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マンガ家Mの日常
番組表の映画欄にコメディとの文字があったので
笑って楽しむつもりで見たが、なんか違った。
アルゼンチンの映画で、南米の映画にはあまり馴染みが無いから
感覚的によく分かってないのかな。

20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエが設計した邸宅に
有名家具デザイナーの一家が住んでいる。
この家、勿論本物で、ル・コルビュジエの作品としては南米唯一なんだって。

ある日隣接する家が壁を壊して明かり取りの窓を作り始めた。
そこに窓が出来ると、こちらの家の中が見られてしまう。
デザイナーのレオナルドは窓を塞ぐよう、隣人のビクトルに告げるが、
スノッブなレオナルドと強面のビクトルは微妙に噛み合ない。

そこに窓を作るのは法律上は違法で、レオナルドに分があるのだけど、
ビクトルは陽の光が欲しいわけで、
レオナルドをバーに誘う等して話し合いを持とうとするのを
レオナルドが固辞する態度なのは、偏屈で意地悪く見える。
世界的にも有名な家具を作っているレオナルドはセレブ気取りで、
ブルーカラーっぽいビクトルと打ち解けようという努力すらしない。

ジワジワとこじれて、弁護士が出て来たり、親戚が巻き込まれたりして、
ようやくレオナルドは態度を軟化させる。
対話もいくらか進みつつあるようで、少しホッとしたかな、と言う時に
邸宅に強盗が入って、助けに向かったビクトルは撃ち殺されてしまう。
虫の息のビクトルの側でうろつくだけのレオナルド。

宣伝のフレーズは「隣人は選べない。」なんだそうなんだけど、
主人公のレオナルドがイヤな感じで、
ビクトルは付き合ったら良いヤツそうなのに
かたくなに突っぱねる態度には共感しづらいし、
コイツの視点から見る気にはなれず、ビクトルの方が気の毒に思える。
そうじゃ無い人もいるのかな。

まぁ、積極的に距離を縮めて来られると戸惑う気持ちは分からんではないけどね。
見てる観客自身がどっちの側の人間かってとこにもよるのかもね。

ネットで他の人の感想を読むと、
ビクトルはホントは窓なんかどうでも良くて、
隣人とコミュニケーションをとりたかっただけなんじゃないか、ってのがあった。
確かにそうかもね。
窓を作るのは別方向の壁でも良かったんじゃないかって思えた。
それをわざわざ、隣人の家の窓が見える場所を選んだんだもんね。

ビクトルが挨拶と謝罪を兼ねてレオナルドの奥さんにプレゼントした花束を
レオナルドは奥さんに渡す事もせず、外のゴミ箱に突っ込んじゃう。
ビクトルもそれにはさすがにちょっと腹を立てるんだけど、
そう言う失礼な事にも目を瞑って、隣人関係を継続させようと努める。
私だったら、付き合う価値の無い人だと見限って、諦めちゃうなぁ。

前半は、いきなり壁を壊して騒音を立てるビクトルが「イヤな隣人」だったけど、
話が進むに連れて、スノッブで自己中心的、
命がけで強盗退治に来てくれたビクトルをねぎらう態度も見せない、
情に欠けるレオナルドの方が究極の「イヤな隣人」だと言える。

エンターテインメントとしては退屈な作品だったけど、
人物描写の奥が見えてくると、なかなか面白い作品だったかも。
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