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マンガ家Mの日常
録画したまま、暫く放ったらかしだったので、予備知識は無かった。
ウディ・アレンの作品だったのね。

原題は「Irrational Man」で、直訳すると「不合理な男」。
主人公が哲学の教授だという事に因んでいる。


哲学の教授エイブは生きる意味を見失い、自殺願望に陥っていた。
赴任して来た大学で、ジルという魅力的な女子学生に出会う。
エイブは同僚の教授リタと不倫しながら、ジルとデートを重ねる。
ジルは恋人ロイがいながらも、エイブの不思議な魅力の虜になるが、
ジルから迫ってもエイブは頑なに一線を越えようとしない。

ある時、エイブとジルはダイナーでスパングリー判事に関する酷い話を耳にする。
エイブは被害者の女性の為に判事を殺害する事に、生きる目的を見出す。
全く無関係の自分であれば、判事を殺害しても疑われないし、
女性や他の被害者を助ける事が出来る。

エイブはリタから化学室の鍵を盗み、青酸カリを持ち出す。
判事がジョギングの後に公園で飲むジュースを青酸カリ入りとすり替え、殺害。

事件の捜査は進展せず、別の男性が犯人として逮捕されてしまう。
リタはエイブが鍵を盗んだ事に気がついていて、犯人の可能性を疑うが、
離婚も辞さない程エイブを愛していて、スペインへ駆け落ちしようと考える。
リタから鍵の話を聞いたジルは、エイブが真犯人だと察し、自首を求めるが、
エイブは真相を知るジルを殺害しようと企む。
エレベーターに細工してジルを突き落とそうとするが、
もみ合ううちにエイブはジルのバッグから転がり出た持ち物に足を滑らせて、
エレベーターシャフトに転落して命を落とす。
ジルの命を救ったのは、エイブと行った遊園地でもらった景品の懐中電灯だった。

ジルはロイとよりを戻し、人生は教科書では計り知れないと理解する。


哲学の話についていくのはシンドイとしても、
ウディ・アレンの映画はどんどん単純化され、
展開が分かり易くなっていっているように感じる。
アイロニー、諧謔味も抑えめ。
理屈っぽい年配男性と若い美女の組み合わせはいつもと同じ。

それは良いとして、
でも、ヒロインのエマ・ストーンには
かつてのウディ・アレン作品のヒロインのような優雅さが無いのが不満に思う。
まだスカーレット・ヨハンソンの方が良いのだけれど、
出演料が高くなってしまったのかな。

エイブ役はホアキン・フェニックス。
今作では随分とお腹が突き出ている。
ハリウッド的ではなく、普通に近い男性の姿を追求したのかな。
主人公は常にウディ・アレンの分身なのだけど、やはり本人とは違い、
状況に対する説得力に欠ける気がする。
俳優としてのウディ・アレンの存在の特異さを改めて知らされる。

ウディ・アレン作品と知らなければ、やや展開に物足りなさを感じるし、
ウディ・アレン作品と知って見ると、ややクラス感が足りないように感じてしまう。

ファンの目が厳しくなるのは、ウディ・アレンのキャリア故だろうか。

エンディングのモノローグは、死んだエイブにさせても良かったかも。
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