ネタバレ注意注意注意。
主人公サーガのパーソナリティ障害が事件と直接関与する事は無いけど、
物語に深みを与えている。
まぁ、とにかく、ぶっきらぼうで理詰めで動く。
橋の上で死体が見つかって橋を封鎖した際、
心臓移植の患者を運ぶ救急車が立ち往生しても、規則を盾に通そうとしない。
飽きれたマーティンが通行許可を出す。
この浮気性絶倫オヤジマーティンは浮気性な分人情味が深くて
それまで署内で何となく敬遠されていたサーガに対して
人との関わり方について積極的に語り掛ける。
サーガのパーソナリティ障害の様子に
萩尾望都先生の名作「A-A'」を思い出す。
他者の感情を理解出来ないというのは問題ではあるんだろうけど、
感情に流されない様が時には小気味良くも感じられる。
好意や善意も見え難いけど、悪意やゴマカシ、駆け引きも無い。
そういうサーガの本質を理解し、目をかけている署長ハンスが
個人的な理由から移動を決めて今の部署を離れる事になった際、
サーガに気遣いの言葉をかけると、サーガは少し遅れて涙を流す。
目には見え難くても、日々の仕事の中で互いを理解し合えていた。
また、マーティンの努力の甲斐あって、サーガも人との交流の仕方を学ぶ。
ラスト、犯人のイェンスとマーティンが橋の上で対峙する。
イェンスはマーティンの長男を誘拐して脅している。
そこへサーガが到着し、長男を発見した事を伝える。
既に自暴自棄になっているマーティンはもう何をするかわからない。
マーティンを救う為、サーガは長男救出を知らせたのだが、
マーティンは長男が既に死亡している事をサーガが隠しているのに気付く。
他の人であれば、長男は助かったと嘘を付いてその場をやり過ごすのだろうけど、
サーガは良い嘘の意味を理解しつつも、あと一歩のところで口に出来ない。
ふたりのやるせなさが胸に迫る。
Wikiによるとこれはシーズン1となっていて、と言う事はシーズン2もあるのかな。
でも、この話の作りでどうやってシリーズを続けていくんだろう?
「キリング」のシーズン1が傑作で、シーズン2、3もそれなりに良かったけど、
どうしてもシーズン1の衝撃は越えられない。
シーズン3までで終わりにするようで、それくらいが妥当な締めなのかな。
「ブリッジ」もキャラクターの強さ、話の膨らみ等、本格派の作りで素晴らしかった。
個人的に少し思うのは、
犯人がもう少し早めに姿を表してくれた方が良かったかな。
そこからの駆け引きに、より緊迫感が生まれると思うから。
英国やアメリカでのミステリー小説や映画ドラマが依然強いのは確かなんだけど、
北欧ものが本格派の凄みを表して来ている。
反米的なプライドもあるんだろうか。
読者、視聴者としては大歓迎だよ。
サーガ、頑張ってね!
(おしまい。)