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マンガ家Mの日常
寝苦しい夏の夜。
深夜過ぎに目が覚めてしまったので、映画を観る。


1937年、ナチスドイツがオーストリア併合を目前としている時期。
オーストリアの辺鄙な山村で生まれ育った純朴な青年フランツ。
17歳のある日、母が援助を受けている愛人が湖で雷に打たれて死亡。
経済的に苦しくなり、
母はフランツをウィーンの知人オットーの元へ働きに行かせる。
(オットーは若い頃の恋人だったのか、もしかするとフランツの父親かも?)
フランツはオットーのタバコ屋で見習いとして真面目に働く。

街の小さなお祭りで出会ったキュートなチェコ人女性アネシュカに恋をするが、
サッサと逃げられる。
フランツはタバコ屋の常連フロイド教授に様々な相談を持ちかけると、
枕元にノートを置いて、夢で見た事を書きつけるよう言われる。

アネシュカはフランツに好意を寄せ、一夜を共にするが、
戦時下の苦しい生活の中、クラブでストリッパーとして働き、
ドイツ人将校の愛人である事を優先させる。

ナチスの支配下に落ちたオーストリアでは、ナチズムが蔓延する。
反抗する市民は徹底して攻撃され、オットーも逮捕され、獄中で命を落とす。
フランツはナチスが占拠する市庁舎で、ナチスの旗を降ろして、
半旗の代わりにオットーの遺品のズボンを掲げる。
直後にゲシュタポが来て、フランツを逮捕する。


物語に大きな展開は無く、淡々と流れるので、やや退屈に感じる瞬間はあるが、
まさにそれが、17歳のフランツの等身大の姿を描いている。
フランツは時折ヒーロー然とした自分の姿を夢想するが、大抵は何も出来ない。
しかし、最後には、オットーを密告し、死を招いた肉屋の店主を殴る。
ズボンの半旗も、逮捕を覚悟の上での行動。
市井に生きる、実直な青年の生き方に、しみじみとした情感が見られる。

地元のホテルで働く母親は、マネージャーのセクハラを受け入れずに退職。
その後の生活はどうなるのか?
アネシュカはタバコ屋を訪れて、フランツが逮捕されたらしい事に気付く。
フランツはその後どうなったのか?
色々何もわからないまま、映画は幕を閉じる。
時代背景を考えると、3人とも悲惨な状況が待っていると思えるが、
厳しい状況をくぐり抜けて、戦後の平和な暮らしにたどり着いたと願いたい。

原作のタイトルは「キオスク」だそうで、
その方が、人々の人生の交流地点である事を感じさせる。
邦題は、どうも、お茶目な恋愛映画みたい。
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