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マンガ家Mの日常
午後、固定電話のベルが鳴り、知らない番号がディスプレイに表示された。
銀行さんではないし、先週来のエアコン掃除とも違う。
警戒しつつ電話に出ると、ハーレクインの編集T氏からでした。
ずっと前に1度お目にかかった記憶はあるけど、もうおぼろげ。

「華麗なる賭」がインドネシアでデジタル配信される事になって、
現地エージェントから、修正の要望があったとの事。
女性の胸の谷間が見える画面とかに特に厳しいとか。
念の為、修正されたものをFAXで送信してもらった。

「華麗なる賭」はラスベガスのカジノが舞台の作品なので、
女性には特にセクシーなドレスを着せた。
その胸元がカバーされたり、インナーを着ているようになったりしている。

本来ならば、そうした修正は自分でしたい。

長期間部屋に引き篭もり、デスクワークで全身筋肉痛に悩まされ、
原稿料の大半をアシスタント代に注ぎ込み、
睡眠時間を削りに削って、仕上げた作品。
デジタル処理が前提となってからは、
仮に雑誌からのコミックス発行でも、
画面を修正させてもらえなくなっていたので、
細部の処理にも細心の注意を払わねばならなくて、
仕上げの工程が特にキツかった。

その原稿に他人が手を入れる事には、抵抗を感じるのは当然。

でも、結局は、経費の問題やらが立ちはだかる。

インドネシアでの配信においての修正なので、
インドネシアの慣習に従う。
修正箇所が多いと、現実的にはその作品自体を取りやめるのが殆どだそうで、
今回、多数修正してでも配信したいという、
現地エージェントの意向を、好意的に受けとめる。

手元に届いたFAXを見ると、
フキダシには既にインドネシアの言葉が入力されている。
英語ですらボチボチなので、インドネシアの言葉は全く分からない。
セリフがどのようなニュアンスで翻訳されているか分かりようが無いので、
そう考えれば、
最終判断は現地エージェントに委ねるしかない。


自分の過去の作品を見返す事は、普段はほぼしない。
単発の作品では、見返す必要も無いので。

仕事の手順としてとは言え、不意な事で、
見返すと、色々感慨深い。
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