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マンガ家Mの日常
大分前に録画してあったのをやっと見ました。

何と言って良いのか...、
ラストには呆気に取られた。

新しいローマ法王の選出の為にコンクラーベが開かれる。
3人の有力候補で票が割れてなかなか決まらずにいたところ、
どうした加減でか、第4の男とも言うべきメルヴィルで票が固まって決定。
昔々の権力闘争の時代とは違って、どの枢機卿も法王の役は荷が重いらしく、
密かに自分では無いように願っていた。

メルヴィルは決定を受け入れるものの、いざバルコニーに出て発表となった時、
いきなり怖じ気づいてパニック発作の様な状態になる。
仕方無いので、法王は祈祷に入った事にして暫く様子見。
精神カウンセラーを呼んで診療させるが、気持ちは治まらない。
見かねた報道官が極秘で外に連れ出し、外部のカウンセラーの診療を受けさせるが、
その帰り道でメルヴィルは逃げ出してしまう。
悲嘆にくれて当て所無くローマ市内を彷徨う。
枢機卿達やカウンセラーは何も知らされずバチカンに閉じ込められたまま。
時間潰しでバレーボール大会まで始めてしまう。 状況を一瞬忘れて楽しんでる。

メルヴィルは報道官と連絡を取るが、まだ覚悟が定まらない。
もう少しひとりで考える時間が欲しいだけなのか。

隠しおおす事を諦めた報道官は枢機卿達に事の次第を知らせる。
かつて演劇青年だったメルヴィルが知り合いになった劇団の公演を見ている中、
枢機卿達が会場に大挙して現れて、メルヴィルは連れ帰らせられる。

フツーだったら、散々気晴らししたり、色々な人との出会いがあったりして
気持ちが落ち着いて、役職に就く覚悟を決めるもんだが、未だ浮かない表情。
結局、顔見せのバルコニーで、自らの力不足を告げて法王の地位を辞する。

...で、終わり。 え、ええーっ!!!

メルヴィル役のミッシェル・ピコリは偉大な名優で、
姿も知的で上品だし、少し背中を丸めて歩く様がホントに法王らしい。
他の枢機卿達も上品な良いオジイさんが揃ってた。
冒頭、いくつかのシーンは実際の枢機卿達の映像だと思われる。

バチカンに閉じ込められるカウンセラー役はナンニ・モレッティで、
今作の監督、脚本を勤める才人。
名前は何となく知ってはいたんだけど、どういう人かよくは知らずにいたな。
少しひねりのある作風らしい。
この人の作品をもっと見ていたら、もうちょっと踏み込んだ見方が出来たのかな。
映画評とかもパックリ割れてるらしい。

11億人のキリスト教信者の期待に応えなければならないという重圧に耐えかね、
法王として歴史に名を残す事を良しとしない。
市中の人達はまだ誰もメルヴィルを法王とは知らず、
ローマの街中を彷徨う中で、人々の助けを借りたりもする。
法王もただの人で、全能の神である筈も無い。
枢機卿達もトランプやバレーボールに興じておっとりのんびり構えている。
法王になるのはゴメンだけど、ブックメーカーの予想を聞いてしまうと
自分に対しての世間の評価が気になる。 
聖も俗も同じ人間、大差無い。

単純な見方をするならばね、そう言う事なんだけど。
それで良いのかどうか、全く自信がない。
キリスト教の信者の人から見ればどうなんだろう。
バチカンに対して日常的に感じている大小様々な疑問がちりばめられて
作られたのかな。




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