忍者ブログ
マンガ家Mの日常
ヴィム・ヴェンダース監督の映画を久しぶりに見る。

80〜90年代にかけてはややアメリカ寄りのメジャーな傾向の作品で、
一般の映画ファンにも注目されたけど、
こだわりの強さのせいなのか、その後は日本に届く作品数が減ってしまった。
今作は、ジェームズ・フランコ、レイチェル・マクアダムズといった
ハリウッドスターを主役に据えている点で、メジャーにやや押し戻した感がある。


小説家トマスはスランプに陥り、妻とも不和が生じていた。
気分転換で湖に釣りに来た帰途、そり遊びで不意に飛び出して来た子供と接触。
男の子は無事だったと一度は安堵したが、
一緒にいた幼い弟を轢き殺してしまっていた。
避けられない不慮の事故として罪に問われる事は無かったが、
トマスは精神的に酷く落ち込んで、酒浸りになり、妻とも離婚。

辛い時期を乗り越え、執筆に邁進し、
事故以前の作品を凌駕する小説を書けるまでに成長。
その後は順調に作家活動を続け、新しい恋人とも出会う。

子供を死なせた記憶から逃れられる事は無く、
気持ちを抑えきれずに、子供の母親ケイトの家を訪ねてしまう。
ケイトは残された長男クリストファーとともに、ひっそりと暮らしていた。
二人それぞれ罪の意識に苛まれながらも、会うのはこれで最後にする。

事故からの11年後、クリストファーがトマスに会いに来る。
拒絶されたと感じたクリストファーは、トマスの家に忍び込み嫌がらせをするが、
心の重荷を下ろすようにわだかまりを解き、和解する。
ケイトもまた、クリストファーの大学進学を機に、未練を断ち切り、
子供達と過ごした自宅から離れる。


不慮の事故に苦しむ人々の再生を描いた作品。
気持ちは分かるけど、映画がエンターテインメントである以上、
もう少し興味を持てる要素を入れてくれなければ、と思う。
邦題の「誰のせいでもない」も、
原題の「Every Thing Will Be Fine」も、どっちも微妙な感じ。
確かにね、誰も何もどうする事も出来ないわけで、
いずれどこかの段階で吹っ切るしかない。

映像が美しい。
と言うよりも、ジェームズ・フランコを捉えた映像が美しい。
ベラスケスが美男子を描いたらこうなると思える姿。
光の加減だけでなく、色彩とか、映像の粒子とか、技術的な事は分からないけど、
ジェームズ・フランコの美貌を美しく撮る事に徹底している。






PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック