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マンガ家Mの日常
美女エマニュエル・ベアールがSM女王様になるというので、
フランスのエスプリの効いたセクシーコメディかと思いきや、
オーストラリアのシリアスなドラマでした。
ちょっと残念。


16歳の高校生チャーリーは自宅のガレージで
大学教授の父親の首吊り自殺死体に遭遇してしまう。
遺書も無く自殺の真相は不明だが、チャーリーは母親の不倫が原因とみて
母親を恨む。

最近引っ越して来たらしい熟年美女マギーが気になって、公園で声をかける。
相手にもされなかったが、自宅まで後をつけると、荒れた邸宅内の1室で、
マギーは客の男性とSMプレイをしていた。
近づかないようクギを刺されるが、チャーリーは庭師のバイトとして押しかける。
次第に気持ちが通じ合い、マギーはSMプレイを指南する。

マギーは以前は数学の教師だったが、些細な事から薬物にハマり、
幼い息子の世話を怠り、交通事故で大怪我をさせてしまった。
現在は更生し、息子の親権を取り戻すよう努めている。

チャーリーは母親とは険悪な状態が続いていたが、
家族関係の複雑さを理解し、打ち解け合う。

マギーは最後に1度だけチャーリーに身体を与えて、関係を絶ち、
SM女王様の仕事も辞める。

同級生とともに普通の学生生活に戻ったチャーリーは
最初に声をかけた公園で、マギーが息子と楽しそうに遊んでいるのを見る。


プロデューサーとしてはおそらく、
エマニュエル・ベアールにSM女王様をやらせようと思い立った時点で
その発想にワクワクしたんだろうけど、
イマイチ焦点が定まってなくて、テーマが不発の感がある。
SMプレイに興じる両者共、自分を罰しているような雰囲気は感じられたのだけど、
切り込みが浅くて共感するまでには至らなかった。
オーストラリアの制度は分からないけど、
レイティングとか気にして表現を抑えめにして鈍くなったのかな。
それでも、脚本でもっと何とか出来たんじゃないかと思う。

コルセットでウエストをキツく絞って強調された身体のラインがドラマチック。

チャーリーはお酒を飲んだりタバコを吸ったりしてはいるものの、
遊ぶにしても公園だったり空き地の廃車だったり、移動は自転車だし、で
まだまだ幼くて、反抗的な雰囲気は全く感じられない。
元々父親思いで母親の不倫に傷ついてるくらいだからね。

まぁね、コンセプトは10代の少年の瑞々しい青春映画なのかもしれないけど、
それも中途半端な感じなんで、
薬物中毒で息子の親権を失ったマギーが何故SM女王様になったのか、
その葛藤を描いた方が興味深かったんじゃないかな。

ぼんやり見ていると、
チャーリーの母親は夫亡き後、家計はどうやって支えるんだろうかとか、
SM女王様を辞めたマギーは次の仕事はどうするんだろうかとか、
余計な事を考えてしまう。
観客に意識をそらす隙を与えてしまっちゃダメだね。


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