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マンガ家Mの日常
実話を元にしたスウェーデンの長編犯罪小説、上下巻。


20代前半の青年達が銀行強盗を繰り返す。
実際に2年間以上捕まらず、現金輸送車含め、10件の強盗を働いた。
ところが、周到な準備をして来たにも関わらず、
予想した金額に満たない事ばかり。
その為に犯罪が長期化した側面もある。

結局、次の強盗の準備の為に装備を揃えたりするのにお金がかかって、
強盗で得た現金の大半は消えてしまった。
銀行強盗は割りに合わないと言う事なんだろう。

読んでいるとどうしても主人公であるレオに肩入れする気持ちになり、
捕まらずに逃げおおせて欲しいと思ってしまうけれど、そうはいかない。
逮捕されて、実際の彼らはおそらくまだ刑務所の中にいるんだろう。
その後の人生が気になる。


24歳のレオと22歳のヤスペルは兵役の経験があって、
銃火器の扱いや軍事行動に精通していた。
日本の一般的な20代前半の青年だと、なかなかこうはならない。
兵役義務って、ある意味、犯罪を凶悪化させる一助になってしまっているのかも。
それはその国が選択した政策の結果ではあるけど。


レオの父親イヴァンによる家庭内暴力に多くのページを割かれている。
また、レオ達を追う刑事ヨン・ブロンクスも、
子供時代に父親の家庭内暴力を経験しており、
ヨンの兄が父親を刺し殺したとして、死刑が確定している。
ところが、実際に手を下したのはヨンの方で、
幼かった為に記憶が飛んでいるのではないか、と思わされる書き方になっている。
兄は刑務所で弟のヨンの面会を拒むが、もしかしたら、
ヨンの記憶が蘇るのを危惧しての事かもしれない。
このエピソードを含めて続編が書かれるのかなぁ。

優れた福祉国家として、生活満足度では世界でトップクラスの北欧だけど、
現実は暴力や貧困といった闇がそこかしこに蔓延している。


レオ兄弟もヨン兄弟も、結び付きが濃い。
イヴァンは家族としてのまとまりを強調していたけど、
スウェーデンの歴史的背景にそうした国民性を培う要素があったのかな。


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