またまたいつものジェフリー・ディーヴァー作品。
どうしても手が出てしまう。
(ネタバレ有り。)
リンカーン・ライムシリーズ「ウォッチ・メイカー」に登場した
CBI捜査官キャサリン・ダンスの新シリーズ。
「ウォッチ・メイカー」をまだ読んでいないので どうしようか悩んだが、
それほどには差し障りなさそうだったんで読む事にした。
「ソウル・コレクター」では
ジェフリー・ディーヴァーと児玉清氏の対談が収録されていて、
本の帯には「児玉清氏が最も愛した作家」との宣伝文句まで付いている。
だもんで、私如き若輩があれこれ言えるもんでも無いのだけど...。
現在のアメリカの警察もののドラマを見ると、
昔ながらのオーソドックスな捜査ものも十分人気があるけれど、
特性をアピールするのに、大きく分けると
「CSI」に代表される科学捜査ものと、
「メンタリスト」「ライ・トゥー・ミー」等のプロファイルものとがあって
人気を2分している。
リンカーン・ライムシリーズは科学捜査もので、
キャサリン・ダンスシリーズはプロファイルものに分類される。
この、人気の2パターンをひとりの作家が同時にこなすというのが
また恐れ入るところ。
ライムシリーズがパターン化に陥りそうだったところを、
ダンスシリーズが上手く緩和したと言える。
ミステリー小説は、パソコンの普及で形態を変化させざるを得なくなった。
それまで犯人と刑事がそれぞれ知恵を絞って追いかけっこしていたのが、
パソコンのキーボード上で展開されるようになってしまって、
余程のパソコンおたくでない限り、楽しめないような設定になりつつあった。
科学捜査ものは、基本的には高度な機械による証拠の分類に拠るものだが、
「CSI」でもライムシリーズでも、分類された証拠品を辿る過程で、
犯人の人間性や生活背景に主眼を持って来ている。
お陰で、私のような、パソコン文化から取り残されたような人間でも
話を楽しむ事が出来る。
プロファイルものは更にアナログ心を満たしてくれる。
ダンスの手法は、尋問の際に犯人の言動を読み解く事で嘘をあぶり出す。
そういう点では、実際に目に見える形で視聴者に見せているTVドラマの
「ライ・トゥー・ミー」の方がわかり易くて説得力が有るように感じた。
捜査官が目で読み取った情報を直接視聴者の目に伝えるのだから
映像の方に明らかに利がある。
とは言え、ダンスシリーズの捜査の展開には目をみはるものがあり、
読者もその分析を味わえる。
また、高い知性の犯人との駆け引きにスピード感がある。
これは、ある意味、ミステリー小説の原点回帰ではなかろうか。
ライムシリーズでは、主人公のライムは男性だが、
現場で活躍するのは女性のアメリア。
ダンスは勿論女性で、犯人は男性だけど、周辺に鍵となる大勢の女性が登場する。
ジェフリー・ディーヴァーは女性の書き方が実に上手い。
小説として話をまとめる為に、やや優等生になる傾向はあるが、
女性の立ち位置の設定が魅力的。
推理小説とは、本来、暴力的な犯人に知恵で対抗するのが醍醐味なのだから、
体力的に劣る女性が危機をどう乗り越えて行くか、
そういう場面が面白くない訳が無い。
主犯格のペルに操られて同行するジェニーの切ない姿には
読み進めるうちに同情心が湧く。
警察に正体が知られて、ペルに始末されたかと思いきや、
ペルはまだ利用価値があると思っていたのか、或いは
いくらかなりと男女の愛情があったのか、愛情が必要だったのか、
殺害を偽装してジェニーを生かしておく。
同時に、ダンスの一家を襲撃する命令も下すのだが...。
家庭環境の影響から、粗暴な男性につい惹かれてしまうジェニーだったが、
最後は自ら踏みとどまる。
これを物足りないと感じる読者もいるかもしれないが、
私としては、ジェニーが自ら心の幸福を掴んでくれた事に安心したし、
読後感も良い。
決して安易な設定ではないと思う。
不明確なままの設定があって、ちょっと引きずっていたら、
池上冬樹氏の解説によると、それはやっぱり次回作への付箋だった。
困った。
今手元にその本は無いし、他の事をほったらかしに本ばかり読んでもいられない。
ライムシリーズ同様、何ヶ月後かの楽しみに取っておくしか無い。
それにしても、
取り付かれたようにジェフリー・ディーヴァー作品ばかり読んでいる。
下手したら、もうじき追いついてしまう。
新作を待つじれったさが目前に迫っているのか。
ついでながら書くと、
解説中、映画「ボーン・コレクター」は凡作との指摘がある。
以前、私も同様の事をブログに書いたと記憶している。
まぁね、これだけ長いストーリーを2時間弱でまとめるのに
無理があったんだろうけど、
ポイントを絞りきれてなかったんだろうね。
腹を据えて「キリング」みたいに連続ドラマの形でやると良いかも。
アメリア・サックスは映画よりもっと骨太の女性だ。
私悩んでます、のアンジーは勘弁だな。
デンゼル・ワシントンもちょっと違う。
ライムに比べて、マッチョさが目立ち過ぎる。
作中、カッコイイ黒人刑事が出て来るんで、そっちかと思ってたんだよなぁ。
それに、どの作品だったかで、ライムは白人であるとの設定が出ていた。
NYが舞台なんで、アフリカンアメリカンが活躍するのは
見応えが有って良いのだが。
どうしても手が出てしまう。
(ネタバレ有り。)
リンカーン・ライムシリーズ「ウォッチ・メイカー」に登場した
CBI捜査官キャサリン・ダンスの新シリーズ。
「ウォッチ・メイカー」をまだ読んでいないので どうしようか悩んだが、
それほどには差し障りなさそうだったんで読む事にした。
「ソウル・コレクター」では
ジェフリー・ディーヴァーと児玉清氏の対談が収録されていて、
本の帯には「児玉清氏が最も愛した作家」との宣伝文句まで付いている。
だもんで、私如き若輩があれこれ言えるもんでも無いのだけど...。
現在のアメリカの警察もののドラマを見ると、
昔ながらのオーソドックスな捜査ものも十分人気があるけれど、
特性をアピールするのに、大きく分けると
「CSI」に代表される科学捜査ものと、
「メンタリスト」「ライ・トゥー・ミー」等のプロファイルものとがあって
人気を2分している。
リンカーン・ライムシリーズは科学捜査もので、
キャサリン・ダンスシリーズはプロファイルものに分類される。
この、人気の2パターンをひとりの作家が同時にこなすというのが
また恐れ入るところ。
ライムシリーズがパターン化に陥りそうだったところを、
ダンスシリーズが上手く緩和したと言える。
ミステリー小説は、パソコンの普及で形態を変化させざるを得なくなった。
それまで犯人と刑事がそれぞれ知恵を絞って追いかけっこしていたのが、
パソコンのキーボード上で展開されるようになってしまって、
余程のパソコンおたくでない限り、楽しめないような設定になりつつあった。
科学捜査ものは、基本的には高度な機械による証拠の分類に拠るものだが、
「CSI」でもライムシリーズでも、分類された証拠品を辿る過程で、
犯人の人間性や生活背景に主眼を持って来ている。
お陰で、私のような、パソコン文化から取り残されたような人間でも
話を楽しむ事が出来る。
プロファイルものは更にアナログ心を満たしてくれる。
ダンスの手法は、尋問の際に犯人の言動を読み解く事で嘘をあぶり出す。
そういう点では、実際に目に見える形で視聴者に見せているTVドラマの
「ライ・トゥー・ミー」の方がわかり易くて説得力が有るように感じた。
捜査官が目で読み取った情報を直接視聴者の目に伝えるのだから
映像の方に明らかに利がある。
とは言え、ダンスシリーズの捜査の展開には目をみはるものがあり、
読者もその分析を味わえる。
また、高い知性の犯人との駆け引きにスピード感がある。
これは、ある意味、ミステリー小説の原点回帰ではなかろうか。
ライムシリーズでは、主人公のライムは男性だが、
現場で活躍するのは女性のアメリア。
ダンスは勿論女性で、犯人は男性だけど、周辺に鍵となる大勢の女性が登場する。
ジェフリー・ディーヴァーは女性の書き方が実に上手い。
小説として話をまとめる為に、やや優等生になる傾向はあるが、
女性の立ち位置の設定が魅力的。
推理小説とは、本来、暴力的な犯人に知恵で対抗するのが醍醐味なのだから、
体力的に劣る女性が危機をどう乗り越えて行くか、
そういう場面が面白くない訳が無い。
主犯格のペルに操られて同行するジェニーの切ない姿には
読み進めるうちに同情心が湧く。
警察に正体が知られて、ペルに始末されたかと思いきや、
ペルはまだ利用価値があると思っていたのか、或いは
いくらかなりと男女の愛情があったのか、愛情が必要だったのか、
殺害を偽装してジェニーを生かしておく。
同時に、ダンスの一家を襲撃する命令も下すのだが...。
家庭環境の影響から、粗暴な男性につい惹かれてしまうジェニーだったが、
最後は自ら踏みとどまる。
これを物足りないと感じる読者もいるかもしれないが、
私としては、ジェニーが自ら心の幸福を掴んでくれた事に安心したし、
読後感も良い。
決して安易な設定ではないと思う。
不明確なままの設定があって、ちょっと引きずっていたら、
池上冬樹氏の解説によると、それはやっぱり次回作への付箋だった。
困った。
今手元にその本は無いし、他の事をほったらかしに本ばかり読んでもいられない。
ライムシリーズ同様、何ヶ月後かの楽しみに取っておくしか無い。
それにしても、
取り付かれたようにジェフリー・ディーヴァー作品ばかり読んでいる。
下手したら、もうじき追いついてしまう。
新作を待つじれったさが目前に迫っているのか。
ついでながら書くと、
解説中、映画「ボーン・コレクター」は凡作との指摘がある。
以前、私も同様の事をブログに書いたと記憶している。
まぁね、これだけ長いストーリーを2時間弱でまとめるのに
無理があったんだろうけど、
ポイントを絞りきれてなかったんだろうね。
腹を据えて「キリング」みたいに連続ドラマの形でやると良いかも。
アメリア・サックスは映画よりもっと骨太の女性だ。
私悩んでます、のアンジーは勘弁だな。
デンゼル・ワシントンもちょっと違う。
ライムに比べて、マッチョさが目立ち過ぎる。
作中、カッコイイ黒人刑事が出て来るんで、そっちかと思ってたんだよなぁ。
それに、どの作品だったかで、ライムは白人であるとの設定が出ていた。
NYが舞台なんで、アフリカンアメリカンが活躍するのは
見応えが有って良いのだが。
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