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マンガ家Mの日常
以前書き進めていた時から、随分間がが空いてしまって、
忘れかけてる部分も多少あるのは否定出来ないけど、
有耶無耶のまま放置にしないよう、書き収める。


竹宮惠子先生と、マネージャーの増山氏のパトロネス的関係。
同世代で、唯一無二の類い稀な才能を見せつける萩尾望都先生への憧れ。
この2つが本の主軸で、この2人がいてこそ、竹宮ワールドは成り立った。

マンガは個人での制作作業なので、元々引きこもりで、交友関係が狭くなりがち。
そんな中にあって、増山氏のようなスタンスの人に出会い、
一定期間仕事のパートナーとして支え合えたのは、
特に少女マンガの世界では珍しい。

そして、萩尾望都先生。
20代前半から、大人びた感性で、独自の作品世界を築き上げた。
萩尾作品の魅力の真髄は、マンガを創作する立場であれば、
尚の事強く意識させられる。

竹宮先生や萩尾先生の作品に触れるようになった頃は、
週刊誌連載を持っていた竹宮先生の方がリードしているように思えていた。
その後、花の24年組が話題になって、彼女達の関係性も話に上ると、
作品の制作過程や人間関係の問題も少しずつ伝わるようになって来た。

ただ、今作でも書かれているように、萩尾先生は淡々と我が道を行くタイプで、
竹宮先生をライバル視していた感は薄い。
いや、もしかすると、萩尾先生が竹宮先生についてあまり口にしなかったのは、
逆に、強烈なライバル意識の表れなのかもしれない。
本人のみぞ知る。

とは言え、現実的に表立ってライバル心を見せていたのは竹宮先生の方で、
素直でストレートな表現が分かり易い。


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「8マン」「月光仮面」等、マンガ史に残る名作の作者、桑田二郎先生ご逝去。
ご冥福をお祈りします。

世代が離れているので、リアルタイムで作品を拝見してはいないけど、
「8マン」の絵柄にはお洒落な雰囲気を感じる。
タツノコプロの吉田竜夫先生と同様に、
当時のアメリカのキュートな文化を取り入れ、絵柄を洗練させたのだろう。

現在は、日本が世界のマンガを牽引している。
ただ、アニメの影響で画一的になったキャラクターの絵柄には、少し飽きを覚える。

土曜日の朝刊にて、
秋田書店最高顧問、秋田貞美氏、訃報に接する。
お悔やみを申し上げます。

1980〜2016年、社長職にあり、私の仕事中にも当たる。
面識は無い。

仕事をさせていただいた感謝もありながら、
同時に、雑誌の販売部数不振で、弱小マンガ家は厳しい環境に置かれた。
また、同族経営のワンマン体質、封建主義が編集部まで浸透しており、
女性マンガ家は特に低い立場を強いられた。

少しずつ、古い体質が改まって行けばと思うが、
同族経営なので、変化は期待し難い。

昨夜9時半頃、電話のベルが鳴り、見慣れない番号に一瞬おののく。
恐る恐る電話に出ると、ハーレクインの編集者でした。

「ウェディング・ナイト」が韓国でデジタル配信される事になり、
性表現の部分で画面に修正が入ったので、確認して欲しいとの話。

どうやら、事後承諾で、韓国側が既に変更した箇所については、
今からでは修正はさせて貰えないらしい。

そういう事って、配信する作品を選定する段階でとか、
事前に連絡があって然るべきと思うんだけど。

で、おそらく、現状では、マンガ家側に収益は殆ど見込めない。
「殆ど」って言ったらね、数万円とかじゃなくて、
数十円とか、限りなく0に近いか、0でも不思議ではない。

夜9時を回っていて、PC画面を観るのがシンドかったし、
収入にならない状況ではもはや仕事とも言えず、気力を奮い立たせるのが難しい。
編集さんの声も暗くて、変更箇所に不安があって、見るのが余計辛くなって、
とりあえず、今日まで待ってから画面を開く事にした。

変更は思っていた程には酷くはなく、まぁ、許容範囲。


とは言え、依然問題は残る。

文字通り、心血注いだ作品を一方的に変更されるのには、やはり納得いき難い。
作品の制作を担った日本側の出版社が、どうして主導権を取れないのか。

そして、マンガ家が収入を全く見込めない状況で、ビジネスと呼べるのか。
一般的な企業だったら、とっくに撤退しているんではなかろうか。
編集者の言う通り日本国内でハーレクインコミックが既に下降している状況では、
海外進出しても、先細りなだけではないだろうか。

本社のハーパー・コリンズは、出版社としては最大手なのに、
日本の出版社の戦略がまるで見えて来ない。

残念ながら、元のハーレクイン小説自体が、読み捨てのペーパーバックで、
小説としての出来が中途半端で、
それを自転車操業的に大量にコミック化して、
小説家もマンガ家も消耗が激しい。

編集者も...、放り出したマンガ家に、追い打ちをかけるような
悪条件の話を連絡しなけらばならなくて、面倒で、気まずくて、声も暗くなる。

海外進出は、喜ばしい事だった筈なのに。


フェイスブックの音楽情報関係サイトから友達リクエストをいただいた方の、
個人のページでの投稿。

若い頃に一時期マンガ家を目指していて、雑誌に応募したものの、落選。
完成させた応募作はそれ1作だったらしい。
基本情報を拝見すると、美術短期代を卒業、
現在はグラフィックデザイナーとしてお仕事をされているとの事。
当時の投稿作をアップし始めた。
それは良いんだけど...。

落選したものの、画力には自負があったそうで、
絵は大友克洋、ストーリーはクーンツのパクリと、自ら認識していながら、
「下手なプロよりは上手い」とご自身では思っていたと書かれていた。

これを書かれちゃ、プロは引っかかる。

フェイスブックの画面で見る限り、デッサン力があり、仕上げも申し分ない。
それなりの画力は認められても良い。

でも、プロとは違うだろ。

徹底的に叩きのめしてやりたい気持ちも湧いたが、そこは抑えた。


器用に仕上げが出来るのと、商業誌のプロ作家とはまるで違う。
自信たっぷりの画力も、商業誌ペースでキープ出来るのか?
それより、表情に乏しく個性の無いキャラクターは、青年誌では当然弾かれる。
60ページ中2ページアップされただけなので、ストーリー展開は分からないけど、
コマの流れと画面取りのまずさから、アクションの状況が見え難い。
大体、当時は大友克洋先生のモノマネは掃いて捨てる程いただろう。

デビューの関門を越えられず、商業誌での実績も無い立場で、
プロ作家を愚弄するのはあり得ない。

これ以上は見るのも嫌だったので、フォローを外した。