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マンガ家Mの日常
世紀の二枚目俳優、アラン・ドロン、逝去。
88歳。

美男俳優は数多あれど、
アラン・ドロンを超える美貌は無い。

存在そのものが「映画」だった。
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英国の医療ドラマのミニシリーズ、全6話。
シーズンは続かないのかな?


マンチェスターの総合病院の女性医師達。
それぞれ育休明けで、コロナ禍明けで混乱した病院に戻る。

小児科医マリアム/
心労の蓄積で自信を失いかけている。
不妊で、養子を育てており、
母親がたまに育児を手伝ってくれるが、積極的ではない。
夫は、現在の養子の弟妹に当たる子供を養子に迎えたがっているが、
マリアムは今以上の子育ての負担は無理だと感じている。
職場復帰の日、若手の石との意思の疎通の不備で、患者を亡くし、
審査を受けている。
(マリアムを演じているのはパーミンダ・ナーグラ。
 同じインド系のアーチー・パンジャミと混同していた。)

外科医キャサリン/
スウェーデン人医師との不倫でできた子供を育てている。
夫婦は子供を引き取りたがっていて、
指導医のポジションを目指すキャサリンの為にもなると言っているが、
子供を手放す事には躊躇いがある。
外科医としての優秀な腕前を示すが、
ポジションは同僚男性に取られてしまった。

内科医ヘレン/
ヘレンが多忙で、同僚医師でもある夫は寂しさから浮気をする。
問い質すと、アルコールに依存するようになり、仕事に支障が出る。
病院に報告すると、夫は自殺を図り、かろうじて一命を取り留める。


各自、仕事と家庭の両立でボロボロ。
3人の子育てをしながら、仕事にも恋愛にも積極的な
「グレイズ・アナトミー」のメレディスとは違って、
いくらか現実味がある。

国も世代も違うけど、
やはり、母と比べて見てしまう。
ウチの場合は、私が小学生の時までは祖母が同居していたので、
その分、母は仕事に邁進出来ただろう。
それでも、もっと昇進を目指せる状況ではなかったのかな。
女性がキャリアを積むのは困難が伴うばかり。

ドラマは概ね落ち着くところに行き着いて完了。

スウェーデンのサスペンスドラマのミニシリーズ、全6話


検事候補生ヤナは移民庁トップのハンスが殺害された事件の捜査に加わる。
ヤナは幼い頃、東欧からの集団密入国でスウェーデンに来た過去があり、
ハンスはヤナを保護して、養子縁組を執り行った経緯があった。
監視カメラに写った、犯人の画像は、奇妙な仮面を着けた少年だった。
間も無く、その少年は遺体で発見される。
少年の首の後ろに焼印のようなものがあり、
それはヤナの首の後ろにもある焼印と似ていた。

ヤナは少しずつ自分の過去を思い出し始める。
養父母に引き取られた時、カウンセラーによって、記憶を処理されていた。
引退したカウンセラーに話を聞きに行くが、そのカウンセラーも殺されかける。
ハンスがヤナに身元調査を求めていた少女ヴィクトリアは、施設から姿を消す。

ハンスが残したメモの数字が、港のコンテナの番号だと判明する。
ヤナの妹のヨッヨが検索すると、それらは過去に紛失したコンテナの番号で、
27年前、船が海にコンテナを捨てた現場を見た人物に辿り着いた。
ヤナがコンテナ引き上げを強行すると、中から12人の遺骨が発見された。
それらは、東欧からの密入国者家族で、ブローカーによって殺害されていた。
コンテナの取り扱い業者を取り調べるが、移動の際に殺害される。

ヤナの過去を知る青年ダニーロが現れ、危険が迫っている事を知らせ、
一緒に海外へ逃亡しようと告げるが、ヤナは調査を続ける。
ハンスが残した手がかりと、自分自身の記憶を辿って、近くの小さな島に渡る。
そこではとある老人が、ヤナのような密入国者の生き残りの子供達を集めて、
私兵のような訓練を施していた。
幼い頃、家族と共に密入国して、コンテナごと海中に投棄されたが、
ヤナ1人だけ、コンテナの裂け目から抜け出し、生き延びた。
ブローカーの男から老人に引き渡され、島で訓練を受けさせられていた。
そこでダニーロと出会い、親しくなった。
ヤナとダニーロは島を抜け出したが、それは老人が定めた掟に反する行為で、
厳しく罰せられ、場合によっては殺害される。
ヤナは捕らえられ、ヤナを騙していたダニーロと決闘させられる。
勝ち抜いたヤナはヴィクトリアを連れて島を脱出しようとすると、
老人に腹部を撃たれる。
駆けつけた警察に無事救助され、島は捜索されて、子供達は保護される。


北欧ミステリーで、東欧からの密入国者を題材にした作品はよく見かける。
現実の社会問題となっているのだろうか。

ヤナのキャラクターがクールでカッコイイ。
事件によって過去の記憶が蘇り、封印されていた武術の技を突然解放させ、
男達をなぎ倒すのも小気味が良い。

密入国で殺されかけた極限状態の子供達が、
私兵として訓練されていたという設定は興味深いけれど、
今作の中で、その子供達がどう扱われるのかが描かれておらず、消化不良。
アメリカのドラマだったら、例えば、子供達が要人殺害に利用されるとか、
何らかの展開があると思うのだけど、
老人は子供達を訓練して、それからどうしようとしていたのか?
原作の小説があるようなので、
そっちにはもっとちゃんと顛末が記されているのかな。

厳格な元検事正の養父、認知症を発症しつつある養母、
ドラッグ依存症になりかけていた妹ヨッヨ、等、
ヤナの家族の設定も面白いのだけど、
ドラマの時間があまり長くなかったせいか、描き方がやや物足りないかも。
ダニーロとの過去や、同僚検事との微妙な恋愛関係も
もうちょっと見せて欲しかったかな。
ヤナを疎ましく思って、功を焦って暴走する
女性警察官のキャラクターも、なかなか面白かった。



パリ五輪開催からの、WOWOWのフランス映画特集。
フランソワ・オゾン監督の最新作。


1930年代のフランス。
売れない若手女優マドレーヌは、
大物映画プロデューサーのモンフェランの邸宅から逃げ出す。
その後、モンフェランの射殺体が居間で発見され、マドレーヌが逮捕される。
マドレーヌは、映画出演を餌にモンフェランに迫られ、逃げ出した。
しかし、自宅アパートから犯行に使われたのと同口径の銃が見つかり、
容疑者と見なされた。
マドレーヌと部屋をシェアしている若手弁護士ポーリーヌが弁護に着く。

実際はマドレーヌは犯人ではなかったが、
モンフェランに迫られ、恋人アンドレの為に貞操を守るべく戦ったとして、
ポーリーヌは、裁判は有利に動くと判断し、2人で相談して、
敢えて犯行を認め、有名になる道を選択した。
予想通り、ポーリーヌは無罪を勝ち取り、
2人共有名になり、一気に仕事が増えて、裕福になって万々歳。

ところが、有名になった2人を見て、落ち目のベテラン女優オデットが、
自分が本当の犯人で、自分の犯罪を返せと強請って来た。
ポーリーヌ達は判事とも話し合うが、すでに決着した裁判はやり直せない。

マドレーヌのファンで資産家のパルマレードは、モンフェランの死によって、
モンフェランから購入した別荘の代金の残金750万フランを
支払わなくて済んだ事もあって、
ポーリーヌからの提案で、アンドレの父親の会社への投資を引き受ける。
投資できを良くした父親は、
それまで反対していた、息子とマドレーヌとの結婚に賛成し、
オデットからの強請りの金30万フランも支払った。

全て丸く収まり、
マドレーヌとオデットは事件を題材にした舞台劇で大成功を収める。


オゾン監督は、「2重螺旋の恋人」のような、
重い心理描写の作品が主時期だと思っていたので、
今作のような軽妙なタッチはやや意外。
女優が犯罪を糧に有名になるという設定は「シカゴ」を想起させたが、
今作では、後半に展開が変わる。
オデット役にイザベル・ユペールを使う贅沢さで、
後半はイザベル・ユペールの存在感が目立つ。
展開がバラける感じなので、どうなのかなと思うけど、
まぁ、楽しいから良いか。

かなりテキトーな捜査と裁判で、何とも言えないけど、
そういうのも含めて可愛い印象の映画。
でも、オゾン監督には、やっぱり重めの心理劇を期待しちゃうかな。

随分前に録画して、観る時間の余裕が無くて、ディスクにダビングしていた。
で、今月のフランス映画特集で再放送されたので、録画して観た。
HDの方が途中で止めて、後日続きを観るとかし易いから。

フランソワ・オゾン監督のサイコミステリー映画。
今回の特集で「私がやりました」を先に観たんだけど、
イメージとしてはこっちの方がオゾン監督っぽい。


腹部に違和感を覚えたクロエは婦人科で診療を受けるが、
医師からは精神的なものと言われ、精神分析医ポールを紹介される。
ポールの元に通ううちに親しくなり、恋人関係になり、同棲を始める。

腹痛も収まり、同棲生活は順調だったが、
ある日バスで移動中に、ポールが、いる筈のない場所で
女性と親しげに話しているところを見かける。
後日その場所を訪れると、ハイソな雰囲気の精神分析医クリニックで、
ポールと見まごう分析医ルイがいた。
クロエは2人の関係を調べる為に、患者を装ってルイの元に通うが、
強引なルイの誘惑に負けて、身体の関係を持つようになる。
温厚で誠実なポールと、傲慢で刺激的なルイとの間で心を乱される。

ルイはポールの双子の兄だった。
幼い頃から両親に可愛がられていたポールにルイは嫉妬して、
学生時代、正体を偽ってポールの恋人サンドラをレイプして奪った。
ショックを受けたサンドラは体調を崩し、以後寝たきりになってしまった。

ポールからプロポーズされ、妊娠したクロエはルイと決別しようとするが、
ルイに強引に引き止められ、ルイを銃で撃つ。

精神的に不安定になったクロエは再び腹部に激しい痛みを感じると、
腹部からクロエの共食い双子の身体の残骸が取り出される。

...と、

ここまでの展開が、実はクロエの妄想だった...と思われる。

母親から遠避けられたクロエのトラウマによる。


えっと、
終盤はもうよくわかりません。
ネットで他の方々のブログ等を見ると、
ポールとルイは双子ではなかった、云々、色々あって、
やっぱり、ほぼ全編クロエの妄想で、
どこからどこまでが妄想なのか、事実なのか、区別のつけようが無い。

展開や結末がどうとかっていう事では無く、
双子という状況を、性的な衝動と絡めて、
イマジネーションを膨らませた作品なのかな。

ポールとルイの関係性って、萩尾望都先生の「アロイス」みたいで、
共食い双子は手塚治虫先生の「ブラック・ジャック」のピノコ。
多分、共食い双子に世界で一番精通しているのは、日本人だね。
バニシングツインと言うらしい。
そうした生態についてはまだ解明されていないんだって。

主演のマリー・ヴァクトはモデル出身。
今作の甘美で冷徹なイメージを体現している。

でも、クロエって、女性には嫌われるタイプだろうな。