一晩経ったところで、新しい情報は何も出て来ない。
まぁね、事件の内容自体がケチ臭いものだから。
ネットでも出ていたけど、どういう経緯で発覚したのか、調べがついたのか、
そこんとこ知りたいよね。
あと、行政処分って、どういう処罰が下されるのか?
秋田書店では以前お仕事をさせていただいた義理もあるけど、
最終的には、ある編集者の不適切な行動が原因で、そのとばっちりで
私個人が仕事させてもらえなくなった。追い出された形。
だもんで、かつての「義理」の気持ちは雲散霧消。
それでも、とりあえずこの場では、一般的情報から書く。
出版不況が続く中、秋田書店も売り上げは落ちていると思われる。
元々単行本を売るのが下手だったから、それでは落ちる一方。
伝聞だけど、町の本屋さんの話では、秋田書店は営業に来ない、と。
それではどうしてるかって言うと、
長年続くヒット作頼み。
「プリンセス」でも、「王家の紋章」のようなロングセラーを
いくつか保持していて、広告等でも、そうした作品ばかりに力を注いでいる。
他の中堅、若手を売ろう、育てようと言う考えは全く無い。
そりゃね、伸びないマンガ家にも原因はあるだろうけど。
マンガの原稿料も年を重ねるに従って少しはアップされる。
で、雑誌としては経費を押さえる為に、
原稿料が上がって来た中堅どころを切って、安く使える新人の作品を載せる。
看板を張る、大ヒット作を出す、
と言った事が出来ずにいる中堅にも責任はあるが、
単純に作品のレベルで言えば、やはり新人よりは良い物を描いている。
でも、切られる。
編集部サイドの見方は、雑誌が売れてるのは上位2、3作品の人気だから、
それらが残っていれば、後はあまり関係無い、と言ったところ。
どうなんだろうね。
現状、そうしたロングセラーと過去の名作コミックスの再販でしのいでいる。
確かにそれもひとつの稼ぎ方なんだけど、
はっきり言って、それじゃあ未来は無い。
そこに持って来て今回の事件発覚、行政処分となれば、
かなりなダメージは避けられない。
少女誌、女性誌のいくつかは廃刊になるのではなかろうか。
経営者サイドは、案外、厄介払い出来て良かったくらいに考えてるかも?
実力のあるマンガ家は他に移って仕事出来るけど、
そんなのはごくごく一部で、大半は失業となる。
正直、早い段階で秋田書店の仕事を離れていてラッキーだった、と今は思える。
マンガの仕事はフリーランスが前提だけど、
会社員同様、会社を移るのって容易な事では無い。
出版不況で待遇は下がるだろうし、それまでの雑誌で人気があっても、
雑誌を移ると、テイストも読者も変わるので、
人気が取れないケースもままあるのだ。
また、まったくの新人だったら、気持ちを切り替えて
別の雑誌に投稿し直すのもありだろうけど、
ある程度の中堅になると、評価が定まってしまっていて、
プラス方向で受け入れてもらえないことの方が多い。
ましてや、潰れた雑誌で描いていた中堅を何処が欲しがるだろう。
中堅もゼロからスタートする覚悟でいなければならない。
でも、今まで通りの経費が使えなくなる訳で、
仕事の回転はやっぱり相当苦しくなる。それに堪えられるかどうか。
暫くは今後の成り行きを静観。
でも、やはり、ここに至ったのは、
会社運営の観念がズレていた、と言うしか無い。