援助を断られて職員と揉めていた。
見かねたダニエルはケイティの相談に乗るようになる。

その後もダニエルは支援金受け取りの為の申請手続きを続けるが、
堂々巡りになってしまって、一向に進展しないばかりか、
役所の職員は処罰の可能性までも突きつけてくる。
病気で仕事が出来ないのを承知の上で、求職手当を受け取る為だけに、
履歴書を作成して求職して回る。
ダニエルの実直さを見込んで仕事の依頼をしてくれた雇い主からの電話を
断るしかないという矛盾。

仕事が見つからず、困窮したケイティは、フードバンクのサービスを受けるが、
空腹で倒れる。
お金が足りずに商店で生理用品を万引きしてしまう。
気の毒に思った警備員は見逃してくれる。
店員が仕事を紹介してくれるが、それは売春宿の仕事で、
ケイティは受け入れるしかなかった。
気付いたダニエルは辞めさせようとする。

収入が途絶えたダニエルは、家具を売るなどして生活費の足しにしていた。
支援金受け取り手続きが進展しないのに業を煮やして、
役所の外壁にスプレーで決意表明を書き付け、逮捕されるが、すぐに釈放される。
ケイティの紹介で代理人と会い、支援金申請を進められるようになる。
やっと少しは上手く行きかけたと思えた時、心臓発作で亡くなる。


これが英国の制度なのか、お役所仕事がたらい回しで酷い。
重篤な病気で医師から仕事を止められたという、ダニエルの話が全く通らない。
一方で、貧しい人達同士の助け合い精神が息づいている事に慰められる。

地味な話だが、編集の巧さでテンポ良く見られて、退屈しない。
ケン・ローチ監督作品の中でも、今作は特に直球勝負。

ただ、個人的には、
ダニエルが亡くなるタイミングはもうちょっと後でも良いような気がしたし、
ケイティに、何か堅気の仕事が見つかれば、と思った。
ダニエルとケイティでは祖父と孫くらいの歳の開きがあるかもしれないけど、
それでも大人の男女なので、自宅を頻繁に訪れていたら、
うがった見方をする人達もいそうな気がするけど、どうなんだろう。


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