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マンガ家Mの日常
Facebookで友人が紹介していたので、ちょっとやり取りしたくて、
放映時間も短いし、録画していたのを早めに観てみた。


イタリア中部の丘陵地帯の小さな町で、
初老の男性リベロが1人で古書店を経営している。
隣にはカフェがあり、気の良いウエイターの青年ニコラが話し相手。
店には様々な本を求めて様々な客が訪れる。
リベロは豊富な知識で接客する。

移民の少年エシエンが店先に置いてある本を眺めていたのに気づくと、
リベロは1冊貸してあげると申し出る。
エシエンはコミックを選んで持ち帰り、公園のベンチで読みふける。
翌日すぐに返却しに行くと、リベロは次の本の貸し出しを申し出る。
エシエンは再びコミックを選ぶが、
何日か通うと、リベロは子供向けの小説を勧める。
読み易い「イソップ物語」を手始めに、
「ピノキオ」「星の王子さま」「アンクル・トムの小屋」「白鯨」等々、
少しずつ難度を上げて、エシエンと感想を話し合う。

ある日リベロは、貸し出しではなく、
贈り物として1冊の薄い本をエシエンに手渡す。
翌日エシエンが古書店に行くと、ドアに喪中で閉店の張り紙がしてあった。
リベロは不治の病で死期を悟っており、
それまでの間出来る限りエシエンに読書の機会を授けようとしていたのだった。
ニコラがリベロから預かった手紙をエシエンに渡す。
リベロはエシエンが古書店の本を望むだけ持って行けるよう手配していた。
学ぶ機会と幸せになる権利を大切にするよう最後の言葉として書き残した。
エシエンは昨日贈られた本を手に、リベロの思いを噛みしめる。
その本のタイトルは「世界人権宣言」。


映画の作りとしては、やや物足りない。
ドラマとしてのエピソードが弱いのと、画面作りに安さが覗く。
古書店内のライティングが不自然だし、
屋外の風景も撮影用カメラの台数が限られていたのか、見せ場に欠ける。
ロケ地は、イタリアで最も美しい村の一つと言われる
チヴィテッラ・デル・トロントという所だそうで、
だったら余計に、もっと風景を堪能させて欲しかった。

友人とFacebookのコメントで
少しだけ(ネタバレしないように)感想を述べ合ったが、
やはり、ラストの「世界人権宣言」は唐突であるとの印象。

今作はイタリア・ユニセフが共同製作に参加して
映画作りに全面協力しているそうで、
エンターテインメントとしてではなく、啓蒙としての役悪がメインなのだろう。
ただ、そうであっても、というか、そうであるならば、
やはり、エシエンの生活の背景等のドラマ性が
もう少し描かれても良かったように思える。
エシエンが公園のベンチでコミックを読んでいると、
見知らぬ男性が横に座って話しかけて来る。
エシエンはとっさに他のベンチに移動する。
そういうシーンも、教育的見地から挿入されたのだろう。

重要なテーマを持つなら、尚の事丁寧な作品作りを期待したいが、
恐らくはかなりな低予算だったのだろう。
イタリア映画、もう少し頑張って。
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