深夜、トイレの水が流れなくなった。

マンションに入居した当時の古いシンプルなタイプのトイレ。
水が流れない原因はすぐ分かった。
レバーと水のタンクの中の水栓を繋ぐチェーンが、何かの弾みで外れていた。
水流で浮き沈みする際に金具がズレたのかもしれない。

金具を水栓に繋げば済む。
でも、その為には水で一杯のタンクの中に手を突っ込まなければならない。
タンクの中には洗浄剤が入れてあって、水は真っ青な色をしている。
直に手を入れたら、青い色が手に付いてしまう。

戸棚を探ってゴム手袋を探すが、すぐには見当たらない。
あったとしても、ゴム手袋では長さが足りず、水が手袋の中に入ってしまう。

深夜、疲れているし、作業が面倒臭い。
朝になってからにしようかとも思ったけど、
朝のトイレ事情を考えると、グロテスクな光景が浮かぶ。
今やるしかない。

大きめのビニールゴミ袋を出して来て、それを手袋がわりにする。

ガッツリとタンクの中に手を入れて、水栓に金具を取り付ける。
完了。

大した事では無いようだけど、
家の手入れというのは何かと面倒で手間が掛かる。
こういう修繕作業って、普通男性がするもんだろう。

でも、自分でやる。

それが一人で生きるという事。