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マンガ家Mの日常
ネットニュースで続報を読むと、
大坂なおみ選手が抗議の為に大会を棄権したという最初の報道には、
誤解があるようだった。

大坂なおみ本人による説明を見ると、
NBAを見ていたら、抗議行動として試合中止になっていて、
テニス界でも何らかの意思表示をすべきだと思い、
まずマネージャーに相談し、それからテニス協会に話を通し、
テニス協会と他の選手の同意の下で、試合の1日延期を決定した、との事。

大坂なおみが独断で抗議行動を起こしたわけではなかった。
マスコミは、もっと慎重に報道して欲しい。


ただ、何度も言うように、個人的には、
こうした抗議行動にはあまり効果があるようには思っていない。
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大坂なおみ選手、好調を維持してストレートで準々決勝を勝ち上がり、
準決勝に駒を進めた。
女王セリーナ・ウィリアムズもまだ残っているが、
大腿部の故障が悪化しなければ、大坂なおみの優勝は見えて来たと言える。


対岸の火事で、日本ではBLMについての報道は、もうほぼ見られない。
それよりも、コロナや自民党総裁選等、直接生活に関わる問題が沢山あるので。

アメリカでは、一過性の騒ぎで済む問題では無い。
今回のデモ等々で、解消できる問題でも無い。

前回書いたように、デモは、一定のインパクトは認められるが、
解決策としての効力は低い。
一旦治ると、問題は解消される事なく、再開、継続される。

デモの本質は何なのか。
抗議の意義はどこにあるのか。

単なるストレス解消のお祭り騒ぎ、著名人の売名と言われないようにする為にも、
主目的、獲得目標をはっきりさせ、
そこに到達するまでの経緯を明確にする必要がある。


最終的な到達点は、当然、真の平等。


様々な差別が存在するけれど、
この場では、とりあえず、黒人への差別に限定して考える。

全米オープン、ジョコビッチが違反でまさかの敗退。
雑に打ち出したボールが線審に当たり、危険行為とみなされた。
故意ではなかったのが分かるだけに残念だけど、仕方ない。
選手全体のマナーの向上が求められる。


大坂なおみは好調を維持している。
準備した7枚のBLMマスクを使い切る為にも、決勝まで進出しなければならない。


競技によっては、大会の中で政治的メッセージを提示するのを禁じている。
それもちょっとナンセンスかなとも思うけど。


アメリカでは、様々な形でデモを行う。
デモがそれぞれの地域に根付いている。

日本では、60年代の安保闘争の頃の学生でもは凄かったけど、
その後は沈静化の一途。
学生団体のシールズのデモが一時期話題になったけど、
シールズはあっという間に解散し
(初代の代表者が降りただけで、組織はまだ残ってるのかな?)、
TVニュースで姿を見る事も無くなった。

アメリカでも、日本でも、
デモは瞬間的に一定の効果をもたらすが、効果は持続しない。
それが、私がデモはあまり意味が無いと思う理由。


「町山智浩のアメリカの今を知るTV」で、アメリカ大統領選挙の話の中で、
大坂なおみ選手の試合ボイコットについて触れられていた。
町山さんは「全米オープン準決勝」だと言っていたが、
正しくは、その前哨戦の「サザン&ウエスタンオープン準決勝」で、
今年に限ってはコロナ感染対策で、選手の移動の負担軽減の為に、
全米オープンと同じ会場で開催された。
町山さん、テニスは詳しくないんだね。

ついでに言うと、もし全米オープンだったら、
大坂なおみであれ誰であれ、準決勝をボイコットはしなかっただろう。
グランドスラム大会の価値は選手が一番よく知っている。

褐色の肌で、アメリカで暮らす大坂なおみと、日本で暮らす日本人とでは、
人種差別の問題に対する意識に開きがあるのは確かで、私を含め、
試合のボイコットに違和感を覚えた人は少なからずいた。
単純に言ってしまうならば、人種差別反対の意思表明で職場放棄したのだから。

アメリカの有名スポーツ選手においては、
試合のボイコットという手段が、抗議の形として定着しているのかもしれない。
町山さんの解説によれば、今回の大坂なおみのボイコットで、
テニス協会も動いたとの事。
大坂なおみは全米オープンに入ってからも、抗議の黒いマスクを着用しており、
マスクには、最近の黒人被害者の名前が記されている。


部外者の身では、プロテニス界内部の人種差別の状況を知る由はない。

かつては、アーサー・アッシュ、ヤニック・ノアといったチャンピオンがおり、
現在ではウィリアムズ姉妹を始め、多くの黒人選手が活躍している。
アッシュの時代はもっと厳しかったと推察されるが、
時代の流れの中で、少しずつ差別撤廃の方向へ舵取りがなされたと思われる。

サッカーや野球のように、限定された地域でリーグ戦が行われる競技と違って、
プロテニスツアーは世界中から選手が移動して大会に参加しており、
どの大会も常にオリンピック状態で、様々な人種の選手がいる。
それは、人種に対しての見識を深めるのに功を奏しているのではなかろうか。

ウィスコンシンでの事件に抗議して、
大坂なおみ選手が準決勝をボイコットしていた件。
一転して、1日延期の後、出場となった。

どうしても少し違和感が残る。
コロナ禍で無観客だったのは不幸中の幸いだったかもしれないが、
現地ではTV中継があったかもしれないし、
相手選手やスタッフ、スポンサー、大会主催者に対して、礼儀を欠いてはいないか。
抗議を向ける方向、対象が違っているように感じる。

大会主催者側には何の非も無い。
逆に、大坂なおみは何らかの処分を課されても仕方ない。
でも、今回のようなデリケートな状況下では、
大会主催者側が対応を誤れば、批判が殺到するのは間違いない。
大坂なおみに賛同する形で、大会を1日延期したのは、英断だった。


果たして、自分が大坂なおみの立場だったら、どうしただろうか。
大坂なおみを批判するのも容易いけど、誰にとっても、深く考える責任はある。