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マンガ家Mの日常
続けて映画をもう1本。
今度はシリアス。

デンマークの映画。
主演のマッツ・ミケルセンはデンマークの至宝とも言われる名優だそうだけど、
デンマーク映画を殆ど知らないので、彼の事も知りませんでした。
ハリウッド映画にも出ているそうで、知ったタイトルもあったけど、
まだ見てなかったんだよね、不覚。
名字でラース・ミケルセンとの繋がりを思ったところ、
マッツはラースの弟なんだって。
兄弟して名優って、スゴイね。

山間の小さな村、
主人公のルーカスは教師で、勤めていた小学校が閉鎖になった為
現在は幼稚園で働いている。
子供達にも好かれていて、良い教師。
親友テオの娘のクララも幼稚園に来ていて、
ちょっとおませでルーカスに微妙な恋心を抱いてしまう。
ルーカスはきちんと拒絶して諭すのだが、若干逆恨みしたクララは、
ルーカスが自分に性器を見せたと園長に嘘をついてしまう。

そこからは坂を転がり落ちるように、ルーカスは
児童虐待の変質者のレッテルを貼られ、仕事を失い、警察に逮捕され、
友人の尽力でそれなりに疑いが晴れて釈放されるものの、完全に村八分状態。
スーパーに行っても食料品を売ってもらえない、店員には殴られる、
家に石を投げ込まれ、ペットの犬は殺されてしまう。

それでも何とか耐え抜いて、
どうにかクララの父親である親友テオの信頼を取り戻す。
しかし、村の中にはギクシャクとしたしこりは消えない。
クララの兄と思われる人物に発砲される。
幸い弾は逸れたが、村にいる限りいつ何が起こるか分からない。
大体、この兄貴がふざけてクララにポルノ画像を見せたりしたから
クララが変な事思いついちゃったってのに。

日本でも冤罪をテーマにした映画はあって、「それでも僕はやってない」が有名。
こっちは冤罪なのかどうか、観客にも判然としないまま進むけど、
「偽りなき者」でははっきり冤罪と分かっているので、
見る側としては気持ちの持って行きどころはひとつで済む。

何と言うか、相手は5歳の子供なだけに、嘘と真実が大人にも伝わりにくい。
最初の段階でのカウンセリングがあまりにも雑だったのがいけなかった。
大人がおかしな方向にクララを誘導してしまった。
その後クララが本当の事を言っても、大人には届かなくなってしまった。
こういうのって、子供自身のトラウマにもなっていくんじゃないだろうか。

小さな村で、ルーカスとテオは子供の頃からの親友だったのだから、
テオもルーカスの性癖くらいは分かりそうなもんだと思うんだけど、
子供の虐待に関しては、そう言う意識がふっとんでしまうのも仕方無いのかな。
自分が女の子の母親の立場だったら、やっぱり変になっちゃってたかも。
疑いは何処までも払拭しきれない、信じたくても信じきれない、
そういう自分自身の感情が怖い。

ルーカスはこの辺で見切りを付けて村を出ても良さそうなもんだと思うんだけど、
息子がずっとこの村の環境で育っているから出にくいのかな。

結着のつかない、やるせない話でした。

クララを演じた女の子に対しては、
演技させる上で色々なサポートがあった事でしょう。
「カラスの飼育」のアナ・トレントを思い出しちゃった。
幼いアナは複雑過ぎる役柄を演じた為に、ちょっとウツになっちゃった。
大人と子供の間の問題を描いた作品って、製作も難しい。

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